上原ひろみ INTERVIEW
Real Jazz

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PROFILE
1979年静岡県浜松市生まれ。ボストンのバークリー音楽院を首席で卒業、在学中の03年にアルバム『Another Mind』でデビューした。今年1月にチック・コリアと共演したブルーノート東京でのステージを収録したライヴ盤『Duet』をリリース。好評に応え、4月30日にチックと日本武道館公演を行う。5月21日は5thアルバム『ビヨンド・スタンダード』を発売する予定。
オフィシャルHP 
www.yamaha-ma.co.jp/art/official/hiromiuehara/

ALBUM デュエット/チック・コリア&上原ひろみ
デュエット/チック・コリア&上原ひろみ
初回限定盤2CD+DVD/ユニバーサル/UCCO-9181 ¥3,500 (税込)
通常盤 2CD/UCCO-1034/5 ¥3,200(税込)

LIVE
チック・コリア&上原ひろみ コンサート「デュエット」
日時:4月30日(水) 開場18時/開演19時
会場:日本武道館
公演公式HP:www.chickhiromi.com
(問)ホットスタッフプロモーション 03-5720-9999

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 1年の大半を海外ツアーで過ごすというピアニストの上原ひろみ。海外のジャズ・フェス出演経験は豊富で、おもなフェスはほぼ総ナメにしていると言ってもいいほど。そんなジャズ・フェスの達人がオススメする楽しみ方とは? そんなおかしなフェスがあるの? 海外のジャズ・フェスに行く前に読んでおきたい、貴重な体験談を聞いた。

インタビュー・文/榑林史章
「私、大スター?」って勘違いしそうなくらい、ウワーって盛り上がる。
———これまで出演された主なジャズ・フェスにはどんなものがありますか?
上原:モントリオール、モントレー、ロスのプレイボーイ・ジャズ、JVCジャズ、ニューポート、ノースシー、イタリアのウンブリア、モザイク、インドネシアのジャワ・ジャズ……私の場合は出演する側なので全部良い想い出になっているけど。特にジャワ・ジャズはいろんな意味で良い経験になりましたよね。まず、すべてのスケジュールが良くて1時間遅れっていう(笑)。
———良くて1時間?
上原:そう、それが押せ押せでどんどんズレていくもんだから、夜の11時に始まる予定が夜中の1時になったり。客席にヒヨコ売りが入って来て……客席と言っても椅子もなく地べたに座るか立ってるかで、それで1500人くらい観客がいるんだけど。演奏中ずっとピヨピヨ鳴いてるんです(笑)。それに、あんなにビデオを撮ってるのは見たことないってくらい、お客さんがホーム・ビデオで録っていて。客席が赤いランプで埋まってるくらいの感じ。録る気満々で三脚立ててる人もいましたよ。
———それがYouTubeにアップされたりとか?
上原:イベント自体が国営放送で中継されるんで、YouTubeにはその映像がアップされてたけど。でもその代わり、お客さんのエネルギーがものすごかった。
———ジャズを渇望しているみたいな?
上原:もっとお祭りの感覚かな。「私、大スター?」って勘違いしそうなくらい、ウワーって盛り上がる。そのうち誰が出てもそういう反応なんだって気づくんだけど(笑)。ああいう反応は、演奏する側としてはすごい気持ちいい。土着のエネルギーと言うか、今楽しまなきゃ損だみたいな感じがあって。私も自分の演奏が終わったあと、観客としていつのまにか現地の人と一緒にウワーッて盛り上がっちゃったし(笑)。
———印象に残っているとか、やって良かったと感じたフェスはありますか? ずっと出たいと思っていて実現したものとか。
上原:私のプロとしてのデビュー・ステージが、イタリアのオルビエートでやっている、ウンブリア・ジャズ・フェスティバルの冬版だったんです。アーマッド・ジャマルの計らいで彼の前座だったんですけど。そのときの会場は、すごくきれいな由緒正しい感じのオペラ座みたいな劇場で、お客さんもアーマッドのファンだから年齢層高めで。私の演奏を見てみんなびっくりしてたけど、それもすごく面白かった。そこは本当に田舎町で、フェスのときだけイタリア中から人が集まって、町中がお祭りになるんだけど。みんなワインボトルを持って歩いていて、すれ違う人みんなにつぎまくるんです。私、郷に入っては郷に従えと思って、つがれるまま全部飲んでたらフラフラになっちゃって。気づいたらジャム・セッションでドラム叩いてた(笑)。四日間いたんだけど、日に日に友だちが増えていって。街を歩いていると「ひろみ!」って声をかけられたり。今でもイタリアに行くと、そのときの友だちが観に来てくれる。そのときのステージは忘れられない想い出ですね。
———人の輪が広がるんですね。
上原:フェスって、お客さんだけじゃなくいろんなアーティストにも観てもらえて、そこで縁が生まれることもあるんです。例えばシンガポールのモザイク・フェスに出たとき、演奏が終わってホテルに戻ったらボブ・ジェームズから「是非会いたい」ってメッセージが残っていて。「え!?」ってビックリでしたよ。ホテルのロビーでボブとネイサン・イーストと会ったんだけど、偶然に私のステージを観てくれたらしくて「良かったよ」って興奮しながら話してくれて。私はボブ・ジェームズが目の前にいる驚きとライヴの疲れで、何だかもう夢のようでクラクラしてたんだけど(笑)。その夜のジャム・セッションにも「ひろみが行くなら僕らも行く」って、ボブとネイサンも急遽参加することになって。普通はそんな大御所がジャム・セッションなんかには出ないんですよ。だからお客さんもすごいサプライズで大盛り上がりになっちゃって。ボブとネイサンとは、そのときからずっと仲良くしてもらってます。
———誰がどこで観てるかわからないですね。
上原:ホントそう。同じようなケースでは、スペインのヴィクトリア・フェスのとき。楽屋に戻ったら、ステップス・アヘッドのメンバー、ビル・エヴァンスとスティーヴ・スミス、リチャード・ボナの3人が訪ねて来てくれたし。そうそう、あと初ステージのウンブリアのとき忘れられないことがもう一つあった。ステージ袖からマルグリュー・ミラーとケニー・バロンが観ていたんです。デビュー・ステージでしかも前座なのに、そんな大御所が観てるっていう!
———すごいプレッシャーでしたね。
上原:3曲目が終わったところで気づいたんだけど、エライところに来ちゃったと思って。やるしかないって、これでダメだと思われてもしょうがないやと思って精一杯やったんだけど。でも、それがきっかけでケニーとは仲良くさせてもらってます。ホント、フェスには出会いが転がってますね。あと、ミュージシャン以外の演劇とかいろんなパフォーマーが出る、アート・フェスみたいなものも面白いですよ。2006年にドイツでやったモエ・フェスとか。
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