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「イントゥ・ザ・ワイルド」

「ミスティック・リバー」でアカデミー賞主演男優賞を受賞し、現代アメリカ映画界を代表する存在となったショーン・ペンが、監督として約10年の歳月をかけて映画化に挑んだ「イントゥ・ザ・ワイルド」。1991年の「インディアン・ランナー」での監督デビュー以来、「クロッシング・ガード」「プレッジ」と常に骨太な作品を世に送り出してきた彼に本作製作の経緯や、本作を語るうえで外せない旅・孤独・人生などについて聞いてみた。

ショーン・ペン監督インタビュー
「痛みを感じることは嫌だが、何も感じないよりは痛みのほうを選ぶ」

これまでのショーン・ペン監督作同様、プリミティブな問いが観客に突きつけられる
これまでのショーン・ペン監督作同様、プリミティブな問いが観客に突きつけられる

──この映画を撮ることになったきっかけは何でしたか?

 「12、3年前、本屋に立ち寄ったとき、表紙にバスの絵が描かれたジョン・クラカワーの著書が目に留まった。その絵には凝視せずにはいられない何かがあったんだ。その本を読み進むうちに、私の中に何か大きな着想のようなものが生まれた。だが、この時点では、まだ準備が整っていなかったので、一旦プロジェクトは中止になった。だから、その10年後に再度製作の話が持ち上がったとき、とても嬉しくて興奮したよ。このストーリーを映画化できないはずはないと信じていたからね。もちろん、私が監督を務めるかどうかはわからなかったが、絶対に映画化すべきだとは思っていたよ」

──素晴らしい撮影でしたが、ロケ撮影はどんな雰囲気で行われたのですか?

 「ロケは非常に上手く運び、そのこと自体宿命的であると感じたね。映画キャリアのなかで初めて、私が理想とするライフスタイルが、私の実際のライフスタイルや仕事と手を結んだんだ。自分の子供の笑顔を見ること以外に、私にとってロケーションでの撮影ほど楽しいことはないよ。撮影隊のロケ旅行自体が映画の主人公とその物語を発見するための旅であり、我々はその間ずっと楽しい時間を過ごすことができたんだ」

──大自然でのロケですから、苦労が多かったのではないでしょうか?

 「素晴らしいクルーに恵まれたね。私は彼らに対して多くを要求したが、どんな困難な要求をしても、彼らは変わらず映画のストーリーを愛していた。ストーリーが私たちを牽引してくれたんだ。そして私たちは、常に大自然を肌で感じ、それに癒された」

ショーン・ペンはエミール・ハーシュを絶賛
ショーン・ペンはエミール・ハーシュを絶賛

――映画化にあたり、クリス・マッカンドレスの実際の家族の許可が重要な点ではなかったですか?

 「もちろん。ひとたび彼らが我々を信頼してくれた後は、映画化に対してとても積極的になってくれた。映画化するかどうかは家族の判断にかかっていたからね。多くの時間をかけて話し合いをしたが、とても協力的なファミリーだったよ」

――クリスのご家族は完成した映画を観ましたか?

 「とても満足していたよ」

――主人公のクリス役にエミール・ハーシュを選んだ理由は?

 「『ロード・オブ・ドッグタウン』で主演した彼の演技が良かった。しかし決定的な要素は、彼の全身がハートだから。エミールは、ほかの俳優にはない深い優しさに裏づけられた愛を携えた俳優だよ。彼がこの撮影で経験したような過酷な状況を経験したことのある役者を、私はほかに知らない。彼は撮影中、どんな辛い状況に置かれても逃げなかった。21歳になったばかりの若者がだよ。エミールは素晴らしく集中力のある俳優だよ」

──クリスの足跡を辿り、感じたことは?

 「彼がアラスカで、独りで過ごした113日間については深く考えさせられたね。強靭な意志を持ち合わせた人間でなければ、あんなことはできないだろう」

――そんな過酷な場所で長期間独りで暮らしたからこそ、クリスは最終的に人との触れ合いの重要性に気づいたのでしょうか?

 「クリスの孤独な旅は、この映画のもっとも重要なポイントのひとつ。独りきりで過ごす孤独な時間は、社会や家族に貢献する気持ちを生み出し、目的に到達するために必要なステップだと思うが、孤独に過ごすこと自体が人生の答えにはなりえないと思う」

――あなたとクリスの共通点はありますか?

執念で映画化にこぎ着けたショーン・ペンとキャサリン・キーナー(右)
執念で映画化にこぎ着けたショーン・ペンと
キャサリン・キーナー(右)

 「2人とも好奇心旺盛で、自然の荒野が大好きなタイプの人間だね」

――クリスのように、人間社会とのつながりを一切断つ必要性を感じたことはありますか?

 「田舎を車で走り回ったり、ヒッチハイクしたりして何度か実行したことがある。風に身を委ねて、気の向くままに動くのは楽しいことなんだよ」

――あなたは、ご自身が心の底から信じていることを大切にする人に見えます。

 「そうするよう努力している。そして、自分自身の人生を感じ取る力が重要だと考えている。痛みを感じることは嫌だが、何も感じないよりは痛みのほうを選ぶ。痛みは人生の一部であり、対処できるものだと思っている。それを乗り越えたとき、喜びが訪れるわけだからね。無感覚になることだけは絶対できないよ」

(C) eiga.com inc.

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この映画について
イントゥ・ザ・ワイルド
「イントゥ・ザ・ワイルド」
「インディアン・ランナー」「クロッシング・ガード」のショーン・ペン監督が、実話に基づくジョン・クラカワーのノンフィクション『荒野へ』を映画化。恵まれた環境で育ちながらも、人生に不満を抱えていた青年がアメリカを横断。その果てに辿り着いたアラスカの荒野で死ぬまでの心の軌跡を描く。主演は「ロード・オブ・ドッグタウン」「スピード・レーサー」のエミール・ハーシュ。共演にマーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハート、キャサリン・キーナー、ビンス・ボーンほか。

原題:Into the Wild
監督・脚本:ショーン・ペン
製作総指揮:デビッド・ブロッカー、フランク・ヒルデブランド、ジョン・J・ケリー
製作:アート・リンソン、ショーン・ペン、ウィリアム・ポーラッド
原作:ジョン・クラカワー
撮影:エリック・ゴーティエ
音楽:マイケル・ブルック、カキ・キング、エディー・ベダー
美術:デレク・R・ヒル
出演:エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハート、ジェナ・マローン、キャサリン・キーナー、ビンス・ボーン、クリステン・スチュワート、ハル・ホルブルック
2007年アメリカ映画/2時間20分
配給:スタイルジャム
シャンテシネ、テアトルタイムズスクエアほかにて現在公開中
http://intothewild.jp/
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