
故勝新太郎の代表作で、北野武も自ら監督・主演した傑作時代劇シリーズ「座頭市」を、「ピンポン」の曽利文彦監督が主人公を女性に置き換え、新たな“市”を生み出した。そんな本作で主演を務め、初めての本格時代劇アクションに体当たりで挑戦した綾瀬はるかにインタビューを行った。盲目の剣士という難役を演じた苦労とは? また、本作に込められた思いとは?
綾瀬はるかインタビュー
「殺陣は大変でしたが、覚えた後は楽しくて爽快感がありました」
綾瀬が演じたのは、“瞽女(ごぜ)”と呼ばれる、各地を転々として生きる盲目の女性旅芸人の市(いち)。三味線を弾き、歌い、生きる糧を得る瞽女たちは仲間と共に行動するのだが、市は過去のある出来事から瞽女仲間からはじき出された、“離れ瞽女”としてひとりで生きている。三味線と仕込み刀と己の力だけを頼りに、固く心を閉ざした市は、旅の途上でひとりの侍・藤平十馬(大沢たかお)と出会い、次第に心を通わせていくのだが……。
十馬との出会いで変わっていく
――初の時代劇アクションで殺陣にも挑戦してみての感想は?
「殺陣はずっと興味があり、いつかやってみたいと思っていたので嬉しかったです。型を覚えていくのは楽しいんですけど、今回は盲目の役なので、殺陣のシーンでは伏し目がちだったり、目をつむってやらなければならず、相手が見えないから感覚でやるしかない。自分と相手の方のタイミングがちょっとでもずれて、もし相手の目を突きでもしたら、大変なことになってしまいます。そういう怖さはありました。また、裸足でわらじを履いていたので、足の爪が割れてしまったりもしました」
――目にも止まらぬ速さや、仕込み刀の逆手持ちといった、座頭市特有の殺陣で苦労されたところは?
「素早く刀を納めるという動作を最初に練習し、わりとすぐできたので、男性が使っている普通の刀でやらせてもらったら、重くて長くて全然できなかったんです。なので、むしろ逆手の仕込み杖で良かったなと思ってます。勝さんの『座頭市』も担当した久世浩さんという殺陣指導の方に習ったんですが、勝さんの座頭市とはまた違った女性ならではの体勢などを考えてもらいました」

――殺陣をやっていて楽しかった部分はありますか?
「10人斬り(笑)。3人とか5人だとあっという間に終わっちゃうんですけど、10人はやりがいがありました。もっと斬ってみたかったんですけど(笑)。覚えるのは大変ですけど、覚えた後は楽しくて爽快感がありました」
――市の内面的なところで難しかったのは?
「監督には、市は心を閉ざしているのでオン・オフのメリハリをうまくやってくれと言われました。感情を出すときはバッと出し、後はグッと押し殺す。感情を表に出さない女の子なので、ひと言ひと言がすごく大事だなと思いました。市が背負ってきたものを背景ににじませるのは、とても難しかった」
――時代劇アクションでありながら、女性が主人公ということで“愛”も大きく描かれていますね。
「市は小さい頃からひとりぼっちで、瞽女仲間からも追い出され、愛を信じられないでいる。そういう彼女が十馬に出会い、少し前を見て歩き出す話ですが、現代社会でも、誰かとのひとつの出会いがきっかけで前向きになれたり、愛をもらうことで頑張れたり、そういう人は多いと思います。恋人でも、家族でも、どんな愛の形でもいいですけど、自分を気にかけてくれる人がいて、その幸せに気づくことは、とても大事なことなんじゃないかなと思います」
――時代劇といっても、そうしたテーマは現代に通じるものがありますね。
「市は『私は生きているかも死んでいるかもわからない』という台詞がありますが、いつ死んでもいいという思いがあった。それが十馬との出会いでひとつの光を見て、その先に何があるかはわからないけれど、市は何かを求めて歩き始める。現代社会は、自殺してしまったり病んでいる若者が多いとよく言われていますが、いま何かに悩んでいる人がこの映画を観て、自分たちも頑張ろうって思ってもらえたら嬉しいです」
スタイリスト:西真由美 ヘアメイク:清水恵美子(マロンブランド)
(C) eiga.com inc.

勝新太郎の代表作で、北野武も自ら監督・主演した時代劇「座頭市」。その主人公を女性に置き換え、綾瀬はるか主演、「ピンポン」の曽利文彦監督で映画化。共演に大沢たかお、中村獅童、窪塚洋介。ある宿場町に流れ着いた盲目の三味線弾きの女・市は、一帯を荒らす野党集団・万鬼党に絡まれる。そこに旅の侍・十馬が通りかかり、彼は市を助けようとするも、なぜか刀を抜こうとしない。市はやむなく、自らの仕込み刀で野党たちを一刀のもとに切り伏せるが……。
監督:曽利文彦
脚本:浅野妙子
原作:子母澤寛
撮影:橋本桂二
音楽:リサ・ジェラルド、マイケル・エドワーズ
美術:佐々木尚
主題歌:SunMin
出演:綾瀬はるか、大沢たかお、中村獅童、窪塚洋介、柄本明、竹内力、利重剛、佐田真由美、島綾佑、杉本哲太、横山めぐみ、渡辺えり
製作国:2008年日本映画
上映時間:2時間
配給:ワーナー・ブラザース映画
10月25日よりサロンパス・ルーブル丸の内ほかにてロードショー
http://wwws.warnerbros.co.jp/ichi/
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