#38 ジョン・レノンの声とユーモアと頭の良さが好き (YO-KING)
1.UKオリジナル盤シングル・コレクションの一部。「アナログを集め始めたのは21世紀に入って、モノラルってものに興味を持ち始めてから。ビートルズのシングルはほとんどモノラルで出てる。当時のラジオはモノラルだからね。シングルの「レイン」を聴いてびっくりして、今まで聴いてた「レイン」はなんだったんだ、と。『ホワイト・アルバム』のモノラルとかすごい面白いよ。ステレオだと最初のSEの飛行機の音が左右にしゅ〜っ、でもモノラルは奥から手前にしゅ〜っ。後期のビートルズはエコーっぽいんだけどモノラルは乾いてる。本人たちのOKミックスはモノラルで、ステレオは後でジョージ・マーティンがやってるからね。「レット・イット・ビー」からはステレオだけになるんだけど、ビートルズはモノラルを聴くべきなの。本当はね」
難しいんだもん、ビートルズは。ストーンズは簡単にコピーできるけど。でもストーンズを好きになればなるほどビートルズのスケールがわかる。やっぱり1曲1曲新しい発明をしているようなもんだから。ストーンズはブルースとかロックンロールをコピーしながら“あ、新しくなっちゃった”みたいな感じだと思うけど、ビートルズはもっと意識的だったと思うんだよ、新しいことに関しては。それが大成功してるのがすごい。よく言われるのは、最初は黒人のカバーから始めたっていうけど、実はドゥワップを4ピースのビート・バンドでやったのはビートルズが初めてだったと。あれは当時の超最先端。音楽的なマナーに反したことをわざとやってる。で、7〜8年で『アビー・ロード』まで行っちゃうってのはすごいですよ。めちゃめちゃ忙しかったと思うけどね。それがちょうど20代に当たってたっていうのも素晴らしい。ジョンとポールがひとつのバンドにいたっていうのもね。ふたりいたから後天的に天才になった部分もあるだろうけど。先天的な天才成分があってこその後天的な天才だから。
ジョンが死んだのは中1のときだけど、あまり覚えてないんだよね。大学のときはビートルズは聴いてなかった。やっぱ若いからメジャーなものを毛嫌いするじゃない。特にビートルズって下手すると親の世代も大好きなバンドだからさ。そういうのもあって、若気の至りで。再発見のきっかけは何だったんだろう。しばらく聴かなかったことで『キング・オブ・ロック』(95年にリリースされた真心ブラザーズの会心作)ができて、でも街でジョンの声が耳に入ってきたんだと思う。そしたら異常に染みて。本当は好きなのにひねくれて聴かないっていうだけだったから。で、96年に「拝啓、ジョン・レノン」を書いた。そうね、ジョン・レノンはもちろん大好き。ここは俺とは違う、っていうところはあるけど。どこに惹かれるんでしょうね。声とユーモアと頭の良さかな。頭のいい人が好きなのよ、俺。すっごいダメ人間だったんだろうな、とも思うけど(笑)。
ロンドンには『キング・オブ・ロック』のTDで行った。でもビートルズを聴いてない時期だったから、いわゆる名所は全然行ってない。もったいないなぁ。でもリバプールよりニューヨークのダコタ・ハウスとかに行きたい。
今は正直言ってビートルズはあんまり聴いてない。でも一生、熱病がときどき来る存在だろうね。今はたまたま来てないだけで。リンゴのフィルが聴きたい、とかね。そんなときがあるんだよね。
取材・文/佐々木美夏
YO-KING
ミュージシャン
1967年生まれ、東京都出身。早稲田大学在学中に桜井秀俊と真心ブラザーズを結成し、89年デビュー。フォーク・デュオとしてのスタートだったが、その後あらゆるジャンルの音楽を取り込んだサウンドを確立させ、看板ボーカリストとして不動の人気を誇る。並行してソロ・アーティストとしても活動し、“日本一かっこいい40代”を目指す。2008年7月2日には真心ブラザーズのライブ・アルバム『LOVE ME LIVE〜MB’S BEST LIVE 06-07〜』をリリース。初回限定盤は抱腹絶倒のMC集がついた2枚組。2009年は祝・20周年!






