東京 大人の遊び場
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webマガジン e-days(イーデイズ)東京 大人の遊び場BAR中央線

ひとりでもじっくり酔える、77年オープンの老舗ロックバー
ROCKIN’CHAIR

 新宿歌舞伎町に77年にオープン。時代の移り変わりに伴い閉める店が増える中、老舗バーとして愛され続けるのが「ロッキン チェア」である。

 かけるのは50年代~現代までのロック、ポップス、ソウル。店でよくリクエストされる曲を中心にCDを流している。
「当店は大人が集うバーです。30~50代までのお客様が多く、青春時代に聴いていた曲を聴きに来られるんです。よくかかるのはジェフ・ベック、エリック・クラプトンといえばイメージしやすいでしょうか」とマスターの奥田耕史さんは語る。またマスターによると、大人のロック好きならではの楽しみ方はひと味違うという。

「お客様はお一人でいらっしゃる方やカップル、グループなど、様々。そして5時間も6時間も滞在される方もいらっしゃいます。週一で通われる方も多いんですよ。大人になると、今日はあの店のあの料理が食べたいと思う日があるでしょう。それと同様に、音楽に飢えたら今日はあの店であの曲が聴きたいって思うものなんです。一方、20~30曲もリクエストする外国人のゲストもいらっしゃいます」

 店内中央のテーブルにはアンティークの蓄音機が鎮座。天井からは蓄音機のホーンを利用したランプが下がり、足踏みミシン台を改造したテーブルが連なる。遠い昔にタイムスリップしたような、老舗に長く流れる独特の濃密な時間も実に心地いい。そんな空間で懐かしい音楽に身をゆだねる。まるでロッキングチェアに座っているように、ゆるやかで心地いい、そして自由な体験ができることをお約束しよう。

取材・文/高橋かおり 写真/関根則夫

ROCKIN’CHAIR

1. 梁が印象的なウッディで落ち着く店内。
2. 蓄音機を利用したランプやミシン台を活用したテーブルなど、ユニークで味わい深い。
3. CDのリクエストブックを見てリクエスト曲を選んだら、この紙に記入してスタッフへ。
4. オンエアされているCDジャケットがここにかかる。
5. 「ナチョス」780円とグレープフルーツで甘味を抑えたシャンパンカクテル「ロッキン チェア」1300円。2時間飲み放題で3500円(チャージ込み)ほか、つまみやフードを合わせたプランも豊富にある。

ROCKIN’CHAIR

住所 東京都新宿区歌舞伎町1-7-5 トーシンビルB2F

電話番号 03-3200-4715

営業時間 19:00~翌5:00

休日 無休

金額 テーブルチャージ600円、ロッキンピザ980円、キリン一番搾り(生)700円、ギネス(生)800円、ハイネケン(瓶)700円、自家製梅酒(ウイスキー仕込み)900円


60年代~最新までの洋楽ロックをカラオケ感覚でリクエストできる!
SHUFFLE BEAT

「お店を作るのはお客様。その日のお客様の色で、お店の色も決まるんです」とロックバー「シャッフル ビート」店長の鎌田哲さんは語る。なぜならかける曲の大半は、客のリクエストだからだ。

 ロックバーとうたいながら流す曲のジャンルや年代を絞っていたり、リクエストがしづらい店もある。しかしこの店はカーペンターズがかかった後に、メタルやパンクが流れる。加えてカラオケ感覚でリクエストが楽しめるため、フードや酒をオーダーする前にリクエストブックを繰るゲストも少なくないとか。

 店にあるCDは約1300枚。レッド・ツェッペリン、クイーン、ニルヴァーナ、オアシスなど、60年代から最新のものまで、洋楽ロック全般を網羅している。3機あるCDデッキを駆使して1曲ずつかけてくれるが、時には客が持参したCDも流してくれるという。

 音楽を軸に仲間が増えるのもこの店の特徴だ。居合わせた団体客同士がリクエスト合戦を始めたり、「この曲知ってる?」とゲストの間で会話がはずむなど、客同士のコミュニケーションは多い。またほとんどのスタッフはバンド経験者や現役バンドマンで、客がスタッフのライブに出かけることもあるとか。

 さらに2ヵ月に1度、店でフリーライブを開催。常連客がスタッフとともにステージにあがることもあるという。
「お客様同士を繋げるのも、僕達スタッフの役目です。こんなに楽しく魅力的な仕事はないですよ」と鎌田氏。

 好きなロックを聴きながら、おいしい酒と料理を楽しむ。そして音楽を愛する仲間との出会いも待っている。ロック好きにはたまらない一軒だ。

取材・文/高橋かおり 写真/関根則夫

SHUFFLE BEAT

1. ウッディ調にまとめられた店内。壁一面にアーティストのポスターやCDジャケットのコピー、ライブのバックステージパス、ギターなどが飾られている。
2. スピーカーはJBL。カウンターの後ろに2台、テーブルエリアに2台設置している。
3. このリクエストブックをもとに、専用の用紙にリクエスト曲を書き、スタッフに渡す仕組み。
4. CDは約1300枚。持ち込みもOKだ。
5. 生地もトマトソースも自家製の「マルゲリータ」980円。「マンゴーのフローズンカクテル」900円は、女性男性問わず大人気。ジンとマンゴーリキュール、フレッシュのマンゴーを使ったトロピカルな一杯。

SHUFFLE BEAT

住所 東京都新宿区歌舞伎町1-7-5 トーシンビルB1F

電話番号 03-3205-2055

営業時間 19:00~翌5:00

休日 無休

金額 テーブルチャージ550円、なめたけとお餅のピザ800円、大盛キャベツのカレーピザ820円、半熟オムライス800円、自家製松前漬け550円、キリン一番搾り(生)650円、ギネス(生)800円、ハイネケン(瓶)700円

URL http://www.shufflebeat.info/


有名ミュージシャンのライブが間近で楽しめる隠れ家のようなバー
Bar461

 新宿の片隅に佇む、小さなバー。古びたスピーカーから70年代のブルースやソウルが流れ、仕事帰りの人々が酒を片手に夜な夜な語り合っている。一見するとどこにでもありそうな店だが、壁に直接書き込まれた数多のサインを見て驚く。上田正樹、永井“ホトケ”隆、内田勘太郎、杉山清貴、ブレッド&バターなど、そうそうたる面々。聞けば皆、この店でライブを開いたミュージシャンだというのだ。

 「最近は、小さめのライブハウスでプロが演奏できるところが少なくなってきたと聞いています。うちはライブハウスじゃないけど、客席とステージとの距離が近いし、雰囲気もアットホーム。だから、有名なミュージシャンの方々にも喜んで出演していただけるのかなぁ、と思っています」と話すのは、マスターの佐藤ユキオさん。自身もブルースバンドにドラマーとして参加。今年2月の“おやじバンド・フェスティバル”で優勝を勝ち取った、というユニークな人物だ。多くのミュージシャンと交流を持ち、ときには自らライブに足を運んで口説き落とすなど持ち前の行動力で、数々のライブを成功させてきた。

 月に1~2度のライブに加え、落語の寄席も開いている。過去5年間に、柳家喬太郎の独演会を5回開催。マスターが落語好き、という縁で実現したわけだが、人気落語家の噺を目の前でたっぷりと楽しめるとあって、発売直後に完売するほどの人気を博している。

 30人も入れば満員になる店内で憧れのミュージシャンと向き合えるのは、贅沢の極み。常連客が 多いため、最初は気後れする人もいるかもしれないが、心配は無用だ。カウンターではいつも、話 好きのマスター夫妻が迎えてくれる。音楽と酒が好きなら、足を運んでみて損はないだろう。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

Bar461

1. 曙橋駅から徒歩2分の場所にある、隠れ家のような店。店名は、マスターが愛するエリック・クラ プトンのアルバムタイトルから名づけられた。
2. ビクターの名機「SX3」を使用。中音域の音に定評があり、1980年代に人気を博したスピーカーだ。 また、ライブ時にはJBLの“White”を使用している。
3. 壁は、ここでライブを行ったアーティストのサインでいっぱい。「書いていただくスペースがなくなってきて、困ってるんですよ(笑)」とマスター。
4. マスターが選んだ写真も飾られている。写真家、William Hamesが撮影したトム・ウエイツやエリック・クラプトンなど、いずれも一見の価値あり。
5. ゴルゴンゾーラやブルーチーズなど、5種類のチーズにパンを添えた「ナチュラルチーズの盛り合わせ」1000円。「グラスワイン」600円とともに楽しみたい。

Bar461

住所 東京都新宿区舟町12 ビリジアン新坂1F

電話番号 03-3358-7283

営業時間 18:30~深夜2:00、土18:30~深夜0:00

休日 日曜、祝日

金額 チャージ500円、ミュージックチャージはイベントによって異なる

URL http://www2.odn.ne.jp/bar461/


質の高い音楽と酒に出会える阿佐ヶ谷駅を見下ろすジャズバー
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 阿佐ヶ谷は、ジャズが似合う街だ。文化の匂いが濃い中央線沿線のなかでも、とりわけ落ち着いた雰囲気が漂う街。この地で、20年以上にわたって大人たちに愛されている店がある。駅を出てすぐのところにある、『jazz bar KLAVIER』だ。
 扉を開くと、聞こえてくるのは心地よいモダンジャズ。アンティークな内装とあいまって、訪れる人々の心に潤いやすらぎをもたらしてくれる。店内は意外なほど広く、一面に窓を設えた開放的なつくり。窓の向こうに見えるのは、ホームにすべり込む電車や、急ぎ足で行きかう人々。街の息遣いが感じとれ、いつまで眺めていても飽きることはない。

