10月中旬にロンドン特派リポーター募集して約1カ月半。読者代表に選ばれた亀渕昭信さんと音楽ライター保科好宏さんが、12月10日、ロンドンO2アリーナで行われた「アーメット・アーティガン・トリビュート・コンサート」を緊急リポート!
――まずは、亀渕さんから、今回のロンドン特派リポーターにご応募してくださったいきさつについてお話していただけますでしょうか。
亀渕昭信(以下K):僕は『Newsweek』日本版を毎週楽しみに読んでいます。エンターテインメントの話題もけっこう多い、とてもやわらかい週刊誌というところがとっても好きなんです。10月のなかばに今回のリポーター募集の広告記事が出ているのを見つけたんです。レッド・ツェッペリン再結成のことはその前から知っていたんですけど、そのうちDVDも出るだろうから、コンサート観に行くのはギブアップしようかなと思っていたときでした。応募の作文を書くまでは、「亀渕」って名前はちょっと目立つかも知れないし、いろいろと迷ったんですけど、でもまぁ、「やってみようか。失敗を恐れずチャレンジしよう!」って(笑)。当選のメールをいただいたときにはウソだろ? ってほんとに自分のほっぺたをひっぱたきました(笑)。
保科好宏(以下H):今回は400字程度で「レッド・ツェッペリンへの熱い想い」を書いていただくという応募規定がありました。僕も文章を書くものとして、「熱い想い」を400字で書くのってすごくむずかしいと思います。応募された方のほとんどがツェッペリンへの想いについてのみ書かれていたんですけど、今回のコンサートの趣旨はアトランティックレコーズの創業者アーメット・アーティガンへのトリビュートということで、ツェッペリンのみならず、アトランティックレコーズやアーティガンに対する想いもすべて入っていたのは亀渕さんの原稿だけでした。
K:やったーっ!(笑) ……でも、当選してからは、このWEBを読んでいる方の代表としていくわけですから責任重大で、プレッシャーかかりましたよ。
――では、コンサート当日の会場の様子からお話いただけますか?
K:前日のチケット受け渡しのことからお話したほうがいいでしょうね。
H:僕と亀渕さんの2人で会場のO2まで行ったんですが、午後3時頃に着いたら長蛇の列で、チケット引き換え所にたどりつくまでに2時間かかりました。
K:チケット引き換え所では、申し込みが確認されてチケット発券と同時にリストバンドを巻いてくれるんです(右写真参照)。巻かれるたびに、30,40代のいい大人が「キャーッ」って大声をあげて喜んで。それが印象的だったね。
H:当日はこのリストバンドとチケットがないと入場できないシステムになっていました。
K:当日、会場に行くときに素敵だなと思ったのは、地下鉄の出口からO2アリーナの正面玄関までの間に、写真の入った大きなボードがたくさん並んでいて、それはポピュラー音楽の歴史を説明しているものでした。「エンターテインメントはこうして始まった」という説明書きとフランク・シナトラの写真があったりして、それからエルビス・プレスリー、ビートルズ、ローリングストーンズ、マイケル・ジャクソン、ヒップホップ、ツェッペリン…そういうのが7,8枚連なっている。それがとても素敵でね。
H:やっぱり英国はポップ・ミュージックの国、という感じがしましたね。
K:コンサートの前に、ハンバーガーショップで食べていたら、隣に座っている女性が「LAタイムズ」の記者で、保科さんが取材されたんだよね。
H:僕もジャーナリストなんだけどいいの?って聞いたら、「またまたぁー」なんて冗談と思われちゃったりして(笑)。
K:ところがさ、そのLAタイムズに、ほんとに保科さんのコメントが名前入りで紹介されているんだよね、ほら!(と、「LAタイムズ」のWEB版のプリントを見せる。そこには「Led Zeppelin rocks again in London」というコンサート記事に、日本から来たファンとして保科さんのコメントが掲載されている。)
H:まだライヴを観る前だったので、ロバート・プラントの高い声が出るかどうか、ジミー・ペイジがギターをちゃんと弾けるかどうかっていう、僕の少し懐疑的なコメントが載ってます。
――それでは、コンサートの模様についてお聞かせください。
