
ピアノ界の異端児。世界をあっと驚かせたカナダ人ピアニスト。孤高の天才。
音楽作品だけではなく、特異なピアノ演奏スタイルや執筆活動、ラジオやテレビ番組の制作、謎に満ちた私生活など、そのこだわりの生き方に惹かれる人も多いのではないだろうか。
グールド生誕の地であるカナダ最大の都市、オンタリオ州の州都トロントを訪れ、彼の足跡をたどった。グールドが愛し、終生を過ごしたカナダを旅することで、新しい発見があるのかもしれない。

1982年10月4日、50歳という若さで急逝したグレン・グールド。多彩な才能と、個性的な生き方に今もファンが多い。
トロント・ピアソン国際空港から車で約30分。カナダは美しい湖がたくさんあることでも有名だが、ここトロントも、オンタリオ湖に面した豊かな自然と近代的な都市がうまく調和した個性的な街並みだ。
訪れたのは2008年9月。ちょうどトロント国際映画祭の時期で、私たちが到着する前日には、フランソワ・ジラールの「グレン・グールドをめぐる32章」(1993年)が上映されていた。
多民族が暮らし、多彩な街並みが揃うトロントは、ハリウッドの映画製作も多く行われるそうだ。グールド自身も、ドイツ系移民の血を引き、元はゴールド姓だったという。
「誰の取材?」カメラを片手に街を歩くと、よく声をかけられた。「グレン・グールドです」と応えると「おー。彼は、素晴らしいピアニストだ!」と気さくに応えてくれる街の人々。
トロントの人たちはとても活動的だ。午後5時には、グラウンドで草野球に興じたり公園をジョギングする人々で賑わう。聞いたところ、トロントニアンに残業はないらしい。そんなおおらかな雰囲気もトロントの魅力だ。
グレン・グールドの個性的な生き方を受け入れる土台が、この街にはあるのだろう。








































