西荻窪駅から歩いて10分の、静かな住宅街に佇む「copo do dia」。この店の壁には2枚の写真が飾られている。1枚は古びたモノクロームの写真で、もう1枚は真新しいカラー写真。時代は異なるものの、まったく同じ場所で撮影された写真だ。
「この場所は、母が昔暮らしていたブラジルのサント・アンドレという町です。モノクロームの方は1965年に撮影されたもので、当時の自宅と母が映っているんですよ」と教えてくれたのは、ご主人の伊藤正弘さんとともにオーナーをつとめる知子さん。昨年、知子さんが同じ場所を訪ねた際に撮影されたのがもう1枚のカラー写真、というわけだ。
母親からブラジルの思い出話を聞いた記憶はほとんどない、という知子さん。しかし、遺品を整理しているときに偶然見つけた一冊のノートが、ブラジルへの思いを駆り立てた。「ノートには、母が現地の料理教室で習った料理やお菓子のレシピがたくさん書いてありました。これを再現してお店で出してみよう、と思ったんです」
ブラジル中で愛されている軽食“パステウ”や、日本人向けに甘さを抑えた“バナナケーキ”など、メニューには素朴ながらも本格的な“おふくろの味”が並ぶ。店で流れる音楽も、もちろんブラジルが中心。店内には中南米音楽のCDが並び、備え付けのウォークマンで自由に試聴することもできる。CDのラインナップは毎月変わるため、何度訪れても飽きることはない。
ときには、ボサノバ、サンバ、ジャズなどのライブや、ポルトガル語講座も開催している。なかでも好評を集めているのが毎月1度開かれている「サンバリトミック」。飲食を楽しみながらバンディロ、タンボリン、ガンザなどのパーカッションを教わる、参加型のイベントだ。
バリスタの資格を持つオーナー夫妻が淹れるコーヒーも、楽しみのひとつ。「コーヒーを飲みながら、1日中音楽を聴いているお客様もいらっしゃいます。自分の部屋のように楽しんでいただければ嬉しいですね」。ブラジルのイメージそのままに、おおらかで暖かい雰囲気に包まれた店だ。
取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子
1.店名はポルトガル語で「コップが毎日変わる」という意味。その名のとおり、コーヒーカップや器のデザインはひとつひとつ異なっている。
2.椅子はすべてアンティークで、デザインもさまざま。「何度来ても楽しんでいただける場所にしたい」という伊藤夫妻の願いが込められている。棚に並ぶCDは、中南米のCDを扱うインターネットショップ「MPB store」が提供。試聴はもちろん、その場で購入も可。
3.小麦粉の皮で挽き肉とチーズを包んで揚げたパステウ450円と、ブラジル風ハツ焼きのコラサォン450円。ブラウマイスターは600円。
4.周囲は閑静な住宅街。ブラジル音楽ファンはもちろん、ふらりと訪れる近所の常連客も多い。
copo do dia
東京都杉並区西荻北4-26-10-103
03-3399-6821
月~木・祝12:00~20:00、金・土・日12:00~24:00
水・第3火
ライブ、イベント開催時にはチャージあり