  「店が持つ空気を大切にしながら、自分の感性で選んだ曲をかけています」と穏やかな口調で話すのは、マスターの山川秀明さん。東京藝大の声楽科卒を卒業した後、ヴォーカリスト&ピアニストとして活躍した経歴を持つ。ジャズの知識は豊富だが、堅苦しさは皆無。「ジャズバーの近寄りがたいイメージを払拭したい。ジャズを知らない人たちにとって、この店が出会いの場になれば嬉しいですね」。若い人々にジャズの楽しさを伝え、裾野を広げたいと願っている。

 週末を中心にライブも開いているが、チャージは1800円~と手ごろ。これも、「ひょっこりと、気軽に遊びに来て欲しい」というマスターの願いゆえだ。演奏者は、阿佐ヶ谷出身の若手から名の通ったベテランまで、実に多彩な顔ぶれ。店と演奏者、聴衆が三位一体となって繰り広げるライブは、いつもリラックスした暖かい雰囲気に包まれている。

 カウンターの奥には、酒のボトルが整然と並ぶ。「質のいいシングルモルトやバーボンは、ほとん ど全部揃えています」と胸を張るマスター。その言葉どおりバーとしての評価も高く、ジャズの名曲から名づけたオリジナルカクテルも豊富だ。いつ訪れても、クオリティの高い音楽と酒が待っている。安心して足を運べる、ジャズとの出会いにぴったりの一軒だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

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1. 内装はすべて、マスターと常連客による手づくり。カウンターテーブルは、ナイジェリアから取り 寄せた1本の丸太から作られた。
2. 店内には、マスターが自ら撮影したライブ写真や、常連客が描いたクロッキーを展示。
3. マスターの山川秀明さんは、生粋の阿佐ヶ谷っ子。友人と「阿佐ヶ谷ジャズ盛り上げ隊」を結成し、 四季折々のイベントを実施している。4/29~5/5には「ゴールデン・ジャズウィーク」を開催。
4. 阿佐ヶ谷駅南口から徒歩0分。マスターの友人がデザインしたお洒落なロゴが目印だ。
5. ウォッカをベースにブルーキュラソーとグレープフルーツジュースを加えたオリジナルカクテル「ブルー・クラヴィーア」700円。おつまみの「オリーブ&ピクルス」は600円。

jazz bar KLAVIER

住所 東京都杉並区阿佐ヶ谷南3-37-13 3F

電話番号 03-3393-0418

営業時間 19:00~深夜2:00

休日 日

金額 ライブ開催時はチャージ1800~2500円

URL http://www.bekkoame.ne.jp/~h.yamakawa/


フラメンコ好きが集うバーは阿佐ヶ谷の小さなスペイン
QEQUE BAR

 駅前を少し歩いただけで、ジャズバーやソウルバー、ブルースバー、ライブハウスなど多様な音楽スポットに行き当たる。阿佐ヶ谷は、音楽を愛するのんべえにはたまらない街だ。

 『QEQUE BAR』は、そんな阿佐ヶ谷にスペインの風を運んでくれる小さなバーだ。近隣のフラメンコ好きが夜な夜な集い、酒と音楽に酔いしれている。

 イタリア料理店のシェフとして腕を振るっていたマスターがフラメンコに出会ったのは、5~6年前のこと。「昔から音楽が好きで、趣味でドラムを叩いていました。以前はフラメンコに興味がなかったんですが、たまたま飲みに行った店で耳にしたとき、“ビビッ!”ときたんですよ。フラメンコって、リズムが独特でしょう? 他のどの音楽とも違うリズムに、魅了されたんです」

 それからはフラメンコにどっぷりとはまり、独学で歌を習得。店のBGMも、フラメンコ一色に変わっていったという。

 音楽だけではなく、スペイン料理にもはまったというマスター。メニューには、タパスと呼ばれるスペインの小皿料理が豊富に揃っている。二ンニクや香辛料をたっぷりときかせたスペイン料理は日本人の口にも馴染みやすく、酒との相性も抜群だ。ジプシーに愛されている「ラ・ヒターナ(マンサジーニャ)」(グラス480円)など、辛口のシェリー酒と合わせるのもいいだろう。

 毎週土曜、夜11時を回った頃に、店ではフラメンコのライブが始まる。歌うのはマスターで、ギターを奏でるのは近くにある老舗居酒屋『だいこんや』のマスター・松本純氏。「松本さんは、フラメンコギターの名手としても知られている方。フラメンコについて教えてくれた、僕にとっての“師匠”です。夜遅くに彼が店に遊びに来ると、自然とライブが始まる、という感じですね」。  

 ときには、フラメンコ好きのカンテ(歌い手)やダンサーが参加することも。アットホームな雰囲気に包まれて、阿佐ヶ谷の夜は更けていく。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

QEQUE BAR

1.アンティークの小物に囲まれ、落ち着ける雰囲気。平日にも時々、フラメンコのライブイベントを行っている。
2-3.店内には、マスターが敬愛するカンテの写真などが飾られている。「最近のお洒落なフラメンコよりも、40~50年前のクラシックなフラメンコの方が好きです」とマスター。
4.100枚以上揃ったフラメンコのレコードは、『だいこんや』のマスターが若い頃から買い揃えていたもの。現在は手に入りにくいものも多い。
5.ニンニクの香りが食欲をそそる「マッシュルームのチョリソー詰め鉄板焼」680円。クリアな味わいの「ハートランド生ビール」550円も人気だ。

QEQUE BAR

住所 東京都杉並区阿佐ヶ谷南2-19-11

電話番号 03-3315-5772

営業時間 19:00~翌2:00

休日 日

金額 自家製サングリア550円、カクテル600円~、チョリソー・イベリコ880円など

URL http://www.qeque.com/


口笛や二十五絃箏のライブも楽しめる異色のソウル・バー
Soul Bar Stone

 通称コリア・タウンとも称され、韓国をはじめ、アジアの香り漂うディープタウン、大久保。音楽とは無縁な印象のこのエリアで異彩を放つ「ソウル・バー・ストーン」は、この街が地元であるオーナーの神山廣司さんが、’92年にオープンした店だ。

 「いい音といい酒がMIXされたいい空間というのが、店のコンセプトです。もともとこの地で喫茶レストランを開いていたのですが、ずっとバーをやりたくて。で、特色を出すために、自分の好きなソウルミュージックを流そうと思ったんです」

 ソウルのアナログレコードは約6000枚所蔵。70年代のファンク、ソウルを基本に、80年代のダンスクラシックや90年代ソウルなど、新しいものもかけ、リクエストもOKだ。また「ソウルトレイン」などの映像を楽しむこともできる。しかしこの店には、ほかのミュージックバーと違う大きな特徴があるという。

 「実は“生音”にこだわっているんです。月1ペースでライブを開催。ジャンルはソウルに限らず、クロマチック&ブルースハープとスティールパンのデュオや、尺八や二十五絃箏のグループ、ギターと口笛のデュオなど、わりと変わったものが多いんですよ」

 まさにこの店でしか出逢えない生音のライブが、なんとチャージ無料で楽しめるのだ。そんな太っ腹のオーナーも、温かみのある生音で奏でられる音楽も、まさにソウルフル! 新しい音楽との出会いが、きっとこの店で待っている。

取材・文/高橋かおり 写真/田頭真理子

Soul Bar Stone

1.石や流木など、ナチュラルな素材を多用した温かみのある店内。オーナーが海外で集めてきた民族風の置物や楽器が飾られ、エスニックな雰囲気だ。12月12日はアコースティックデュオMU/TO、1月は和楽器のライブを予定。
2.音響設備は、耳障りがナチュラルなJBLのスピーカー、プロのPA用のBGWのパワーアンプ、ロデックのミキサーなどを使用している。ソウルのレコードは約6000枚。
3.オーナーの神山廣司さん。
4.やわらかめのビーフジャーキーを炙った「スモークビーフ」750円は「ハイネケン」と「ハイネケンダーク」各700円の深い味わいにぴったり。もとはレストランを経営していただけあり、ビーフシチューなど、本格的な料理も。
5.ファンクグループ「スライ&ザ・ファミリー・ストーン」と、店の壁を覆う本物の石が、「ストーン」という店名の由来になっている。

Soul Bar Stone

住所 東京都新宿区百人町1-22-26 白浜ビル1F

電話番号 03-3366-3005

営業時間 19:00~翌4:00

休日 日・祝

金額 チャージ\500、ビーフシチュー1000円、スパイシーピザ900円、オイルサーディンのサルサ焼き750円、ハイネケン700円

URL http://www.t3.rim.or.jp/~soul/


音楽、スポーツ、ダーツ、そして酒 自分好みの楽しみ方が待つバー
Super Lunch Magic

 お笑い芸人やアーティストなど、サブカル系の人々の聖地となっている東中野。そんな地でミュージシャンや芸人達で夜な夜な賑わっているバーが「Super Lunch Magic」だ。

 「コンセプトがないのがコンセプトです」と笑うのは、3代目マスターの古山嵩さん。その言葉通り、店内にある大型プラズマテレビにはスポーツの映像が流れ、店の片隅にはダーツ、バーカウンターには花札ゲームのマシンが置いてある。そして店内でかかっている音楽にも一家言あり、という具合だ。

