不惑のミュージシャン3人、 困惑と葛藤のドキュメンタリー 特集:映画『40歳問題』 浜崎貴司インタビュー
作品紹介
浜崎貴司(43)、大沢伸一(41)、桜井秀俊(40)。突如集められた3人に与えられたのは、“3人で曲を作る“という無理難題だった。ともにミュージシャンとして20年近くに渡るキャリアを持つものの、共通するのは“40代”を迎えたということだけ。活躍するフィールドもタイプも異なる3人による音楽づくり。その最中に見えてきたものとは?

監督 : 中江裕司
製作 : 「40歳問題」製作委員会
出演 : 浜崎貴司、大沢伸一、桜井秀俊、スネオヘアーほか
配給 : ジョリー・ロジャー
URL : www.40sai-problem.com
12月20日より渋谷シアターN他全国順次ロードショー
PROFILE
1965年生まれの43歳。栃木県出身。1990年、FLYING KIDSでメジャー・デビュー。バンドは98年に解散。その後も自身のソロ活動はじめ、MCUとのユニット〈マツリルカ〉、小峰理紗とのデュオ〈ハマザキコミネ〉など精力的に活動。2007年にオリジナルメンバー6人で、FLYING KIDS再始動させ、自らの目指す音楽と向かいあっている。
LINE UP
40代を生きる3人のミュージシャンが何の前触れもなく顔を合わせて、一緒に曲を作る。その過程を通じて、三者三様の生き様にスポットを当てたドキュメンタリー映画『40歳問題』。前回は中江裕司監督に話を訊いたが、今回は3人のミュージシャンのうちの一人、浜崎貴司が登場。浜崎は88年にバンド、FLYING KIDSを結成し、TV番組『三宅裕司のいかすバンド天国』の出演をきっかけにメジャー・デビュー。98年にバンドは一旦解散するが、ソロ活動を続けながら俳優としても活躍し、昨年には小峰理紗とのユニット、ハマザキコミネを結成。さらにFLYING KIDSを再結成させたばかりだ。40代に突入して、人生の新しいステージに突入した浜崎に、映画のこと、そして、ミュージシャンとしての現在の心境を訊いた。

インタビュー・テキスト=村尾泰郎 写真=神ノ川智早


結局〈ロスト〉しっぱなしって感じ。
―― まず、完成した映画を観て、どんな感想を持たれましたか?
「1年半以上この映画に携わったんですが、細かいストーリーや、複雑だったエピソードが持っていた面白さが編集されてしまったなと。まぁ、映画だから当然ですけど。セッションなんかもそうですが、撮られてる瞬間は、もっとドキドキするスリリングな時間だったように思います」
―― 最初に3人が会う場面は、見ているだけでもとても緊張感が伝わってきましたが、現場ではいかがでした?
「僕は桜井さんとは面識があったので、そんなでもなかったですね。ただ、桜井さんとも大沢さんとも普通に個人的に会えば問題なかったんだけど、その裏側に〈曲を作ってもらえないかな〜〉的な匂いがスタッフサイドからあって。その話もキチンとされず、みたいな空気の悪さみたいなものが、映画から伝わるのかなって気がします。そのへんのスタジオで「あ、どうも、どうも」って紹介されるなら別になんてことないじゃないですか?でも映画では〈一緒に曲を作れって言われてんだよね?これ〉みたいな。曲を作るというのはまた特殊ですからね。作る方は裸になる部分がありますから、〈そんな簡単に裸にな れないんですけど〉みたいな(笑)」
―― 映画のなかで大沢さんが「乱暴だな」とおっしゃってましたか、浜崎さんはどう思われました?
「僕自身は案外、両手ぶらりなところがあるんで、なんか面白いものができるといいなみたいな感じで」
―― やるならやってみましょう、みたいな?
「そうですね。あんまり気にしないですね、僕は」
―― 反対に大沢さんは、ずっと抵抗しますよね。初めて大沢さんにお会いになった時の印象は?
「大沢さんはプロデューサーやDJという立場で仕事をされることが多いと思うんですね。自分一人で完結できる仕事だから、人見知りみたいなものもあるのかなぁって」
―― セッションを重ねるなかで、大沢さんに対する印象の変化はありました?
「人見知りだなと思うのはあんまり変わらないです。でも、セッションしていくなかで、人間というよりは音楽家としての向き合い方が重要になってくるんです。そこで出てくるアイディアとか、目線みたいなものが優れてるなと思ったりしましたね」
―― 桜井さんとは、これまで何度かご一緒したことがあるんでしたっけ?
「いや、そんなでもないです。若い頃、一緒に学園祭に出たことがあるくらいで」
―― 今回久しぶりに会われた感想は?
「俺、どっちかというと(大沢さんより)桜井さんのほうを理解するのに時間かかったかな」
―― どういうことですか?
「なかなか見えない人なんですよね。謎が多かったです。一緒にコンサートやって、ようやく〈ああ、そうなんだ〉と思って。映画が終わってやっと理解したことがいっぱいあります。桜井さんも(大沢さんと同じ)プロデューサー気質なんですよね。やってることは全然違いますけど、両方ともひとつひとつの部品を作って、全体を作り上げるのが大好きなのかなって。やりたいことがあって、それに対してどういうふうに向かって行くか、ということを考える仕事をいつもされてるんだと思います」
―― それは浜崎さんにはない部分ですか?
「僕のなかにも当然あるんですけど、僕には最終的にシンガーっていう逃げ場があるんで。「歌う番が来ましたから、どうぞ」って感じで、2人の間で〈お嬢〉になれるというかね(笑)。それまでは煙草吸ってりゃイイやみたいな」
―― この3人でセッションを重ねていく過程で、浜崎さんのなかで印象に残った瞬間はありました?
「最後に3人でライヴをやって、大沢さんがああやって帰って行って、結局完成しなかったんだなっていうところが印象深かったですね。〈ロスト〉しっぱなしって感じ。それがまあ、この映画の、実は真骨頂だなという気もします」
―― 映画を観ていると、3人のなかでは浜崎さんがけっこう監督と話をしているシーンがあって、スタッフ側にいる印象を受けましたが。
「まあ、それも監督の狙いだったりしますからね。監督も怪しいんですよ(笑)。飲んでるシーンがありますけど、あの人飲んでないもん。僕は普通に飲んでましたけどね」
―― 中江監督についてはどんな印象を持たれましたか?
「監督からは凄く意志を感じましたね。常に何か投げかけてくるんですよ、落としどころを。それを片っ端から僕達が拒否するみたいな(笑)」
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