
記憶の曖昧さを抱え込んだまま進む、壮大な物語のプロローグ
小学校時代によく一緒に遊んだ友達の顔や名前を、ひとりひとり鮮明に覚えているだろうか。30年前の記憶はかなり曖昧になっているに違いない。このドラマはそんな記憶の曖昧さを抱え込んだまま進展していく。そして、オウム真理教を連想させるカルト教団を率いる“ともだち”は小学校時代の仲間なのか、彼はケンヂたちが遊びで書いた物語「よげんの書」を読んでいるのか、というサスペンスが生まれる。唐沢寿明演じる主人公のケンヂは当時をほとんど思い出せないまま、コンビニのオヤジとして経営に四苦八苦し、ほかの仲間たちはサラリーマンや公務員をしている。どこにでもいそうなキャラクターだからこそ、素直に感情移入できた。
カルト教団に立ち向かう彼らの戦いの背景には、1969年以降の文化や社会的出来事がちりばめられている。大阪万博やアポロ11号の人類初の月面着陸、少年サンデーや平凡パンチ、ボブ・ディランやグループサウンズ……。この半世紀を検証しているわけで、ちょっとしたところが懐かしく、つい目を凝らしてしまう。
シリーズものの常として、この第1章は主要キャラクターの紹介と、スケールの大きな物語のプロローグにすぎない。原作コミックを駆け足でなぞったという印象で、謎は謎のまま残る。登場時点からもう若くないケンヂや仲間たちは、約50年に及ぶ物語の後半では相当の年齢になるはず。コミックでは年をとるのは簡単だが、映画ではそうはいかない。ラストについている予告編を観ると、第2章が楽しみになってきた。(文:おかむら良)
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浦沢直樹の同名人気コミックを全3部作で映画化する第1章。監督は「トリック」「明日の記憶」の堤幸彦。世は20世紀末、小学生の頃に遊びで書いた“よげんの書”の内容どおりに、世界滅亡の危機が現実に起こりつつあることを知ったケンヂは、かつての仲間を集め世界を救うために立ち上がる。しかし、事件の裏には“ともだち”と呼ばれる謎の存在が……。唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子ほか、主演クラスの俳優が多数出演する豪華キャストも話題。
監督:堤幸彦
脚本:福田靖、長崎尚志、浦沢直樹、渡辺雄介
原作:浦沢直樹(「20世紀少年」小学館ビッグスピリッツコミックス刊)
撮影:唐沢悟
音楽:白井良明
美術:相馬直樹
企画:長崎尚志
プロデューサー:飯沼伸之、甘木モリオ、市山竜次
主題歌:T.REX「20th Century Boy」
出演:唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子、香川照之、石塚英彦、宇梶剛士、宮迫博之、生瀬勝久、小日向文世、佐々木蔵之介、ARATA、片瀬那奈、池脇千鶴、森山未來、徳井優、竹内都子、洞口依子、遠藤憲一、光石研、佐野史郎、ベンガル、石井トミコ、竜雷太、石橋蓮司、中村嘉葎雄、黒木瞳
2008年日本映画/2時間22分
配給:東宝
http://www.20thboys.com/
8月30日より、日劇2ほかにてロードショー
(C)1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館
(C)2008 映画「20世紀少年」製作委員会
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