 「かける音楽は、ヒップホップ、ファンク、ロック、ソウルとさまざま。でも、ベースとドラム、つまりリズム隊が気持ちいいもの、という基準で選んでいます」と古山さん。ゲストからのリクエストに応えることもあるが、店の雰囲気に合わなければけして流さないというこだわりも。

 また、かつて同店でアルバイトしていた磯本ユキオ氏は、今はミュージシャンとして活動。古山さんは、そのCDのプロデュースや、ライブイベントの企画運営にも携わったこともあるそうだ。そんな人脈も手伝い、店には自然と音楽好きやプロのミュージシャンが集ってくるのだという。

 「お客さんとの関係は、完全に“密着型”です(笑)。音楽や映画などのカルチャーの話や、仕事の熱い話なんかを一緒にして盛り上がっています。お客さんと仲良くなって、フジロックやサマーソニックなどの夏フェスに、よく行きましたね。今はちょっと歳をとったせいか、お客さんと行くのはもっぱら登山かフットサルに変わりましたが(笑)」

 ロックフェスもスポーツも、お酒がおいしく飲めることが共通点なのだとか。もちろん、それは「Super Lunch Magic」で楽しむ時間も同じ。中野という場所柄から、生ビール450円、チャージ300円と、価格設定がリーズナブルなのもかなりの魅力。独特のサブカル的雰囲気に浸りつつ、ゆるりと、自由に、音楽と酒、会話に酔いしれたい。

取材・文/高橋かおり 写真/田頭真理子 

Super Lunch Magic

1.カフェのように気楽な雰囲気が漂う店内。スポーツ鑑賞をしたり、ゲームに興じたり、音楽に酔ったりと、好みの楽しみ方を見つけたい。
2.ダーツは、20時まで1ゲーム100円。
3.生地から手作りする「トマト&ベーコンピザ」800円と「一番搾り・生」450円。オムソバやペペロンチーノ、ハンバーガーなど、お腹にしっかりたまるメニューも充実している。
4.古山さんがプロデュースした磯本ユキオ氏のCD「愛の詩」。
5.3代目マスターの古山嵩さん。

Super Lunch Magic

住所 東京都中野区東中野4-9-1-2F

電話番号 03-3360-7843

営業時間 18:00~翌3:00

休日 火曜

金額 チャージ300円、一番搾り・生450円、ピッチャー1600円。ハイネケン600円、ペペロンチーノ700円、サイコロステーキ800円、あらびきソーセージ600円、ポップコーン無料

URL http://www.superlunchmagic.com


来日間近! マイケル・シェンカーを愛する仲間たちが集うロックバー
CRY BABY

 モニターではマイケル・シェンカーのライブDVDが流れ、壁には彼が愛用していることで知られるツートンの「フライングV」やレコードジャケットが飾られている。10人も入れば満員になる小さな店内は、マイケル・シェンカーへの愛でいっぱいだ。

 「マイケル・シェンカーに特化した店は、たぶん日本でここだけでしょう」と話すのは、マスターの桜井信幸さん。高校生の頃にはまって以来20年にわたって聴き続けているという、筋金入りのマイケル・フリークだ。「ロックバーはたくさんあるのに、マイケル・シェンカーをメインにした店は見当たらない。それなら自分で作ってしまおう」と、今 年2月にサラリーマンから転身。中野サンプラザから徒歩5分の場所に、店をオープンさせた。

当然、訪れる客もマイケル・フリークが中心だ。共通の趣味を持っている者同士が集うから、店内はいつも打ち解けた雰囲気。腕に自信のある客が「フライングV」を弾き、即席ライブが開かれることも珍しくない。「マイケル・シェンカーはそれほどメジャーじゃないから、会社や学校ではなかなか話をできる相手が見つからない。ファン同士の交流場所としても、喜んでいただいています」と桜井さん。噂を聞きつけて、遠方から訪れるマイケル・フリークもあとを絶たないという。

 8月28・29日には、マイケル・シェンカー・グループの来日公演が中野サンプラザで行われる。中野サンプラザといえば2006年11月17日、3曲目の途中でマイケル・シェンカーがギターを投げてステージを降り、そのまま“体調不良”でキャンセルしてしまったといういわくつきの会場だ。「マイケルはよくやらかすので、『今回は頼むよ』という感じです(笑)。ライブを見た後に、余韻に浸りながらみんなでお酒を飲みたいですね」と桜井さん。『CRY BABY』が最も熱くなる2日間に向けて、テンションは日々高まっている。

取材・文/渡辺裕希子 写真/横田敦史 

CRY BABY

1.黒とシルバーで統一された店内は、硬派なイメージ。マイケル・シェンカーのほかにもヴァン・ヘイレンやボン・ジョヴィなど、1980年代のハードロックやヘビーメタルが流れる。
2.白と黒に塗り分けられた「フライングV」の隣には、マーシャルのアンプが置かれている。
3.カウンターに飾られた直筆のサイン色紙。よく見ると「TOSHIBA EMI」のロゴが逆さまになっており、ボーカルのサインも抜けている。かなりレアな1枚といえるだろう。
4.「フライングV」をモチーフにデザインされたロゴマークが目印。店名の『CRY BABY』は、マイケル・シェンカーが使っているエフェクターにちなんで名づけられた。
5.辛味が強い「ピリ辛チョリソー」350円と、「ハートランド生ビール」500円。

CRY BABY

住所 東京都中野区中野5-50-10

電話番号 03-3387-8140

営業時間 19:30~翌3:00

休日 月


30年以上にわたって歴史を刻み続けるレンガとアンティークに囲まれたライブハウス
SOMETIME

 古びたレンガの壁に囲まれ、アンティークの英国製掛け時計が時を刻む。映画の中から飛び出してきたような、趣のある空間。1975年に開店した「SOMETIME」は、長い歴史が隅々まで染み込んだ、趣のあるライブハウスだ。

 「開店当初は、私語OKの気さくな店だったんです。でも最近は、おしゃべりをせずに集中して音楽に聴き入っているお客様が多いですね」と話してくれたのは、店長の宇根裕子さん。チャージが1600円~と、都心の店に比べて手頃なこともあって、店にはいつも多くの客が訪れ、活気に満ちている。

 毎夜行われているライブには、20年以上にわたって出演しているベテランから、期待値が高い若手のセミプロまでさまざま。「マニアックなものはなるべく避けて、誰にでも分かりやすいジャズを提供するように心がけています」と宇根さん。だからこそ、初めて訪れる人もコアな常連客も、分け隔てなく同じスタンスで楽しむことができるのだろう。女性一人で訪れる客が多い、というのも納得だ。

 ステージは、店の中央に置かれている。周囲を客席がぐるりと囲み、好きな角度からミュージシャンの演奏を眺めることができる仕組みだ。かぶりつきで見たいときにはステージ真横の席、全体を見下ろしたいときにはロフト席と、好みによって使い分けられるのが嬉しい。なかでもツウに人気なのが、ピアノの真裏にあるカウンター席。日本にライブハウスは数あれど、ピアニストの指づかいが間近で見られる店はそうないからだ。

 昼間は、パスタやピザなどの軽食やケーキが楽しめるカフェとして営業している。ジャズをBGMにランチを楽しむもよし、一人で読書にふけるもよし。夜の余韻が残った店内で、時間を忘れて過ごしたい。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫 

SOMETIME

1.月ライブは、ひと晩に2ステージまたは3ステージ。日曜と祝日には昼のライブも開催される(チャージ1000円~)。週末はとくに」込み合うので、事前の予約がおすすめだ。
2.壁の落書きは、今は亡きオーナーが「RedGarLand Trio」のレコードジャケットを真似て描いたもの。
3.4.オーナー自らが泊り込みで作った、こだわりの内装。アンティークの家具や小物が随所に配置され、独特の雰囲気を醸し出している。
5.マスタードを付けてシンプルに食べる「ソーセージのオーブン焼き」1000円。上品な後味の「キリン一番搾りSTOUT(小瓶)」500円とともに。

SOMETIME

住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-31 B1F

電話番号 0422-21-6336

営業時間 11:00~深夜0:00

休日 無休

金額 チャージ1600円~

URL http://www.sometime.co.jp/sometime/


孤高のロックンローラー、ボブ・ディランの楽曲を中心に1960~70年代のクラシックロックをプレイ
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 店の名前を見ただけで、どんな店なのか想像がつくに違いない。その名も「BarDylan」。マスターの山田徹さんは、ボブ・ディランの曲を片っ端から聴きながら青春時代を過ごした、筋金入りのディラン・ファンだ。オリジナル曲はもちろん、他のアーティストによるカバー曲も揃い、1962年のデビュー以来常に変化し続けるボブ・ディランの世界に、広く深く触れることができる。

 ノーベル文学賞にノミネートされていることからも分かるように、ボブ・ディランは詩人としても高く評価されている。しかし、メロディメーカーとしての才能にスポットライトが当たることは、案外少ない。マスターは力説する。「確かに詩もいいんですが、メロディも素晴らしいんですよ。ディランは独特の声を持っているから、声にばかり注目が集まってしまう。女性ヴォーカルの綺麗な声でカバーされた楽曲を聴いて初めて、『こんなに美しい曲だったんだ』と気づかされることも多いんです」

 とはいえ、「ボブ・ディランの曲以外は流さない」などという頑固な店では決してない。エルビス・プレスリーやドアーズ、イーグルスなど1960~70年代のクラシックロックを中心に、最新のロックナンバーもプレイ。ここはボブ・ディランの専門店ではなく、あくまでロック・バーなのだ。40~50代の男性が息子を連れて来店し、互いに好みの音楽をリクエストしあう、という微笑ましい光景も珍しくないという。

