

話題ですね、ヒットですね、『レッドクリフ PartⅠ』。公開4週目の時点で、早々と300万人の動員を突破し、現在も記録を伸ばしています。「三国志」に登場する有名な赤壁の戦い(=まさにレッドクリフ)を題材にした作品で、監督のジョン・ウー悲願の映画化だとか。「三国志」好きの男性陣ばかりがお熱なのかと思いきや、最近の武将ブームも手伝っているのでしょう、女性で興奮している人も多く見かけます。トニー・レオンや金城武と、イケメンが登場しているのですから、当然でしょうか。
「“武将ブーム”とは何ぞや」とお思いの皆様に少しご説明しておきましょう。今、日本の若い女子の間では、戦国武将がちょっとした人気なのです。武将ゆかりの地や博物館などに訪れる女性たちがここ数年で増加し、武将グッズ(Tシャツやバッグ、のぼりや手ぬぐい、キーホルダー、ストラップなど)が売れ、男性客を見込んでオープンした武将バーに女子が集うという現象が実際に起こっているのです。彼女たちは、お気に入りの武将をまるでアイドルや恋人を慕うように想い、恋焦がれます。そして口々に言うのです。「現代の男なんて物足りない、お話にならない」と。英雄不在の現代に生きる女子たちに、美学と信念、勇気を持って生きた戦国武将は、たいそう眩しく映るのでしょう。発端は、男子をターゲットにしていたゲームソフト『戦国BASARA』や『戦国無双』だったそうです。CGで描かれた武将たちは、一様に美男子。始めはアニメの美しい主人公に恋するような気持ちだったのでしょうが、ここでの出会いをきっかけに、お気に入りの武将の生き様を本や博物館でチェックするうちにハマッてしまったというケースがかなり多いようです。
だとしたら、美男子に演じてもらった三国志の英雄たちが、女子の心を掴まないはずはありませんよね。かく言う私も、きちんと三国志を読み直してみたいと考えているこの頃です。ちなみに、『レッドクリフ PartⅠ』を観た人々が待ちきれないでいる『レッドクリフ PartⅡ』の公開は、来年の4月に決定しました。
さて、そんな『レッドクリフ』ですが、先日新宿で観てきたという知人男性がこんなことを言っていました。
「劇場がハイテクでびっくりした」

きっと、その時の彼の心境は、スターバックスがオープンした頃に私が見かけたオジサマのようだったはず。ちょっとコーヒーを飲みに入ったお店で、あれこれ質問の多いこと、決めなければならない項目の多いこと。びっくりして、「コーヒーください」を連呼……。そんな時、堂々としていてくれればいいのですが、焦ってしまわれたりすると、側にいる者はいけないモノを見てしまったような寂しい気持ちになるものです。
知人が伴っていたのがデート相手だったのかどうかは不明ですが、“いよいよこれから”的な相手だったら、ちょっと大変だったはず。デート相手があたふたしているのを見るのは、女性にとってかなり悲しいものですからね。男性が三枚目タイプという場合は問題ないのですが、いつもビシっと決めていてかっこいい人、隙がない人だと、見た側のショックは大きいもの。私の女友達は若い頃、憧れの男の子とやっとデートに漕ぎつけたのに、食事をしていざ会計という時に、彼がお財布を落として焦って小銭を拾っている姿を見て一気に熱が冷めたと言っていました。本当にひどい女です。身勝手もいいところです。でも、女の子って多かれ少なかれ、こんなものなのです。
しかも、そんなことの後に観たのが『レッドクリフ』だったなら……。女子は「危機に直面しても、こんな風にどっしり構えている男性がいいな〜」などという発想に、いとも簡単に走ってしまうことでしょう。知人男性が何かを失ったのかどうかは不明。でも、あなたが彼のようにテンパりがちだと自覚しているならば、いい男が出てくる映画を女性と一緒に観る際は、いつもよりちょっと入念な下調べをしておくほうが安全かもしれませんね。映画の中の英雄たちに、気になる女子をいとも簡単にさらわれてしまわないために。
映画ライター。通信社、映画祭事務局、webマガジンの編集部を経てフリーに。
映画そのものの話題はもちろん、周辺ネタを追いかけるのが好き。
現在は女性誌を中心に映画紹介、インタビュー記事を執筆。

日劇1、新宿ピカデリーほかにて全国公開中
上映時間:2時間25分
配給:東宝東和、エイベックス・エンタテインメント
公式HP:http://redcliff.jp/index.html
(C)2008 Three Kingdoms Ltd. (C)Bai Xiaoyan
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