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2009.10.22UP

秘湯・三斗小屋温泉と茶臼岳、朝日岳、三本槍岳 (1)

9月21日(月)

 那須連山に囲まれた秘湯・三斗小屋温泉に泊まり、茶臼岳、朝日岳、三本槍岳に登る計画を立てた。できればロープウェイは利用せず、古い登山道から登りたかったので、当初の予定では、一日目は那須湯本から殺生石経由で茶臼岳に至る長いルート(4時間以上かかる)を行って茶臼岳に登り、三斗小屋温泉に泊まり、二日目に朝日岳と三本槍岳に登るつもりだった。ところが、二日目の天気があまりよくなさそうなので、今回は古い登山道を諦め、一日目に茶臼岳と朝日岳に登ってしまうことにした。

 桜木町5:18発の電車で出発し、東京から新幹線に乗り、那須塩原で東北本線に乗り換え、7:47に黒磯駅に到着。8:10のバスに乗って、終点のロープウェイ山麓駅まで行く。天気は快晴で、駐車場からロープウェイの山頂駅や朝日岳がよく見える。そこからロープウェイは利用せず、茶臼岳の北面につけられた登山道を峰の茶屋跡避難小屋に向かう。

 駐車場の脇から登山道に入り、樹林のなかを数分登っただけで森林限界に達し、視界がひらける。右手に朝日岳や鬼面山、左手に茶臼岳を眺めながら、緩やかな傾斜の一本道を登っていく。那須岳の山々はどれも個性的で、変化に富む展望を楽しめる。朝日岳と鬼面山を結ぶ稜線の緑のスロープが美しい。朝日岳の北面はハイマツなどに覆われているが、南面が見えてくると険しく荒々しい岩肌に変わる。1時間弱で峰の茶屋跡避難小屋に到着。人が吹き飛ばされるほどの強風で有名な場所だが、今日はほとんど風がない。小屋の北側には剣が峰がそびえている。

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樹林のなかを数分登るとすぐに視界がひらける

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朝日岳と鬼面山を結ぶ稜線、緑のスロープが鮮やか

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低木に覆われた朝日岳の北面

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険しく荒々しい岩肌をさらす朝日岳の南面

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峰の茶屋跡避難小屋を目指して登る


 峰の茶屋跡からは、まず茶臼岳に登る。旧火口を一周し、ロープウェイ山頂駅方向に下り、牛ヶ首に回り、再び峰の茶屋跡に戻ってくる。茶臼岳にはいくつか噴気口があり、噴煙を上げているが、そのうちのひとつ大噴のわきを通過して、火山礫の斜面を登っていく。秋の空に向かって巨岩が突き出している。

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峰の茶屋跡から茶臼岳の旧火口に向かう

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茶臼岳の巨岩と秋の空

 旧火口からの眺めは雄大だ。北に目を向けると、雲の向こうに三倉山〜大倉山の稜線が浮かび上がる。真下の無限地獄からはさかんに噴煙が上がり、その向こうに見えるだだっ広い日の出平や姥ヶ平が赤く染まりかけている。その先に広がる雲海から突き出している稜線は、方角からみておそらく男鹿山塊だろう。そして、南月山の方角からは、雲海が津波のように豪快に押し寄せてくる。

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雲の向こうに三倉山〜大倉山の稜線が見える

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無限地獄の噴煙と赤く染まる姥ヶ平

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広がる雲海から男鹿山塊が頭を出している

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南月山方向、雲海が津波のように押し寄せる

 茶臼岳の山頂は、ロープウェイを利用してきた観光客で込み合っているので、長居はせずに山頂駅方向に下る。登ってくる観光客たちから、「山頂はまだですか」と何度も聞かれる。ロープウェイがきているのは標高1690mまでで、1915mの山頂まではそれなりに標高差があり、観光とはいえ決して楽ではない。しかも、山頂駅から山頂は見えないので、予想よりも距離を感じるはずだ。

 山頂駅手前の分岐から牛ヶ首に向かう道に入ったところで昼食にする。あまり時間がないので、ゆでたうどんとレトルトのカレーで腹を満たし、出発する。牛ヶ首に向かう道の周辺は、赤や黄色に染まった低木や植物に覆われ、秋の気配を感じさせる。牛ヶ首の分岐からは北に向かい、峰の茶屋跡に戻る。つまり、茶臼岳を一周することになる。無限地獄のわきを通過するあたりから、ガスがかかってくる。

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牛ヶ首に向かう道の周辺には秋の気配が漂う

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牛ヶ首に向かう道の周辺は低木が色づいている

 峰の茶屋に戻り、今度は朝日岳に登る。剣が峰の東側を巻いて進み、ごつごつした岩稜にとりつく。朝日岳の荒々しい山容が目前に迫る。手すり用の鎖がついた岩稜を越えると、目の前に鋭くとがった岩稜がそびえている。この岩稜を巻く細い道はちょっと怖い。下ってきた小さな女の子は、鎖にしがみつくように歩いていたが、高所恐怖症の筆者にはその気持ちがよくわかる。岩稜を巻いて登りきると、ベンチなどがある朝日岳の肩に出る。そこからはひと息で山頂に到達する。少しガスがかかり、クリアな展望ではなかったが、すでに変化に富む展望もスリルも味わい、十分満足した。

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さかんに噴煙を上げる無限地獄のわきを通過

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剣が峰の東側を巻いて朝日岳に向かう

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手すり用の鎖がついた岩尾根を見下ろす

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朝日岳山頂手前にそびえる鋭く尖った岩稜

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尖った岩稜を巻く細い道

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朝日岳の肩から山頂を見上げる

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朝日岳山頂、ガスがかかっている

 再び朝日岳の肩に戻り、少し休憩して、三斗小屋温泉に向かう。温泉に至る熊見曽根は、低木がきれいに色づき、気持ちのよい尾根道だった。隠居倉を越えたあとの急下降は少々しんどかったが、無事に本日の宿、大黒屋に到着。食事をすませ、温泉につかり、湯上りのビールを飲み、明日に備えて8:30には眠りについていた。

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美しく色づいた熊見曽根の尾根道

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大場正明(評論家)
1957年神奈川県横浜市生まれ。中央大学法学部卒。映画、音楽、書物その他の評論。著書・編著書は『サバービアの憂鬱』『CineLesson15 アメリカ映画主義』など。趣味は登山、写真、料理。
大場正明 HOMEPAGE http://c-cross.cside2.com
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