浅黒い肌に形のよい口ひげ、そして陽気なトーク。ギターをかき鳴らしつつスペイン語の歌を熱唱するサム・モレーノさんは、一見するとメキシコ人に見える。が、実は生粋の日本人。民族音楽「ランチェーラ」に魅せられてメキシコで音楽修行を積み、30年以上にわたって活躍しているプロのミュージシャンなのだ。
恵比寿にある『EL RINCON DE SAM』は、そんなサム・モレーノさんが、ランチェーラとメキシコの素晴らしさを伝えるために開いたレストラン。「ランチェーラというのは、日本でいうなら歌謡曲と演歌をミックスしたような音楽です。メキシコの庶民は、ランチェーラを聞きながらお酒を飲んだり踊ったり。毎日のように、盛り上がっているんですよ」と教えてくれた。
店では、毎晩7時30分からと9時からの2回、サム・モレーノさんのソロ・ライブを開いている。ランチェーラはもちろん、ラ・バンバやベサメムーチョなどラテンのスタンダードナンバーも演奏。甘く艶のある歌声を間近で聴ける、ぜいたくなステージだ。
さらに月に1度、サム・モレーノさん率いる楽団「マリアッチ・サムライ」のライブも開催。こちらは、トランペットやヴァイオリンも加えた5人編成。マリアッチの本場、メキシコ・グアダラハラで開かれた“マリアッチ・フェスティバル”にも出演した本格派だ。
料理は、メキシコで料理を学んだ妻のルミさんが担当。メキシコから取り寄せたうちわサボテン“ノパル”を使ったサラダや手づくりのトルティーリャなど、本場の家庭料理が楽しめる。ルミさんは、ダンサーとしても出演。カラフルな衣装をまとい、サム・モレーノさんの曲に合わせてメキシコの伝統舞踊を披露する。
「メキシコの奥深い文化を、もっと知って欲しい」とサム・モレーノさん。情感あふれる歌声と本場の家庭料理をいただきながら、メキシコを五感で感じられる店だ。
取材・文/渡辺裕希子 写真/岡村智明
1-2. 店名は、スペイン語で“サムの片隅=心やすらぐ所”という意味。メキシコの片田舎をイメージした、ほっとやすらげる空間だ。マリアッチのほかにも、アルゼンチン・タンゴやキューバ・ソンなど多彩なライブイベントを開催。
3. ランチェーラを熱唱するオーナーのサム・モレーノさん。CDを出しているほか、ディナーショーやコンサートにも出演している。ちなみに名前の“モレーノ”とは、“褐色の男”という意味。
4. 恵比寿駅東口から歩いて3分程度。1997年のオープン以来、メキシコの音楽や料理、文化などを、幅広く紹介している。
5. 「ノパルサラダ」1050円は、食用のうちわサボテンをアボカドやトマトと一緒に楽しめるメキシコではポピュラーな一品。ポーク、ビーフ、チキンの3種類から選べる「タコス」は840円。どちらも、「マルガリータ」945円との相性が抜群だ。
EL RINCON DE SAM
東京都渋谷区恵比寿4-6-1 恵比寿MFビルB1
03-3442-1636
18:00~深夜0:00
日曜・祝日
ミュージックチャージ500円


