パリにはきっと、こんなカフェがあるに違いない。オードリー・ヘップバーンの写真や古いレコードジャケット、色とりどりのオブジェが無造作に飾られた、小さな隠れ家。耳元に流れるのは、もちろんジャズ。ピカソの画集や手塚治虫の漫画などが並んだ本棚からも、オーナーのセンスを伺い知ることができる。
「パリは、サラリーマン時代からよく訪れていた街なんです。なかでも好きなのは、サンジェルマンなどの下町界隈。こうした町にあるカフェの雰囲気を再現したいと思い、店をつくりました」。温和な笑顔でこう話してくれたのは、マスターの上賀さん。若者が多い下北沢の地で、50代にして大人もくつろげるギャラリーカフェをオープンさせた。「ジャズが好きで、14歳の頃から大人に混じってジャズ喫茶に通っていました。映画を観たり絵を描くことも、昔から大好き。以前は、個展も開いていたんですよ」。絵画と映画、そしてジャズ。自らが愛するものを集めたこの店は、マスターにとってのアトリエでもあるのだ。
この店を訪れたら、マスター手づくりのカレーもはずせない。20種類の野菜とひき肉を4時間かけて煮込んだ、こだわりのルーが人気。ひとくち目にはほんのりと甘味を感じるが、次第に辛さが押し寄せてくる。2種類のチーズをトッピングして、パリっと焼き上げた「チーズカレードリア」をはじめ、7種類ものカレーを用意。ランチタイムにはドリンクサービスもあり、これを目当てに足繁く通うリピーターも多い。
店内では随時、若手アーティストの展覧会を開催。また、月に2、3度の割合でアコースティックライブや演劇などのイベントも開かれている。アートと音楽、文化の融合が楽しめて、そのうえおいしいカレーも待っている。こういう店を知っていると、ちょっぴり得した気分になれる。
取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子
1.パリの下町を思わせる、気取らない雰囲気。こぢんまりとしているが、テーブル間隔が広いため窮屈さは感じない。
2.本棚に並ぶ書籍や雑誌は、自由に閲覧できる。オーナーが古本で見つけた美術書からジャズ雑誌まで、ジャンルはさまざま。ひとりで訪れても、充実した時間が過ごせるだろう。
3.天井や壁など、いたるところにアートが散りばめられている。コーヒーやビールを飲みながら、気軽に楽しめるのがうれしい。
4.下北沢駅北口から、歩いて3分程度。古着屋の地下にある。
5.「チーズカレードリア」800円。スパイシーなルーがチーズと溶け合い、やさしい味わいを醸し出す。「ハイネケンビール」は500円。
Café PIGA
東京都世田谷区北沢2-24-6 北口ビルB1F
03-3468-7071
月~金13:00~16:00、18:30~23:00/土・日13:00~23:00
火
ライブチャージはイベントによって異なる