 またマスターは、長年にわたってホテルのバーで腕を振るっていたベテランのバーテンダーでもある。アルコール度数96度のスピリタスで火をつける「ローリングサンダー」や、ウォッカと焼酎にライムを合わせた「天国の扉」など、ディランにちなんだオリジナルカクテルも、ぜひ試してほしい。

 最後に、「ディランの曲の中で、一番好きな曲は何ですか?」という質問をぶつけてみた。「あまり知られてない曲なんですけど」と前置きした上で教えてくれた曲は、「EVERY GRAIN OF SAND」。店を訪ねたときには、リクエストしてみてもいいかもしれない。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

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1. 国分寺駅から徒歩3分のところにあるビルの2階にあり、カウンター席が中心。若いカップルや女性客も多い。
2. 真空管のスピーカーは手づくり。「音響関係の仕事をしている常連のお客様が作ってくれました音質がいいから、大音量で音楽をかけてもうるさく感じないんですよ」。
3. ムック「Rock In Golden Age~ロック栄光の50年」のバックナンバーが30冊すべて揃っている。もちろん、自由に閲覧OK。
4. カウンター奥に並ぶコレクションは、レコードとCDを合わせて約1500枚。
5. 細かく刻んだアンチョビとニンニクをソースに漬け込んだ「ナスのマリネ」600円と「キリン一番搾り生ビール」580円。

Bar Dylan

住所 東京都国分寺市本多1-5-3 第一佐藤ビル2F

電話番号 042-327-0017

営業時間 19:00~翌3:00

休日 年末年始

金額 チャージ600円


フォークにジャズ、民俗音楽…小さな“ハコ”を生かしたライブが魅力
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 「live cafe giee」のスケジュール表は、実に個性的なイベントで埋まっている。例えば、奇数月の第1土曜に開催される「国分寺フォークジャンボリー」。プロ・アマチュアを問わず5組前後のフォークシンガーが出演するイベントだが、終演後には誰もが飛び入りで参加できるフリーステージに突入。仕事帰りのサラリーマンもギター片手に集い、打ち解けた雰囲気に包まれる。
 他にも、プロミュージシャンも参加するハイレベルなジャズセッションや、前衛舞踊とアコースティックギターのコラボレーション、アジアやアフリカの民俗音楽など、雑多なライブやセッションが随時行われ、飽きさせない。これらのイベントをたった1人で仕掛けているのが、店主の三輪久美子さんだ。
 2005年12月に店を開くまでは、ごく普通の音楽好きな主婦だったという三輪さん。「子供の手が離れたときに、今までやったことがないことにチャレンジしたくなったんです。勢いで始めたから、こんなに大変だとは思わなかった」と屈託のない笑顔で話してくれた。
 仰々しい家具などはなく、手づくり感あふれるこの場所には、アコースティックの響きがよく似合う。ステージと客席との境目は曖昧で、段差も設けられていない。だからこそ客席への伝染力は強力で、演者が伝えたいことがダイレクトに伝わってくる。「こんな空間での演者と観客とのコミュニケーションが何よりもうれしい」と店主。イベントがない毎週水・木曜には、ジャズやボサノバなどのBGMが心地よく流れるカフェになる。テーブルチャージは無料。国分寺産の野菜を使った「グリーンカレー」650円や、オリーブオイルとレモンを加えた「焼きうどん」650円など手づくりの料理は、体に優しくておいしいと好評だ。音楽を聴きたい人も演奏したい人も散歩がてら立ち寄れる、気取りのない店だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

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1.25人も入れば満席になる、こぢんまりとした店。写真展や絵画展なども随時開催され、ギャラリーとしても利用されている。ちなみに店名の“giee”とは、扉を開く音。
2. ステージに段差はなく、客席と一体化している。
3.4. イベントがない日には、レコードやCDをかける。もちろん、リクエストも可能。夜遅くまで営業しているカフェとして、重宝する存在。
5.手づくりの「キッシュ」400円は、クリーミーでふんわりとした食感。「ハートランドビール」700円も人気だ。

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住所 東京都国分寺市本町2-3-9 三幸ビルB1

電話番号 042-326-0770

営業時間 18:00~深夜0:00

休日 月

金額 イベント時のみチャージあり。

URL http://giee.jp/


吉祥寺の街と共に歴史を刻み続ける  名機「パラゴン」が鎮座するジャズバー
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 『Funky』の前身は、1956年にまだ高校生だった野口伊織氏が、両親の経営する純喫茶ブラジルの地下に開いた小さなジャズ喫茶である。好奇心の塊で無類の遊び好きだった伊織氏は、58年の生涯で吉祥寺駅界隈に30を超える店を生み出した。ジャズ喫茶やレストラン、居酒屋、ケーキ店など、ジャンルはバラバラだが、いずれも時代の流れを敏感に捉えた“オンリーワン”の店ばかり。『レモンドロップ』や『金の猿』など、吉祥寺を訪れたことがある人ならピンとくる有名店の多くは、伊織氏の手によるものだ。
 創業時の『Funky』は、名機「パラゴン」が鎮座する店として、ジャズファンの間にその名を轟かせていた。誰もがスピーカーに正対して、黙々とジャズに聞き入っていた時代。ジャズ喫茶の草分けとして、ライバル店だった「MEG」や「A&F」としのぎを削っていたという。
 40余年の歳月を重ねた現在、『Funky』にかつての面影はない。以前の硬派な雰囲気はもはや感じられないし、“私語厳禁”といったルールは遠い過去に消えてしまった。そこにあるのは、ジャズファン以外にも広く門戸を開いた、一軒家のダイニングバー。昔を懐かしみたいジャズファンなら、がっかりしてしまうかもしれない。
 とはいえ、不朽の名機「パラゴン」は開店当時から今も変わらず、現役で鳴り続けている。 コレクションもレコード5000枚、CD2000枚と実に膨大。「パラゴン」でこれだけ多くの名曲が聴ける場所は、日本中を探してもそう多くはないはずだ。
 ダイニングバーと銘打っているだけあり、料理も充実している。なかでも、「イワシのマリネ」やタコのガリシア風」などのスペイン風おつまみ“タパス”は評判。気軽なスペインバルとして利用するのもいいだろう。
 大切な人を誘っても、間違いのない一軒。もちろん、オーディオマニアやジャズファンも満足させてくれる。吉祥寺に出向く機会があるなら、覚えておいて損はない店だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

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1. 2階が吹き抜けになった店内は、開放感たっぷり。2007年11月にリニューアルされ、南欧料理が楽しめるダイニングバーへと生まれ変わった。
2.巨大スピーカー「パラゴン」。1960年代当時で100万円以上の価値があった名器で、現在は価格がつけられないという。
3.4. 3階は、珍しいスピーカーやサイン入りのレコードジャケットが飾られたギャラリー。見たい人はスタッフに声をかけよう。
5.店内オーブンで焼き上げた「イタリア産ソーセージのピッツァ」1000円は、ボリュームも十分。「ハートランド生ビール(M)」650円。

Funky

住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-7-3

電話番号 0422-21-1464

営業時間 18:00~翌2:00

休日 なし

金額 チャージ600円

URL http://www.sometime.co.jp/funky/funkyvew.htm


焼き魚をつまみながら楽しむ迫力の生演奏 飲み屋感覚で立ち寄れるライブハウス
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 武蔵野の面影が残る学園都市・国立。ハイソな雰囲気が漂うこの街には、『音楽の街』という一面もある。駅周辺にはライブハウスやバーが点在しているし、この辺りに居を構えるミュージシャンも多い。
 「国立地球屋」は2003年、音楽があふれる国立の街に誕生したライブハウスだ。スケジュールにはロックやレゲエ、民族音楽、ベリーダンスなど多彩なジャンルのイベントが並んでいる。オープン当初からのスタッフで、現役のレゲエミュージシャンでもある龍一さんは言う。「この店は、既存のライブハウスに対するアンティテーゼなんです」と。
 多くのライブハウスでは、出演アーティスト自身にチケットノルマがあるが、ここではいっさいなし。客が払うミュージックチャージも、大物ミュージシャン出演時を除けば500円~1000円程度と低く抑えられている。そこにあるのは、「ライブハウスに行く、と身構えるのではなく、飲みに行った店でたまたまライブをやっていた、という感覚で気軽に楽しんで欲しい」というスタッフの心意気だ。
 音質の良さでも評価が高い。「そんなにいい機材を使っているわけじゃないんですよ。でも、これまでに出演したミュージシャンやお客さんからは、『いい音だね』と褒められることが多いですね」と龍一さん。その秘密は、スタッフの努力にある。ステージにじゅうたんを敷いたり、天井に吸収剤を貼るなど、工夫を重ねて試行錯誤。「お金はかけられないけど、絶対に妥協はしない」という姿勢で、音質を追求した結果なのだ。
 名物の「阿蘇産直ホルモン焼き」や焼き魚をつまみながら、ビール片手にライブを楽しむ。終演後には出演アーティストといっしょに、音楽談義で盛り上がることも。料金も手頃だから、「せっかく高い金を払ったのに、失敗した」と悔やむこともない。仕事帰りや夕食後に飲み屋感覚で立ち寄れる、ありがたいライブハウスだ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/横田敦史