H:開場が18時頃で、ウィークデイということもあってか観客の出足は悪かったですね。19時の開演になってもまだ1階のシート席は半分ぐらいしか埋まってなくて。みんなコンサート慣れしているというか、ツェッペリンが始まるのは21時からということをすでに知っているんですね。
K:最初はみんな1曲ずつ。プログラムにあったR&B系の人はまったく出てこないし、ピート・タウンゼントも出てこないし、いったいこれはどうなってしまうんだろうと。ビル・ワイマンと一緒にギターを担当していたアルバート・リーは良かったね。アルフィーの坂崎幸之助さんみたい。エブリシングOK、なんでも弾ける。それからキース・エマーソン、ポール・ロジャーズ、パオロ・ヌティーニ、マギーベル。
H:ポール・ロジャースだけが2曲やって、あとはみんな1曲。ロン・ウッドも出ませんでしたね。
K:完全にツェッペリンをウォームアップするための演出だったよね。やるほうもそれを知っていて、みんなアーメット・アーティガンについてひとことずつコメントするんだけど「今日はしようがねぇよな、ツェッペリンの日だよね」みたいな感じ。
H:おそらくツェッペリン前のセットは、全部で1時間ちょっとという感じですかね。
K:それで休憩になって、ステージでセットチェンジしているわけ。望遠鏡で見ると、ツェッペリンのマークの入ったジェイソンのドラムが出てきたりして。あれ? こんなに早く出てくるわけ? ピート・タウンゼントも出てないし、おかしいよね? サム・ムーアはどうしたの? って。保科さんが“あれはどう考えてもツェッペリンのセットです”って。ツェッペリンのセットでほかのヤツが歌うわけないよなって、言っているうちに始まっちゃったんですよね。ね?
H:突然でしたよね。で、最初の2,3曲はやっぱりちょっと不安定な感じがあって、亀渕さんが僕に最初にひとこと。「これ、最後までもつかな?」と言ったんです。。
K:ジェイソンのドラムは最初からしっかりしていてよかったんだよ。あとはあぶないよな、これって。1曲目の「グッドタイムズ、バッドタイムズ」。あれ、ほんと、「バッドタイムズ」だったよね(笑)。
H:本人たちも相当緊張感があったと思うんですよ。あれだけ長い年月やっていなかったんですから。6週間リハーサルをやったそうですけど、彼らにとっては大バクチだったと思いますよ。それとPAのバランスも、客のいないリハーサルのときと客がびっしり入ってからとでは、“鳴り”がぜんぜん違うし、大体最初の3曲目ぐらいまではどうしても音が良くないという理由もあるので、最初はよくなかった、とはいちがいには言えないと思います。でも、PAのバランスが悪いと、ヴォーカルのちょっと不安げな歌い方とかが伝わってきちゃうし、たしかに最初は、ほんと大丈夫かなと僕も思いました。
K:でも3曲目の「ブラック・ドッグ」のお客さんと「ah,ha」って掛け合いするところ、あのあたりから調子が出てきたんじゃない? お客さんもやっとその気になってきて。
H:そうですね、あのあたりからですよね。でもやっぱりというか、さすがというか、不思議なもので、だんだんあったまってきて、エンジンがかかってくると、ロバート・プラントがMCで言っていたように、“バンドマジック”が生まれてくるんですよね。後半になるにしたがって、どんどんよくなってくる。ジミーまで昔のようにギターを持ちながらステップ踏みはじめて、ロバートもそれに応えて…それ観て、もうほんとに鳥肌が立ちましたよね。うわー、彼ら完全に昔に戻っちゃったよなって。

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亀渕昭信さん(左)と保科好宏さん(右)。亀渕さんは、64年(株)ニッポン放送に入社、69年から「オールナイトニッポン」のDJを務め「カメ」の愛称で大人気に。99年同社代表取締役社長を経て、現在同社相談役。保科さんは10代にブリテッィシュ・ロックに目覚め、渡英歴はすでに30回を超える。PIGなど海外アーティストのマネジメントも手がける
チケット引き換え所(写真上)では、申し込みを確認してチケットを渡すのと同時に、本人であることを証明するリストバンド(写真下)を手首に巻いてくれた。誰もが思わず歓喜の声を上げたくなる瞬間
