新宿の片隅に佇む、小さなバー。古びたスピーカーから70年代のブルースやソウルが流れ、仕事帰りの人々が酒を片手に夜な夜な語り合っている。一見するとどこにでもありそうな店だが、壁に直接書き込まれた数多のサインを見て驚く。上田正樹、永井“ホトケ”隆、内田勘太郎、杉山清貴、ブレッド&バターなど、そうそうたる面々。聞けば皆、この店でライブを開いたミュージシャンだというのだ。
「最近は、小さめのライブハウスでプロが演奏できるところが少なくなってきたと聞いています。うちはライブハウスじゃないけど、客席とステージとの距離が近いし、雰囲気もアットホーム。だから、有名なミュージシャンの方々にも喜んで出演していただけるのかなぁ、と思っています」と話すのは、マスターの佐藤ユキオさん。自身もブルースバンドにドラマーとして参加。今年2月の“おやじバンド・フェスティバル”で優勝を勝ち取った、というユニークな人物だ。多くのミュージシャンと交流を持ち、ときには自らライブに足を運んで口説き落とすなど持ち前の行動力で、数々のライブを成功させてきた。
月に1~2度のライブに加え、落語の寄席も開いている。過去5年間に、柳家喬太郎の独演会を5回開催。マスターが落語好き、という縁で実現したわけだが、人気落語家の噺を目の前でたっぷりと楽しめるとあって、発売直後に完売するほどの人気を博している。
30人も入れば満員になる店内で憧れのミュージシャンと向き合えるのは、贅沢の極み。常連客が
多いため、最初は気後れする人もいるかもしれないが、心配は無用だ。カウンターではいつも、話
好きのマスター夫妻が迎えてくれる。音楽と酒が好きなら、足を運んでみて損はないだろう。
取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子
1. 曙橋駅から徒歩2分の場所にある、隠れ家のような店。店名は、マスターが愛するエリック・クラ
プトンのアルバムタイトルから名づけられた。
2. ビクターの名機「SX3」を使用。中音域の音に定評があり、1980年代に人気を博したスピーカーだ。
また、ライブ時にはJBLの“White”を使用している。
3. 壁は、ここでライブを行ったアーティストのサインでいっぱい。「書いていただくスペースがなくなってきて、困ってるんですよ(笑)」とマスター。
4. マスターが選んだ写真も飾られている。写真家、William Hamesが撮影したトム・ウエイツやエリック・クラプトンなど、いずれも一見の価値あり。
5. ゴルゴンゾーラやブルーチーズなど、5種類のチーズにパンを添えた「ナチュラルチーズの盛り合わせ」1000円。「グラスワイン」600円とともに楽しみたい。
Bar461
東京都新宿区舟町12 ビリジアン新坂1F
03-3358-7283
18:30~深夜2:00、土18:30~深夜0:00
日曜、祝日
チャージ500円、ミュージックチャージはイベントによって異なる


