店の名前を見ただけで、どんな店なのか想像がつくに違いない。その名も「BarDylan」。マスターの山田徹さんは、ボブ・ディランの曲を片っ端から聴きながら青春時代を過ごした、筋金入りのディラン・ファンだ。オリジナル曲はもちろん、他のアーティストによるカバー曲も揃い、1962年のデビュー以来常に変化し続けるボブ・ディランの世界に、広く深く触れることができる。
ノーベル文学賞にノミネートされていることからも分かるように、ボブ・ディランは詩人としても高く評価されている。しかし、メロディメーカーとしての才能にスポットライトが当たることは、案外少ない。マスターは力説する。「確かに詩もいいんですが、メロディも素晴らしいんですよ。ディランは独特の声を持っているから、声にばかり注目が集まってしまう。女性ヴォーカルの綺麗な声でカバーされた楽曲を聴いて初めて、『こんなに美しい曲だったんだ』と気づかされることも多いんです」
とはいえ、「ボブ・ディランの曲以外は流さない」などという頑固な店では決してない。エルビス・プレスリーやドアーズ、イーグルスなど1960~70年代のクラシックロックを中心に、最新のロックナンバーもプレイ。ここはボブ・ディランの専門店ではなく、あくまでロック・バーなのだ。40~50代の男性が息子を連れて来店し、互いに好みの音楽をリクエストしあう、という微笑ましい光景も珍しくないという。
またマスターは、長年にわたってホテルのバーで腕を振るっていたベテランのバーテンダーでもある。アルコール度数96度のスピリタスで火をつける「ローリングサンダー」や、ウォッカと焼酎にライムを合わせた「天国の扉」など、ディランにちなんだオリジナルカクテルも、ぜひ試してほしい。
最後に、「ディランの曲の中で、一番好きな曲は何ですか?」という質問をぶつけてみた。「あまり知られてない曲なんですけど」と前置きした上で教えてくれた曲は、「EVERY GRAIN OF SAND」。店を訪ねたときには、リクエストしてみてもいいかもしれない。
取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫
1. 国分寺駅から徒歩3分のところにあるビルの2階にあり、カウンター席が中心。若いカップルや女性客も多い。
2. 真空管のスピーカーは手づくり。「音響関係の仕事をしている常連のお客様が作ってくれました音質がいいから、大音量で音楽をかけてもうるさく感じないんですよ」。
3. ムック「Rock In Golden Age~ロック栄光の50年」のバックナンバーが30冊すべて揃っている。もちろん、自由に閲覧OK。
4. カウンター奥に並ぶコレクションは、レコードとCDを合わせて約1500枚。
5. 細かく刻んだアンチョビとニンニクをソースに漬け込んだ「ナスのマリネ」600円と「キリン一番搾り生ビール」580円。
Bar Dylan
東京都国分寺市本多1-5-3 第一佐藤ビル2F
042-327-0017
19:00~翌3:00
年末年始
チャージ600円


