
航空機の飛行に関わるプロの姿を描く、グランドホテル形式の群像劇
いくら矢口史靖監督作とはいえ、またも「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」路線を期待するのは間違いだろう。もちろん、デビュー当時の不幸な女路線でもない。今回は、パイロットやCA(キャビン・アテンダント)をはじめ、航空機の飛行に関わるプロフェッショナルの姿を描く。つまり、“矢口版「大空港」”、もしくは“空港版「THE 有頂天ホテル」”と言える、グランドホテル形式の群像劇である。
一機の飛行機が飛び立ち、着陸するためにどれだけのスタッフが携わっているのか。そんな素朴な疑問に応えるべく、監督はお得意の徹底調査。その効果は絶大で、専門用語・アイテムが飛び交うなか、7カ所ほどに散らばった各エピソードを巧くまとめている。さらに、窓際族状態なオペレーション・ディレクターを演じる岸部一徳や、愚痴りまくりのグランドスタッフを演じる田畑智子などの好演が光る。アクシデント発覚以降は、パニック映画お約束の展開に突入。「大空港」のパロディ「フライング・ハイ」ほど狂っちゃいないが、綾瀬はるか演じる新人CA役など、ちょいとやりすぎな描写は気になる。「THE 有頂天ホテル」に比べればキャストの弱さ、「クライマーズ・ハイ」に比べれば緊張感が欠けることも否定できない。とはいえ、常にエンタテインメントを追求する矢口節の力技は、伊丹十三の後継者は、じつは彼かもしれないと思わされるほど。今後、飛行機に搭乗する際に、間違いなく周囲を気にしてしまうことだろう。(文:くれい響)
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「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」の矢口史靖監督が、旅客機にまつわる人々の悲喜こもごもをコメディタッチで描く。羽田空港から飛び立とうとしているホノルル行きチャーター便・NH1980に、機長昇格が間近の副操縦士・鈴木や教官役の機長・原田、新米CAの斉藤らが搭乗。グランドスタッフは座席のオーバーブッキングの対応に追われ、整備士たちは時間のない中で整備にあたるが、なんとか飛行機は定刻どおりに離陸。あとは快適な空の旅のはずだったが……。
監督・脚本:矢口史靖
製作:亀山千広
エグゼクティブプロデューサー:桝井省志
脚本協力:矢口純子
撮影:喜久村徳章
音楽:ミッキー吉野
出演:田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか、吹石一恵、田畑智子、寺島しのぶ、岸辺一徳
製作国:2008年日本映画
上映時間:1時間43分
配給:東宝
http://www.happyflight.jp/
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