2010.03.12UP
2月22日(月)
マリ出身のシンガー、サリフ・ケイタがアルビノ(先天性色素欠乏症)であることはよく知られている。彼はこれまで自分と同じアルビノを支援するための活動を展開してきた。2006年(8月14日)の「The Washington Times」には、『ムベンバ』(2005)のツアーに出たサリフ・ケイタの支援活動が紹介されていた。
1949年にマリのジョリバでサリフ・ケイタが生まれたとき、父親は彼と母親を家から追い出した。赤ん坊が白い肌をしていたからだ。しかし彼の場合は幸運にも、後に父親に受け入れられた。
アフリカのある地域では、アルビノの赤ん坊は、母親が白人と関係を持ったと疑われたり、不吉の前兆とみなされたりして殺されてしまう。また、アルビノから作った薬によって不思議な力が得られるという伝承があり、アルビノの子供たちが誘拐され、殺害されることもある。
自らも差別にさらされてきたサリフ・ケイタは、アルビノを支援するための基金を設立したり、マリにアルビノをケアする病院を建てるために活動してきた。

そんな彼が昨年末にリリースした新作『ラ・ディフェロンス』と最近の活動には、大きな変化が見られる。これまでの地道な活動とは明らかに違う。アルバムでは、アルビノを題材にしたタイトル・ナンバー<ラ・ディフェロンス>を筆頭に、政治的、社会的なメッセージが鮮明にされている。それと同時に、赤十字社とともにアルビノを救済するためのキャンペーンを行い、これまで以上に積極的な活動を展開している。
彼の変化は、タンザニアでアルビノの人々が殺害される事件が急増したことと無縁ではない。個々の事件は日本でもニュースになっているし、The Salif Keita Global Foundation(http://www.salifkeita.us/)にも様々な記事がアップされている。アルビノの人々は、呪術師が幸運を招くお守りや薬を作るために殺害され、多くのアルビノが赤十字や警察に保護されている。
「allAfrica.com」や「NGO News Africa」などのニュースによれば、今年の2月初旬には、アメリカの連邦議会議員がオバマ大統領に、アルビノの殺害を止めるためタンザニア政府に圧力をかけるように要請したという。この議員はその前に、タンザニアからやってきた女性マリアム・スタンフォードと会見した。彼女は2008年にタンザニアのムワンザで襲われ、両手を失っていた。
タンザニア及びブルンジでも起きているこの悲劇的な出来事については、その原因としてしばしば伝承や迷信があげられる。しかし、それだけでは2007年から急に連続して起こるようになったことの説明にはならない。ある赤十字の報告は、事件の始まりがタンザニア北部で採鉱や漁業がブームになった時期と重なることから、迷信深く、是が非でも成功したい企業家が、呪術師が作るお守りや薬を求めていると推測している。何者かがブームに便乗し、迷信を利用し、企業家の欲望につけこみ、暴利を貪ろうとしている可能性があるということだ。迷信に惑わされないための教育ももちろん重要だが、その前にすぐにでも一連の事件の真相を究明すべきだろう。
サリフ・ケイタにとってアコースティック三部作の最終章となる『ラ・ディフェロンス』には、深く重いメッセージが込められている。
