Muse-女性シンガーの現在地 万波麻希
Profile
1977年大阪生まれ。幼いころから広く音楽をたしなみ、大阪芸術大学中退後、ミュージカルを志し19歳で渡米。現地でゴスペル、コーラスダンサー、ジャズシンガーなど、様々なキャリアを積む。クラブシーンをはじめ、舞踏や映画音楽など他分野とのコラボレーションも活発で、これからの活動に注目が集まる女性シンガーの1人である。
Album
MAKI MANNAMI 『THE WORLD OF SENSE』
Official Site
万波麻希 〜Maki Mannami〜 『10th insight』 http://www.10th-insight.com/
News
〈『夜ジャズ experience』 vol.7 〜MAKI MANNAMI 『THE WORLD OF SENSE』RELEASE PARTY〉。ライブ出演は万波麻希、アキコ・グレース・トリオ、TRI4THほか。本作プロデューサー須永辰緒と小西康陽によるレコードコンサートも。
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Muse-女性シンガーの現在地


個性豊かな女性シンガーの今を切り取る〈muse - 女性シンガーの現在地〉。 今回は、新作『The World Of Sense』の折衷的なサウンドが注目を集めるシンガー万波麻希さんです。
インタビュー・テキスト=小川充 写真=鈴木啓太(PLOT. lv04)

百戦錬磨のアーティストを贅沢に配したアルバム
―― 万波麻希。今、才女という言葉がこれほどふさわしいアーティストはいないだろう。作詞・作曲、アレンジ、ピアノ、プログラミング、ヴォーカルを全てこなし、その音楽性もスピリチュアル・ジャズにプログレ、現代音楽にミュージカル、エレクトロニック・サウンドにアコースティック・サウンドと、あらゆるものが混沌と渦巻いている。そして、その混沌からは毒を含んだ美しさが妖気のように立ち上ってくる。この10月、万波麻希はファースト・アルバムである06年の『Journey Of Higher Self Liberation』から2年半ぶりに、新作『The World Of Sense』を発表した。前作ではプログラミングをベースに演奏を加えるというものだったが、今回は生演奏がより前面に出たものとなっている。
「基本的には前作から一貫したスピリットで作っていますが、編成も全然違うし、手法も異なって、全体としてはより広い世界に行ったのかなと思いま す。打ち込みで作品を作る前からアコースティックな音楽はやってきて、いつかアコースティックな作品を作りたいという欲求があって、今回それが実現できたという感じですね。いろんな人の演奏をフレーズとして編集したり、そこにプログラミングやSEを被せて加工するという作業があり、そうした全体をまとめるという部分が自分の中では大きい仕事だったと思います」
―― 本作は須永辰緒がトータル・プロデュースで、選曲やミュージシャン選び、アレンジに関するアドヴァイスを行い、参加メンバーも前作から大幅に増えている。前作にも参加し、映画『パビリオン山椒魚』のサントラでも共演した菊地成孔がサックス、その菊地成孔ダブ・セクステットから類家心平がトランペットで加わるほか、RockmencoのKSK Aritaがヴォーカルで参加。また、soil & “pimp” Sessionsの丈青、quasimodeの平戸祐介がピアノ、indigo jamunitの清水勇博がドラムス、JAMMERLOOPの永田雄樹がベースと若手クラブ・ジャズ・バンドの面々も目につく。さらにイタリアからニコラ・コンテが“Lotus Sun”の作詞・作曲とバックの演奏、ドイツのエレクトロニカ・シーンから才女AGFがミックスとヴォイスで参加と、インターナショナルな顔ぶれが揃う。
「ニコラは昔ロンドンでライヴを観てすごく感動して、いつかこんな人に曲を書いてもらえたらとラブレターを送って、それで彼とは仲がいい辰緒さんもプロデュースだからと快諾してもらえたんですよ。丈青さんや平戸さんとはレコード会社からコラボを勧められました。私自身はピアノも弾きますが、ジャズピアニストとは思ってなくて。作品として完成度の高いものにしたかったから、ジャジーな曲は自分で弾かずに彼らに頼んだんです」

「菊地さんは前作からのお付き合いですけど、その時は「とにかくフリーキーなサックスを吹いて下さい」と、私が彼の教えてる大学まで機材を担いで行ったんですよ(笑)」

「でも、おかげで本当にいい素材が手に入って、それからいろいろお付き合いが始まりました。でもお忙しい方だから、今回は16章節のフレーズを吹いてもらうだけで、だいたい時間にして10分くらいで録りは終わりました(笑)。類家さんは以前ファッションショーの仕事で一緒にやったことがあって面識はありました。辰緒さんからはKSK Aritaさんはじめ、その他いろいろなミュージシャンの方を紹介してもらったという感じですね。でも、これだけたくさんのミュージシャンの方がいると、普通はまとめるのが大変なわけですが、今回はゲスト・プレーヤーとしてそれぞれの演奏を引き立てるという形ではなく、あくまで楽曲を構成する素材の一部として皆さん理解してやってくれましたので、私にとってはとても贅沢なものとなりました」
―― エフェクトなどによってマジカルな空間を生み出す万波麻希だが、今回はアレンジ面でさらに凝った試みも行っている。その1つとして弦楽八重奏をフィーチャーしており、前作に比べてサウンドに奥行きと豊かな表情が加えられている点が挙げられるだろう。
「高校生の頃からストリングスをアレンジすることが夢だったんですよ。でも、そんなに本格的なことを知ってたわけではないから、本を読んだりDVDを観たりして独学で勉強しました。だから、ストリングス・パートのアレンジだけで1ヶ月くらいかかりましたね。最初はカルテットの予定で、カルテットについては多少の知識はあったんですが、辰緒さんが8重奏の方がいいよとアドヴァイスしてくれて、余計に大変なことになりましたね(笑)。でも、今回外注じゃなく自分で全てアレンジしたことは、とてもいい経験になったと思います」
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