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1.店のインテリアも、スタッフが家族や友人と力を合わせた“手づくり”。とはいえ、細部にまでセンスが感じられ、居心地がいい空間だ。
2.随所にこだわり溢れるステージ。どの席に座ってもミュージシャンとの距離が近く、迫力あるステージが楽しめるはず。
3.お店で流れる音楽のジャンルは様々。スタッフの個性が光る。
4.国立駅南口からまっすぐに伸びる大学通り沿いにある。学生はもちろん、40~50代の客も多く、客層は幅広い。
5.豚のホルモンを甘辛く味付けた「阿蘇産直ホルモン焼」600円は、歯ごたえが抜群。「キリン一番搾り生ビール」500円とともに。

国立地球屋

住所 東京都国立市東1-16-13 B1F

電話番号 042-572-5851

営業時間 19:00~翌2:00、ライブは20:00~

休日 月(月曜が祝日の場合は火曜休み)

金額 ライブ時のみチャージあり(料金はライブにより異なる)

URL http://chikyuya.web.infoseek.co.jp/


ニルヴァーナもニール・ヤングも大音量で流れるROCK BAR
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 外から見ると、一見入りづらい店構えだが、思い切って扉を開くと、そこには異次元の世界が待ち受けている。ドアーズやニルヴァーナ、ジミヘンにボブ・マーリー…。薄暗い空間を隙間なく埋め尽くすポスターやフライヤーに、しばし圧倒される。ここは、吉祥寺の女子大通りに20年続くロックバーだ。
 『酔舎』は、あるときはビートルズやオアシスが、またあるときはクラッシュやラモーンズが、また別のときにはブルーハーツやRCサクセションが大音量で流れる爆音バー。一見「何でもあり」と思うかもしれないが、「ランダムに曲をかけるのではなく、客の雰囲気に合わせて、大きな流れをつくりながらかけるようにしています。例えば、ニール・ヤングとニルヴァーナ、レッチリとジミヘンなどは、どこか底辺で通じ合っている。それが分かる人にとって、この店はピンとくるはずですよ」とママは言う。
 実際、この店にはまる人々は、バンドマンや画家、デザイナー、美容師など、どこか似通った感性を持っているようだ。初対面の客同士も知っている曲ですぐに打ち解け、声を合わせて歌いながら深夜まで盛り上がることもしばしば。そのまま勢いに乗って、バンドを結成することも珍しくないという。
 毎月第2・3・4日曜には、常連のお客3チームが、特定のアーティストをフィーチャーしたDJイベントが行われている。内容はそのときによって異なるので、興味がある人は問い合わせてみるといいだろう。
 自分がリクエストした曲、そして自分と趣味が合う人々がリクエストした曲を聴きながら飲む酒は、いつもよりも一段と旨い。酒に酔い、音に酔う。ほろ酔いのまま店を出て、夜風を浴びながら家路につく幸せ。思い切って扉を開いた者だけが味わえる、至福のひととときがここにはある。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

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1.2.ポスターやフライヤーのほかに、レコードジャケットも飾られている。眺めているだけで、ロックの世界にどっぷりと浸れる。
3.店内に鎮座するアメリカ製のジュークボックス。柔らかく厚みのある音質は、昔のAMラジオのような風情が漂う。今なお試聴可能(1曲100円)。
4.レコードとCDをあわせて、約1万枚以上が揃う。リクエスト(無料)して気に入った曲がたくさんある人は、常連になる可能性大。
5.ママ手作りの「ホットサンド」600円は全部で5種類を用意。ほかにも、安くてボリュームのある料理が揃う。「キリン一番搾り」の中ビンは600円。

酔舎

住所 東京都武蔵野市吉祥寺東町1-3-3

電話番号 0422-20-0605

営業時間 19:00~翌0:30、金・土・祝前~翌2:00

休日 火、第4・第5水

金額 ビール500円~、カクテル500円~、ワイン500円~、焼酎500円~

URL http://www.246.ne.jp/~bayou/suisha.htm


英国風の書斎でお酒とモダンジャズを  四半世紀以上にわたって続く老舗
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 吉祥寺の小さな路地にある、蔦の絡まった古い建物。急な階段を上るにつれて、モダンジャズが聞こえてくる。その音色に誘われて扉を開くと、薄暗いランタンの明かりに照らされた一室が出現。アンティークの本棚には、年季の入った洋書や古びた時計、錆びついたキャンディー缶などが無造作に置かれている。まるで、遠き時代の書斎に迷い込んだような気分だ。
 「JOHN HENRY’S STUDY」は、1980年に開店した老舗のジャズバーだ。オーナーは、ジャズ評論家として知られ、数々のジャズCDをプロデュースしている寺島靖国氏。熱心なファンが多いジャズ喫茶「Meg」をはじめ、吉祥寺界隈で5店の店を経営している。最高級のスピーカーから大音量でジャズを流す「Meg」に対して、こちらはよりカジュアルな雰囲気。1940~50年代のモダンジャズが、あくまでBGMとして心地よく耳を潤してくれる。
 店に入ってしばらくすると、意外なことに気づくだろう。バーなのに、カウンター席がないのだ。マスターと向かい合ってお酒を飲むのは苦手、という人は案外多いもの。ここならマスターとの距離感がちょうどよく、気後れすることもない。隣の話し声もほとんど気にならないので、読書をしたり会話を楽しんだり、と思い思いの過ごし方ができるはずだ。
 ジャズに欠かせないアイテムといえば、やはりお酒。ここでは、ビールやワイン、ウイスキーに加え、カクテルも250種類以上と充実している。なかでもジャズファンにとって魅力的なのが、スタンダードジャズから名づけた12種類のオリジナルカクテルだ。自分の好きな曲のカクテルを探してみるのも楽しいだろう。
 大人の隠れ家のようなバーだが、昼時には違った顔を見せる。スパゲッティや三色そぼろご飯、カレーなどのランチセットを、1000円前後で提供。近くで働く人々が、昼食を取りながら肩の力を抜く、息抜きの場となっているのだ。
 昼も夜も、落ち着いた雰囲気と良心的な価格で大人たちを解放してくれる。こんな店があるから、吉祥寺の街歩きはやめられない。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

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1.使い込まれたベンチシートに腰掛けるか、それとも窓際の席から蔦を眺めるか。どちらにしても、ゆったりとした時間が約束されている。
2.古きよき時代の英国を思わせるインテリア。開店以来、雰囲気はほとんど変わっていないという。
3.店名は「ジョン・ヘンリーの書斎」という意味。周囲には、味のあるバーやカフェが並んでいる。
4.ジャズの名曲をモチーフにしたカクテル「ANGEL EYES」900円。浮かんだミントの葉が、エンジェルの羽をイメージ。
5.「ハイネケン」750円と「ポテトのたらこ和え」680円。夜のフードメニューも充実しているので、1軒の店としても利用価値が高い。

JOHN HENRY’S STUDY

住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-14 山水ビル3F

電話番号 0422-21-3854

営業時間 11:30~翌0 :30、金・土・祝前~翌1:30

休日 無休

金額 17:30~のバータイムのみチャージ550円


シングルモルトとシガーのマリアージュ。 ジャズが流れる大人のためのショットバー
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 扉を開くと、そこは洗練・都会的というキーワードがピタリとはまるショットバー。BGMはジャズとボサノバが中心だが、耳ざわりのいい音楽をただなんとなく流しているわけではない。例えば雨降る午後には雨にちなんだ曲、カップルが来店したときはムーディーな曲、賑やかなグループ客が中心ならややアップテンポの曲と、シチュエーションに合わせて演出する。そんなさりげない心遣いが、流れゆく時間をスペシャルなものにしてくれる。
 毎月第3土曜は、DJの個性で選曲する“DJ Night”。1950~60年代のモダンジャズから最新のフュージョンジャズまでプレイされ、世代を問わずジャズファンが集う。ほかにも、ロックやJ-POPなど、さまざまなテーマのイベントを月に1~2度のペースで開催。客が持ち寄ったレコードやCDだけをかけるイベントや、プロのマジシャンを呼ぶ“Magician’s Night”など、ひねりのきいた企画も多い。
 “お酒のセレクトショップ”と名乗るだけあり、ドリンクメニューの充実ぶりにも目を見張るものがある。なかでも、シングルモルトのウイスキーは、常時150種類以上を用意。ひとつの蒸留所で作られるシングルモルトのウイスキーは、それぞれの蒸留所の個性が出やすく、種類も多い。初めての人や選び方が分からない場合は、知識豊富なスタッフに聞いてみるといいだろう。味や香りなどの特徴はもちろん、歴史や製造方法などの疑問にも答えてくれるはずだ。
 華やかな香りのシングルモルトのウイスキーは、シガーとの相性が抜群。ここでは、シガレットサイズの手頃なものから1本2000円を超える高級葉巻まで、約20種類が揃う。吸い始めから吸い終わりまで、少しずつ変わっていく味と香りこそがシガーの醍醐味。1本を1時間ほどかけてゆっくりと吸いながら、アフターテイスティングを愉しみたい。
 400本ものボトルと正対するカウンター席でお酒のうんちくを語るもよし、革張りソファのVIP席に腰を沈めてゆったりと葉巻をくゆらせるもよし。アフター5に潤いをもたらす、大人のための一軒だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/横田敦史

