1982年の創業というから、もう四半世紀だ。
「この頃はインターネットの通販でレコードやCDを探す時代ですよ。探したいものが簡単に探せるし、電車賃より送料の方が安い(笑)。レコード店に足を運ぶ人が少なくなりましたよね」
店長の田村英男さんはそんな風に言うが、珍屋は世の中の流れとは少し違う。何を隠そう、この珍屋、実は中央線出身のロック・ミュージシャンの資料室ともいうべき、本当に“珍しい”店なのだ。
「ゆらゆら帝国の坂本慎太郎さん、ミュートビートの小玉和文さん、クロマニヨンズのマーシーさんなど、来店してはじっくり“探しもの”をしてましたね」
そう、ミュージシャンが電車賃を払ってわざわざ通う店なのである。今回紹介する国分寺南口店のほか、北口に2店舗、立川2店舗、高円寺に1店舗ある中央線の名物的レコード店。
「各店舗とも独自のカラーを出しつつもオールジャンルをカバーできるように心がけています。日本のロックやフォークにも力を入れていますよ」
そう言いながら紹介してくれたのは、はっぴいえんどが1971年に発表したセカンドアルバム『風街ろまん』。「風をあつめて」「夏なんです」などの代表曲が満載。洋楽ではボブ・ディランのアルバムが売れ筋だという。
「流行に左右されない音楽は時を経ても一定のファンがいるんでしょうね」
流行に左右されないレコード店もまた然り——。
取材・文/森澤郁夫 写真/須藤夕子
1.CDの品揃えはもちろんのこと、レコードの多さに驚く。再発ものの新古盤以外はすべてお客さんの持ち込み。50枚以上から出張買取も行なう。
2.坂本さんのイラストのバッグ(奥)、『空洞なんです』ゆらゆら帝国(前左)、『風街ろまん』はっぴいえんど(前右)。
3.店長の田村英男さん。若い頃からレコードを聴くのも買うのも好きで、珍屋を始めるのも自然の成りゆきだったという。手にしているのは町田町蔵の『ほなどないせえゆうね』
4.北口1号店の看板“猫”。お客さんが来るなあ、と思ったら、猫が目当てのようだった(笑)。


