アビイ・ロードの歩き方―私のビートルズとロンドン―THE WAY TO ABBEY ROAD『アビイ・ロード』のカヴァーを見ていちどはここを歩いてみたいと思った人からとくに何も思わなかった人まで、リアル・ピープルにきくそれぞれのビートルズ、そしてそれぞれのロンドン。

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#37 小学生のころからポールのようになりたいと思ってました (風祭東)

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1.誕生年と同じ63年製のエピフォン・カジノを抱えて。「ポールが63年のエピフォン・カジノを持ってるんですよ。ポールは右用のギターを逆にして弾いてるんですけど、たまたま同じ左利き仕様があったので。僕にとっては貴重なお宝です」
2.「To Azuma」と入ったポール・マッカートニーのサイン。「友だちが飛行機のファースト・クラスでポールに会ったときに、僕のぶんもサインをもらってくれました。友だちは、ポールがリンダさんに『あ〜ん』ってご飯食べさせてもらってる最中、『すみません』って声かけたそうです」
3.アビイ・ロード・スタジオでもらったパンフレットをはじめとしたアビイ・ロード・コレクション。「スタジオの地下に喫茶店があって、コーヒー飲んでる人がいたり、ビリヤードをやってる人がいたり」
4.1980年1月に行なわれる予定だったウイングスの幻の日本公演のパンフレット。

 ビートルズと出会ったきっかけは、いとこのお兄さんがバンドをやってて、そのお兄さんたちに影響を受けて。僕が小学4年生だったから1973年くらいですね。ちょうどそのころジーンズのCMで「シー・ラヴズ・ユー」が流れてて、お兄さんに曲を教えてもらって、レコード屋さんで「この曲が入ってるのをください」と言ったら、手渡されたのが日本盤LP『ビートルズ!(MEET THE BEATLES)』でした。そこからビートルズにはまっていきました。今から思えば、なかなかいい初期のベスト盤でしたね。
 現役で聴いたのは、ウイングスの『ヴィーナス・アンド・マース』。僕はなんといってもビートルズのなかでポールがいちばんカッチョイイと思ってたんです。アルバムがドカーンと売れてて、全米ツアー「オーバー・アメリカ」の時代だったんで、なんていったってポールがかっこいいと思った。ほとんどアイドルのような存在で、「僕もポールのようになりたい」とか、「ポールが弾いてる楽器がかっこいい」とか、夢中でした。小学生の当時はウルトラマンや仮面ライダーの延長線上にビートルズがいて、それと同じ目線でスーパーヒーローとして見てたんですね。ウルトラマンは卒業したけど、ビートルズは今でも憧れの存在です。
 ポールと同じ双子座っていうのはうれしいな。でも、僕もベースをやりたいと思ったのは、いとこがベースをやってたからで、ポールがベーシストだというのはあとから知りました。そして、中学になってようやくベースを買ってもらったときに初めて、ポールがぎっちょだって気づきました。実際弾いてみて、「ああそうか、僕と同じで逆なんだ」って。
 1997年にアビイ・ロード・スタジオに行きました。ナガハタゼンジくんというシンガーが、エルヴィス・コステロのファンで、コステロのバンド、アトラクションズとアビイ・ロードでレコーディングしたいというので、僕がサウンド・プロデュースという形でついて行って、約1週間ビートルズが使った第2スタジオにつめたんです。1階にフロントがあって、通路があって、第2スタジオのドアを入るとまずミキサー・ルームがあって。そこから階段を下りていくと、ビートルズが録音した場所。地下と1階が吹き抜けになっていて、けっこう広いんですよ、第2スタジオでも。自然のいいリバーブがかかって、ハンドクラップを録るにはすごくいい感じのところだなと思った。当時のビートルズの写真を見ると、コンソールの位置はずれてるんですけどね。日本では普通、楽器を録るときも歌を録るときも、別々になったトラックを好きなバランスにしてヘッドフォンで聴きながら録音できるんです。ところが、アビイ・ロードにはそういうシステムがない。ただトータルのミックスが返ってくるだけなんです。衝撃的でしたね。アビイ・ロードにもプロトゥールスがすでに入ってる時代にですよ。
 全スタジオを見せてもらったんですけど、第1スタジオはもっとでかくて、体育館くらいのイメージがありました。椅子とかが古くて、のちに『アンソロジー』で観て、ビートルズのレコーディングに参加してるオーケストラの人たちが座ってるのと同じだと、僕は確信してるんですけど。その赤い椅子をさわったり写真を撮ったりしてきました。「これはビートルズの時代にあったのかなあ」とか、とにかくビートルズにゆかりのあるものを探そうと、ミーハーみたいでした(笑)。

取材・文/吉野由樹  写真/小倉直子

風祭東
ミュージシャン、プロデューサー


1963年6月13日東京生まれ。ポール・マッカートニーと同じ左利きベーシスト&ボーカリスト。85年、チューリップを脱退した安部俊幸、姫野達也とともにALWAYSを結成し、86年にシングル「好きさ」、アルバム『ALWAYS BE TRUE』でデビュー。95年には杉真理、松尾清憲らとピカデリーサーカス結成。ミュージシャンとしての活動のほかに、プロデューサーとしても活躍。2008年にソロ活動を再開。6月14日には45歳の誕生日を記念して「アコースティック・ソロ・ライブVol. 1 〜45GO!〜」を下北沢440で行なう。
風祭東オフィシャルウェブサイト http://www.azuma-pop.com/


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