古びたレンガの壁に囲まれ、アンティークの英国製掛け時計が時を刻む。映画の中から飛び出してきたような、趣のある空間。1975年に開店した「SOMETIME」は、長い歴史が隅々まで染み込んだ、趣のあるライブハウスだ。
「開店当初は、私語OKの気さくな店だったんです。でも最近は、おしゃべりをせずに集中して音楽に聴き入っているお客様が多いですね」と話してくれたのは、店長の宇根裕子さん。チャージが1600円~と、都心の店に比べて手頃なこともあって、店にはいつも多くの客が訪れ、活気に満ちている。
毎夜行われているライブには、20年以上にわたって出演しているベテランから、期待値が高い若手のセミプロまでさまざま。「マニアックなものはなるべく避けて、誰にでも分かりやすいジャズを提供するように心がけています」と宇根さん。だからこそ、初めて訪れる人もコアな常連客も、分け隔てなく同じスタンスで楽しむことができるのだろう。女性一人で訪れる客が多い、というのも納得だ。
ステージは、店の中央に置かれている。周囲を客席がぐるりと囲み、好きな角度からミュージシャンの演奏を眺めることができる仕組みだ。かぶりつきで見たいときにはステージ真横の席、全体を見下ろしたいときにはロフト席と、好みによって使い分けられるのが嬉しい。なかでもツウに人気なのが、ピアノの真裏にあるカウンター席。日本にライブハウスは数あれど、ピアニストの指づかいが間近で見られる店はそうないからだ。
昼間は、パスタやピザなどの軽食やケーキが楽しめるカフェとして営業している。ジャズをBGMにランチを楽しむもよし、一人で読書にふけるもよし。夜の余韻が残った店内で、時間を忘れて過ごしたい。
取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫
1.月ライブは、ひと晩に2ステージまたは3ステージ。日曜と祝日には昼のライブも開催される(チャージ1000円~)。週末はとくに」込み合うので、事前の予約がおすすめだ。
2.壁の落書きは、今は亡きオーナーが「RedGarLand Trio」のレコードジャケットを真似て描いたもの。
3.4.オーナー自らが泊り込みで作った、こだわりの内装。アンティークの家具や小物が随所に配置され、独特の雰囲気を醸し出している。
5.マスタードを付けてシンプルに食べる「ソーセージのオーブン焼き」1000円。上品な後味の「キリン一番搾りSTOUT(小瓶)」500円とともに。
SOMETIME
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-31 B1F
0422-21-6336
11:00~深夜0:00
無休
チャージ1600円~