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1.カウンター席に吊るされているのは、スコットランドから取り寄せたオーク材の樽。目の前で直接注がれるウイスキーは、美味しさも格別だ。
2.4人まで利用できるVIP席。革製の黒いソファに座って、ゆったりと過ごせる。個室料はかからないので、気軽に利用したい。
3.1分間に1回のペースで口をつけ、ゆったりと吸うのがシガーの愉しみ方。シングルモルトのほか、ポートワインやラムとの相性も良い。
4.北海道の牛を使った「ビーフジャーキー」と「ハートランドビール」730円。ほかに、ベルギーや英国、オーストリア、オランダ、ドイツ、チェコど、世界各国のビールが揃う。
5.カウンター奥にはDJブースが。土曜日の夜はDJナイトが開催される。

Bar R

住所 東京都立川市柴崎町2-2-13 2F

電話番号 042-527-7077

営業時間 19:00~翌4:00

休日 無休

金額 チャージ300円

URL http://www.bar-r.com/


ヴォーカル・セッションが人気 アットホームな都会のオアシス
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 歌舞伎町は、女性には少々近寄りがたい街である。目的地に辿りつくまでには妖しげな場所を通り抜けなければならないし、バーやカフェにしても狭くて入りづらい店が多い。
 職安通り近くにあるこの店も、確かに狭い。細長いカウンター席のほかには、ソファが置かれたテーブル席がひとつあるだけ。だが、この狭さを逆手にとって、アットホームな雰囲気を醸し出すことに成功している。
 「小さい店だからこそ、リラックスできる。女性一人でも気軽に立ち寄って、憩える場所です」とオーナーの稲垣雅春さん。元ファッションデザイナーというオーナーのセンスが活きた店内は、やわらかな色合いで心を落ち着かせてくれる。
 BGMは、ジャズやボサノバなどオーナーが愛するスタンダード・ソング。毎月数回、不定期でヴォーカル・セッションも開催している。プロのピアニストの伴奏に合わせてジャズやボサノバを自由に歌う、人気のイベントだ。
 「私自身、昔はいろんなライブハウスで行われているヴォーカル・セッションに参加していました。でも、いきなり大きなライブハウスで歌うのは緊張するし、人数が多いからなかなか順番が回ってこないんですよね。その点、ここならたいてい参加者は7、8人と少人数。順番もすぐ回ってくるし、初心者の方でも気兼ねなく歌えますよ」。
 プロのピアニストから直接アドバイスをもらえたり、譜面のチェックをしてもらえるのも、小さな店ならではのサービス。発表会の前に立ち寄って、練習に励む常連客が多いというのも納得だ。
お酒の供には、イタリアンをベースに考案された手づくりのおつまみが用意されている。エキストラバージンオリーブオイルで食べる「イタリア風冷奴」をはじめ、上質な素材にこだわった一品料理が中心だ。
 お酒の後には、バラの花びらを浮かべた「ローズティー」などの紅茶でゆったりと。疲れた大人たちに水を与えてくれる、都会のオアシスだ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/横田敦史

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1.2007年7月にオープンしたばかり。客層は幅広く、音楽はもちろんファッションの話で盛り上がる女性客も多いとか。
2.3.店のテーマカラーは心なごむ“グリーン”。店内には季節の花やスノードームなどが飾られ、女性好みの柔らかな雰囲気が漂う。
4.チャージには、その日の気分で作るおつまみも含まれる。イタリア風冷奴600円は、ハートランド800円との相性が抜群、
5.職安通りから一本入った通りにある。白いエレベーターに乗り、5階で降りると店に到着。都営大江戸線の東新宿駅からなら4分程度だ。

O’GREEN

住所 東京都新宿区歌舞伎町2-20-11 玉野ビル5F

電話番号 03-3203-5576

営業時間 18:00~24:00、日・祝は~23:00

休日 無休

金額 19時以降はチャージ600円、ヴォーカルセッションは2500円

URL http://www.bar-o-green.com/


連日ライブが繰り広げられる アットホームなジャズハウス
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 ジャズをかじったことがある人なら、一度はジャムセッションに参加してみたいと思うだろう。自分の腕を確かめられるジャムセッションは、多くのジャズメンとも知り合える貴重な場。ところが、せっかく勇気を振り絞って参加したのに、「レベルが違いすぎて楽しめなかった」という人も少なくない。
 立川駅近くにある「Jazz House Half Tone」は、そんなジャムセッション初心者にもおすすめできる店だ。9年前に店をオープンさせたオーナーの稲田さんは言う。「僕自身、シーンとした暗い雰囲気のセッションが苦手なんですよ。しかめっ面で演奏したって、楽しくないですからね。だからここでは、明るく楽しく、をモットーにしています」。
ジャムセッションが開かれるのは、毎週日・火・木曜日。オーナー自ら司会者となり、オヤジギャグを連発して場を和ませる。もちろん、演奏中も気配りを欠かさない。客のレベルやタイプに合わせて組み合わせを考え、ときには自らのギターで演奏を盛り上げる。
 水・金・土曜日には、ライブを開催している。期待の若手や実力派の中堅アーティストのほか、日本のジャズ界を引っ張る大御所が出演することも。「先日は、名ドラマーのジョージ大塚さんに出ていただきました。昔、いちファンとしてステージを見ていた方に出演していただけるなんて、不思議な感じですね」。ジョージ大塚氏のライブは、4月25日にも開催される予定だ。
 オーナーの奥さんが作る焼きうどんや焼きそば、ピザなどの料理も家庭的な味わいで、店はいつも和やかな雰囲気に包まれている。「ジャズを楽しく聴けて、楽しく演奏できる場でありたい」とオーナー。音楽への愛情にあふれた、アットホームなジャズハウスだ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

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1.ソファ席が中心で、ゆったりとしたつくり。
2. ステージも広く、ビッグバンドのライブも開催している。音があまり反響しないので、ドラマーに人気。
3.壁に張られた一枚の紙。そこには、過去にライブを行ったアーティストのサインが書かれている。
4.ハイネケンは生ビール、小ビンともに650円。一番絞りの中ビンは750円。
5.ジャズギタリストとしても活躍しているオーナー。学生時代には、フォークギタリストとしてプロをめざしたこともあったという。

Jazz House Half Tone

住所 東京都立川市錦町1-2-5 2F

電話番号 042-525-3336

営業時間 19:30~24:00

休日 月

金額 ジャムセッション1500円+1オーダー、ライブ1800円~2300円+1オーダー

URL http://www007.upp.so-net.ne.jp/halftone/


70~80年代のブラックミュージックをプレイ アフリカ料理も味わえるソウルバー
バー バオバブ

 “バオバブ”という木をご存知だろうか。アフリカやマダガスカルなどに生息する、摩訶不思議な形の巨木。アフリカでは村の中心にバオバブの木があり、人々が集って、歌ったり踊ったりするコミュニケーションの場となっているという。
 「Bar BaoBab」は、そんなアフリカの村を思わせるアットホームな雰囲気に、新宿三丁目のディープな空気がミックスされたソウルバーだ。幅広い年代の人々が夜な夜な集い、酒と音楽の力でつながっていく。
 漆喰の壁に囲まれ、ヒョウ柄をあしらった椅子に腰掛けながら、竹で覆われた天井を見上げる。壁に飾られているのは、西アフリカの伝統楽器“ジャンベ”やブラックミュージックをモチーフにしたアート。プレーヤーからは、1970年代~80年代のソウルやR&Bが流れてくる。今、自分がどこにいるのか、現代は一体どの時代なのか。現実から離れ、トリップしていく感覚が心地よい。
 「この時代のブラックミュージックが好き。音質とグルーヴ感がたまらないんです」と話すのは、店のオーナーでもあるDJ.ooki氏。「CDよりもレコードの方が音がやわらかいから」とアナログの音にこだわり、2000枚を超えるレコードを操る。メジャーからマニアックまで、曲のリクエストもOK。気さくなスタッフと、ソウル談義に花を咲かせるのも楽しいだろう。
 また不定期でディスコイベントも開催。ライブではブラックミュージックの生演奏を間近で楽しめ、ディスコイベントでは個性的な選曲で深夜遅くまで盛り上がる。
 酒と音楽が主役のバーとはいえ、料理も侮れない。タジンやクスクスなどのアフリカ料理をはじめ、生地から手作りのピザや自家製ソウルフード、週末限定のスイーツなど、女性の心を捉える料理が揃っている。ハイネケンビールや30種類以上のラム、南アフリカ産のワインなどとともに味わいながら、バオバブの木の下でひとときの宴を楽しみたい。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

バー バオバブ

1.アフリカをイメージした内装は、スタッフによる手づくり。女性だけでも入りやすくつい長居してしまう、温かな雰囲気が魅力だ。
2.テーブルの上には、小さな楽器が置かれている。お客さんも楽器を手に取り、ライブ演奏やレコードに合わせてリズムを奏でる。
3.キリン黒生とハイネケンの「ハーフ&ハーフ」650円。モロッコ料理の「牛スジのタジン」1050円には、ライスまたはクスクスが付く。
4.店のオーナー、DJ.ooki氏。
5.新宿・末広通りからさらに一本入った細い路地にある。周辺にはジャズ、ロック、シャンソン、ラテンなど多彩な音楽を扱う店が多い。

