かける音楽は、戦前から70年代までのロック、ソウル、ブルース、ジャズ。ジャンルは問わない。しかし「時代」にはこだわる。
「70年代までの音楽って、多重録音はあったけれど、打ち込みはまだなかった。だから、アナログ録音ならではの良さがあったんです。そんな時代感が好きなんですよね」と店主の平野敏樹さんは語る。
中学時代から音楽少年だった平野さん。お小遣いを貯めて最初に買ったレコードは、サザンロックの先駆者CCRだった。そしてお金が貯まればレコードを収集する生活が始まり、気づけばアナログレコード1万枚、CD1万枚のコレクションを持つまでになっていたという。その音楽に対する情熱をいかすべく、平野さんはソニー・ミュージックエンタテインメントに勤務。22年に渡り、洋楽、邦楽の企画、宣伝、制作に携わってきた。
「ストーンズの東京公演の際、メンバーと一緒に弁当を食べたのは嬉しかったなあ」と笑うが、仕事だけでは自身の音楽への情熱は満たされなかったという。そして「自分の好きな曲をかける自分の店を持ちたい」と、脱サラ。2002年に「キング・ハーベスト」をオープンしたのだ。
店に置かれているのは、平野さんの膨大なコレクションから厳選された2000枚ものアナログレコードとCD。ゲストのリクエストや季節に応じて、定期的に入れ替えをしている。オーディオ機器においても、「時代」へのこだわりは同じ。使用しているのは、学生時代から使っていた70年代のヤマハのスピーカー。デジタル時代になる前のものなので、アナログ特有の温かみのある音を聴くのに最適なのだとか。
「アイリッシュ・ケルトのヴァン・モリソンは、アイリッシュウイスキーを飲みながら聴いて欲しい。トム・ウェイツなら、彼がCMで飲んでいたバーボンが似合うだろうな。エリック・クラプトンの『ワンダフルワールド』は、キリンラガービールに合うんじゃないかな。音楽って、酒と料理のおいしい友達なんですよ」
酒×音楽のごきげんなマリアージュまで教えてもらったら、きっとこの店で過ごす時間は、もっと深く楽しくなるはずだ。
取材・文/高橋かおり 写真/関根則夫
1. 30~40代の音楽好きをはじめ、音楽業界の人も多く訪れるという。
2.「SOUL PACK」「Chicago Sound」など、日本国内で70年代に生産されたソウルのコンピレーションアルバムは、ほぼすべて網羅。当時大流行し、各レコード会社が制作したもので、今では外国で高値で売られているという。
3. 70年代の名機ともいわれるヤマハのスピーカー。温かなアナログ録音の音を聴くのに最適。
4.店内には2000枚ものLP、CDが置かれ、リクエストも受けてくれる。ほとんどが洋楽だが、平野さんがソニー時代の最後に、企画から関わった小坂忠など、邦楽も一部置かれている。
5. 胡椒がきいた「特製ポテト(ジャーマン風)」650円は、どんなお酒にもピッタリ! 「ピザ(マルゲリータ)」850円。ピザ、パスタ類は、ソースや具をリクエストでき、お好みで作ってくれる。「キリンラガービール」750円。
KING HARVEST
東京都港区赤坂6-3-8 高松ビルB1F
03-5545-4758
18:00~翌1:00
日・祝
サービス料10%、佐賀地鶏のオーブン焼き997円、ピザ、パスタ(リクエストOK)840円~