Bar BaoBab

住所 東京都新宿区新宿3-10-7 馬酔木ビル2F 

電話番号 03-5368-0636

営業時間 19:00~翌5:00、日19:00~0:00

休日 無休

金額 チャージはイベントによって異なる

URL http://www1.odn.ne.jp/~baobab/


マスターは「中央線ジャズ」の名づけ親焼酎も楽しめる気取りのないジャズバーf
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 「中央線ジャズ」という言葉をご存知だろうか。六本木や青山で流れるムーディーなジャズとは一線を画した、心をグイグイっと揺さぶるエネルギッシュなジャズ。マスターの村上寛さんは、この「中央線ジャズ」の名づけ親である。27年間に渡って新星堂で働き、高円寺「ディスクインNo.1」、吉祥寺「ディスクインNo.2」、立川「ディスクイン」などの店長を歴任。新星堂の独立系レーベル「オーマガトキ」の中央線ジャズ・シリーズをすべてプロデュースするなど、中央線界隈のジャズシーンを長年引っ張ってきた第一人者である。
 「日本のジャズ業界は特殊。有名雑誌やレコード業界が幅をきかせていて、本当に良いレコードが見落とされているんです。僕は、ジャズが気持ちいいだけの音楽、と思われているのが嫌だった。もっと激しくて、若い人の感性を刺激するジャズが今でも存在する、ということを知って欲しくて」と、6年前に住居地である国立に店をオープン。中央線ジャズはもちろん、ジャズの要素を含む大人のロックなど、さまざまなジャンルの中から独自の感性で選曲している。
 毎週金曜・土曜には、ライブも開催。「中央線ジャズ」を中心に、オーナーが選んだアーティストの演奏を間近で楽しめるとあって、毎回ほぼ満員の盛り上がりをみせている。
 人間臭い「中央線ジャズ」を愛するだけあって、メニューも実に個性的だ。「ジャズバーとは、ワインやカクテルを片手にお洒落に過ごす場所」というイメージを覆すように、芋焼酎や泡盛のラインナップが充実。「三岳」や「春雨」とともに味わえるのは、土地の素材を生かした素朴な酒の肴。「宇和島名物ジャコ天」や「ゴーヤと豆腐のチャンプルー」など居酒屋顔負けの料理を、600円前後の低価格で提供している。
 店内には、アルテックA7のスピーカーとマッキントッシュやアキュフェーズアンプが鎮座。硬派な音楽で好奇心を満たしながら、おいしい酒と料理で胃袋を満たす。目の前には、ストイックにジャズを追求しつつも笑顔は優しいマスター。ジャズを愛する人にとって、最高の店を見つけた。

取材・文/渡辺裕希子 撮影/須藤夕子

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1お店で使用しているレコードプレーヤーはヤマハGT-2000。「レコードには人間に聞こえない音も入っている。だから、暖かみと深みがあるんです」と村上さん。他にもさまざまな機材が並ぶ。
2. 店の一角には、もともと大劇場用に作られたスピーカーアルテックA7が。音のバランスが良く、往年の名器と呼ばれている。
3.店内の棚は、オーナーが特注したもの。アクリル板にコピーされたレコードジャケットが飾られた、センスあふれる空間だ。
4.「ハートランド」600円には、シャキシャキとした山芋にとろけるチーズが絡む「山芋葱チーズ焼き」600円がぴったり。なんとお店で使われている器は、すべてオーナーの手作り。

NO TRUNKS

住所 東京都国立市中1-10-5-5F

電話番号 042-576-6268

営業時間 18:00~翌2:00

休日 火

金額 深夜0時以降テーブルチャージ200円、ライブの際は紙幣にて投げ銭

URL http://notrunks.jp/


自家製ピザも味わえる、高円寺のNo.1ジャズバー
アフター・アワーズ

 創業は1975年。32年もの歴史を誇る、高円寺で最も古いジャズバー「アフター・アワーズ」のオーナー、台(うてな)夕起子さんが当時を振り返る。
「音楽バーをやろうと思って色々調べたら、やっぱり高円寺が一番向いてるかな、と思ったのよ。あまり繁華街で大きくやりたくなかったから。昔はこの辺にもアングラな、小さいロックやソウルの店がたくさんあったしね。最近は音楽的な店も減っちゃったけど…」
 店内には、コルトレーンのバラードなど、お酒を飲みながら聴いて心地良い、大人のジャズが流れている。開店当初はフュージョンから始まったが、リクエストに応えるうちに、徐々にスタンダードなジャズを流すようになったという。
「私と一緒に年を重ねてきた昔からのお客さまが多いから、30代、40代以上の大人ばかり(笑)。好きな音楽を聴きながら料理やお酒を飲む、そういう時間を楽しんで欲しいから、うちではあまりハードなものは流さないようにしているの」
 こちらの自慢は、ジャズバーとは思えない本格的な料理。イタリアン出身のシェフが作る料理は、生地から作る自家製ピザやデミグラスソースのオムライス、ピザ生地をナンにしたカレーなど、どれもこだわりの逸品ぞろいだ。
 2年前からは1階にスタンディングバーもオープン。自慢のフードやお酒をリーズナブルに味わうこともできる。 「下でまずビールを1杯飲んで、上でゆっくり食事とお酒を楽しむ。そんな使い方をする人もいますよ」と台さん。
 また、週に3回はライブを行っており、ジャズの生演奏が楽しめるのも魅力のひとつ。かつては日本ジャズピアニスト界の草分け的存在、本田竹広氏もライブを行っていたという。 「今ライブに出ているのも有望な若手ばかりですよ。土日はレギュラーの方々だけど、水曜はシャンソンでもポップスでもOKのオールジャンルで常に募集してるの。お店が狭いから、ボーカルとピアノ、ギター、ベースぐらいの小さな編成だけど、生で聴く音楽は格別ですよ」
 未来のスターを探しにライブに通うのもいいだろう。店名の「アフター・アワーズ」とは、仕事の後のほっとひと息という意味。おいしい酒と料理とジャズの音色――大人の心をゆるませる“三種の神器”がここにある。

取材・文/宮原香菜子 写真/須藤夕子

アフター・アワーズ

1.歴史を感じさせる内装。大人の男がほっとひと息つけるのは、こんな落ち着いた店だろう。
2.ピアノはお店のサイズに合わせてオーダーした特注品。インテリアとしてではなく、ライブの時には活躍する現役選手だ。
3.キリンラガー(中瓶)580円と季節のオススメメニュー、生ハムとルッコラのピザ980円。
4.1階のスタンディングバー「AFTER HOURS 2005」はノーチャージ。こちらで1杯飲むと2階のチャージが無料になるという特典も!

AFTER HOURS

住所 東京都杉並区高円寺北3-21-20

電話番号 03-3330-1556

営業時間 1F/17:30~翌0:30、2F/18:30~翌2:00(日曜は1時間繰り上げ)

休日 月

金額 チャージ400円。ライブのある日はミュージックチャージも含み、水1800円、土・日1600円

URL http://www.afterhours1975.com/


ジャズ一筋で半世紀“名物オヤジ”とジャズに酔う
Jazz Kitchen MANHATTAN

 阿佐ヶ谷駅からほど近い場所にある、少し古びたビル。階段を上ると、今年でオープン23年目を迎えるジャズバーにたどりつく。20人も入れば満員になる小さな店だが、夜な夜な繰り広げられるライブは圧巻の一言。なかでも、毎週木・金・土曜の深夜1時から始まる深夜のジャムセッションは有名で、観客を巻き込み朝まで盛り上がりをみせる。 
 マスターの望月保孝さんは、70歳を目前にした今も月に2回はステージに立つ現役のジャズメンだ。若かりし頃には、米軍キャンプやダンスホールでピアノやアコーディオンを奏でていたという。「若い人が演奏できる場所を提供したい」と店を開いたのは、40代後半のこと。今や、“新人の登竜門”とまで呼ばれるようになった。「ここから巣立って有名になった人は、数え切れないくらい。ジャズヴォーカリストとして活躍している小林桂さんも、高校時代には両親と一緒に店に来て、歌っていたものです。」
 店では、昼間の時間を利用して「マンハッタン・ジャズ・アカデミー」も開催している。プロのプレイヤーたちが丁寧に教える、完全プライベートレッスン。そこにあるのは、「もっとたくさんの人にジャズの魅力を知ってもらって、ジャズの裾野を広げたい」という望月さんの強い願いだ。まったくの初心者から、昔ジャズをかじっていた中高年の“元ジャズメン”まで、さまざまな人が通っている。
 1995年秋、阿佐ヶ谷はジャズの街になった。広場や小学校の体育館、ライブハウス、レストランなど、街中がジャズ漬けになる「阿佐谷ジャズストリート」。望月さんは、今や全国区となったこのイベントの発起人でもある。
 「ジャズが好きな人は、今も昔もたくさんいるはず。もっともっと、生のジャズに触れる機会を持って欲しい」半世紀をジャズ一筋に生き抜いてきた“名物オヤジ”の思いをのせて、今宵も小さな店はジャズに満たされる。

取材・文/渡辺裕希子 写真/岡村智明

マンハッタン

1.店名は、リチャード・ロジャースの名曲「Manhattan」から名づけられた。ライブのたびに演奏する、望月さんのテーマ曲だ。
2.レコードジャケットやポスターが飾られたシンプルな内装。どの席に座っても、ライブの迫力を間近で味わうことができる。
3.「中学生の頃からアンプやスピーカーを自作していた」というだけあって、音響設備も本格的。
4.ハートランドビール(500ml)750円は、7種類あるビールの中でも一番人気。手作りトマト&バジルピザは750円。

Jazz Kitchen MANHATTAN

住所 東京都杉並区阿佐ヶ谷北2-2-7 喜楽ビル3F

電話番号 03-3336-7961

営業時間 ライブ21:00~22:00、22:30~23:30(日曜は1時間繰り上げ)

休日 月

金額 バーボン500円~、スコッチ550円~、ホットワイン800円、レモネード700円、オムライス(ミニサラダ・スープ付)680円

URL http://www.ateliermw.com/manhattan/


知る人ぞ知るブルース・バーは中野にあり
ブライト・ブラウン

 「中央線、滅多に使わないんですが、やっぱり活気がありますねえ」
 とはカメラマン女史。中野サンモールの雑踏の中、はぐれそうになりながら辿り着いたのが、この日の目的地、ブライト・ブラウンである。このブライト・ブラウン、実は知る人ぞ知る、ブルース・バーなのだ。
「ブルースといっても、生ギター1本で歌うカントリー・ブルースから、バンド・スタイルまで、幅広いんですよ。僕はどんなブルースでも大好きですけど、うーん、どちらかというとシカゴ・ブルースですかねえ(笑)」
 とは店主の鈴木規之さん。取材のBGMに、わざわざ(?)ルーリー・ベルのシカゴ・ブルースをかけてくれた。
「うちの面白いところは毎週木曜のセッションタイムですよ。楽器を始めたばかりの人たちに交じって、ブルースハープの石川二三夫さんや、ギターの吾妻光良さんなど、プロの人たちがふらりと遊びに来ては一緒に演奏していくんです」
 鈴木さんがギターを弾いてオープニングを務めることもある。鈴木さんも根っからのブルース・マンなのだ。そんな鈴木さんに、どうして中央線はこってりしたロック、ブルースのイメージがつきまとうのか尋ねてみた。
「ほんと、どうしてでしょうねえ(笑)。僕が中央線沿線、高円寺なんですが、住み始めたのは21歳の時。今年48歳ですから27年前ですね。今はボーダーレス化が進みましたが、当時は、高円寺から西荻窪周辺にブルース・ミュージシャンが集まっていたんですよ。ちょうどJIROKICHIを取り囲んでいたような(笑)。ブルース・ミュージシャンにとっては憧れの土地だったんですよね。そんな中から巣立っていったミュージシャンが多いことも理由なのかなあ」

取材・文/森澤郁夫 写真/田頭真理子

ブライト・ブラウン

1.セッションタイムは木曜の21時から深夜0時。チャージは500円。毎週30人前後のお客さんで埋まるという。壁にはキャリー・ベル、ジェームス・コットン、B.B.キングのポートレイトが。
2.3.キリンスタウト700円、トマトソースパスタ800円。キリンスタウトは鈴木さんのお気に入り。水・金曜は終日バー・タイム。
4.店主の鈴木さん。「ジャズがかかる時もありますよ。ケニー・バレルやウエス・モンゴメリー、T・モンクとか。ジャンゴ・ラインハルトも」ジャンゴとは意外!
5.お店は雑居ビルの2階に。ライブは日・火・土曜。ボーカル、ブルースハープ、ギター、ピアノ、ベース、ドラムスの豪華な編成のプログラムもある。

ブライト・ブラウン

住所 東京都中野区中野5-59-9 湯澤第二ビル2F

電話番号 080-3024-4685

営業時間 20:00~翌2:00

休日 月

金額 チャージは内容により異なる(500円~1500円程度)

URL http://www011.upp.so-net.ne.jp/nakano-BB/


ホンモノの音楽と交わる一体感が楽しめる音楽を志し、愛する人々の聖地
稲生座

 吉田拓郎、南こうせつ、遠藤ミチロウなど数々のミュージシャンを輩出してきた高円寺。1970年代には、駅周辺に十数軒ものライブハウスやロック喫茶が建ち並んでいたという。当時に比べると店の数は減ったものの、音楽好きが集う街の雰囲気は今も変わってはいない。
 1978年にオープンした「稲生座(いなおいざ)」は、当時の熱気を保ち続ける老舗のライブハウスだ。30人も入ればいっぱいになる店内は、音楽を愛する人々が放つ濃密な空気で満たされている。
ここの魅力はなんといっても、ライブの一体感だろう。客席とステージとは極めて近く、手を伸ばせば届きそうな距離感。内装、雰囲気、演者、客…。すべてが混沌としているのに、ひとたび演奏が始まるとテンションが一気に上がり、あっという間に飲み込まれていく。
 こぢんまりとしたステージで演奏される音楽は、ロックあり、パンクあり、フォークあり。ときには、演劇や落語、映画の自主上映会が行われることもある。ステージに立つにはオーディションを通過しなければならないが、ジャンルはもちろん、プロ・アマ不問。基準は、店のスタッフが“気に入る”かどうか。本物を見極めるスタッフの確かな眼が、「稲生座」の歴史を支えている、といっていいだろう。
 ライブが終わる夜10時からは、バータイムへと突入。ライブの余韻に浸る演者や客に加え、高円寺界隈から個性的な人々が集う。仏像や花、ガラス玉などが無造作に飾られた薄暗い店内で酔いに身を任せていると、まるで海賊船に乗っているような錯覚に陥るだろう。
 昨年2月、店をイチから作りあげてきたマスターの柴田廣志さんが、惜しまれつつ亡くなった。ギタリストとしても活躍していた柴田さんは、店に集う色とりどりの人々を受け入れ、いつでも温かく包み込んでいた。現在は、ピアニストである奥様がその遺志を引き継ぎ、ママとして店を守っている。音楽を愛する人々を結びつける、強い磁力がここにはあるのだ。

取材・文/渡辺裕希子 撮影/松葉 理

稲生座

1.海賊船の中にいるような、不思議な雰囲気。無造作だが、センスのよさを感じさせる。
2.カウンターにはCDが積まれ、本が並ぶ。ほどよい“散らかり感”で落ち着ける雰囲気。
3.キリンラガービール(中)600円と秘伝のタレで漬け込んだアタリメ600円。酒や醤油、ニンニク、香辛料をきかせた味付けで、ビールがすすむ。
4.高円寺駅から歩いて5分、レンタルビデオ店の2階にある。店名は、柴田さんの出身地である青森県十和田の稲生町から名づけている。

稲生座

住所 東京都杉並区高円寺北2-38-16 サニーマンション2F

電話番号 03-3336-4480

営業時間 19:30~翌2:00

休日 火

金額 生ビール600円、ワイン(グラス)630円、焼うどん650円、チキンジンジャー750円、キムチ400円

URL http://www.freepe.com/i.cgi?inaoi


懐かしのシングルレコードを聞きながらみんなが青春時代に戻れる店
Bar plastic model 、バー・プラスチック・モデル

 昭和の香り漂う個性的な店が軒並ぶ新宿ゴールデン街。この街で70年代、80年代の懐かしい音楽を聞きながら、思い切り昔話ができるお店。それがバー・プラスチック・モデルだ。
「曲数で言うと、ここにあるだけでざっと5万曲以上かな。洋楽・邦楽、ジャンルを問わず、オールリクエストでやってます。基本的に80年代って言ってますけど、そこから派生して60年代、70年代の音楽もかけます。昭和50年代のものが多いかな。75~85年ぐらいの。ジュリーの『勝手にしやがれ』もサザンの『いとしのエリー』も、実は70年代後半だったりするし」という店主の関根圭さん。
 カウンターにずらりと並んだシングル盤のレコードを、客が自分で探しながらリクエストできるというのもこの店ならではのスタイルだ。レコードはすべて彼自身のコレクション。店に置いてあるのはその一部だという。
「あの当時はもちろんCDなんてなかったんで、自然とレコードばかりなんですけど。どうせなら、その当時に聞いてた音源で聞くほうがいいでしょ。シングル版だとLPと違って手軽に取り出せるし。カセットテープ・バーなんかもできたらいいな(笑)」
 ピンクレディーにオフコース、ムーンライダーズ――ジャケットを見ているだけでも、“あの頃”が蘇る。いい意味で“節操なく”流れる音楽が、そこにいる皆の時間を引き戻していく。 「僕が71年生まれなので、80年代は一番多感な頃だったんですよ。しかもその頃って、歌謡曲や日本のロックが一番面白かった気がするし。お客さんとは、音楽を通して“あの頃”の話ができればいいかなと思ってます。例えば、渡辺美里を聞きながら、この曲が流行った頃はこうだったああだったと、みんなで恥ずかしい過去のことを話して、それで清算している感じかなぁ」
 いい大人が、かつてオモチャのプラスチックモデルに熱狂した少年時代の顔になってしまう――そんな不思議な店である。客同士で音楽談義に花が咲く光景もそこここで見受けられる。まさに“音楽が主役”のバーなのだ。

取材・文/宮原香菜子 撮影/岡村智明

Bar plastic model 、バー・プラスチック・モデル

1.レコード屋のようにシングル盤がずらりと並んだカウンター。8人も座ればいっぱいになってしまう店は、連日立ち飲みが出るほどの盛況ぶり。
2.オープンは5年前。今ではゴールデン街でも知られる名物店に。出版や音楽、映像関係者など業界の人たちも多い。
3.店内奥のDJブースで、関根氏自らがリクエストをつないでくれる。プロジェクターもあり、CMばかりを集めた“当時の最先端な映像”も楽しめる。
4.ハートランド700円。音楽を肴に楽しむ。フードはポテトチップ400円などスナックのみ。チャージが700円、ドリンクは600円から。

Bar plastic model

住所 新宿区歌舞伎町1-1-10

電話番号 03-5273-8441

営業時間 月~土20:00~翌5:00、日20:00~翌2:00

休日 不定休

金額 チャージ700円

URL http://www.plastic-model.net



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