「トリオ・デルフィネス」という名前を聞けば、ラテン音楽ファンならピンと来るだろう。アメリカのホワイトハウスで何度も演奏し、ハリー・ベラフォンテやナット・キングコールなど名だたるミュージシャンと共演した有名メキシコ人グループ。そのリーダーとして世界各地で活躍したチューチョ・デ・メヒコ氏の演奏を、間近で、しかもリーズナブルに楽しめる店がある。東北沢駅から至近距離にある週末限定のミュージックカフェ「テピート」だ。
店を切り盛りするのは、奥様の久美さんと、娘の恵さん。チューチョ氏の音楽活動55周年を記念して、2006年にオープンした。「基本的には毎週末、チューチョが演奏していますが、ときどきゲストをお招きして特別ライブも開いているんですよ。マリアッチやペルー音楽などジャンルは様々ですが、共通点はみんな演奏が上手だということ。とにかく実力派のミュージシャンに演奏していただきたいので」と力を込めて話してくれた。生の音を届けるためにマイクはなるべく使わないなど、音楽に対するこだわりは徹底している。
もちろん、料理も本格的だ。メキシコから運んできたチョコレートソースで鶏肉を煮た「モレ(1200円)」や、コラーゲンがたっぷり入った鶏肉のスープ「ソパ・デ・ポジョ(800円)」、米とミルクを混ぜた甘いジュース「オルチャッタ(650円)」など、本場さながらのメニューが揃う。「料理はメキシコ各地で勉強したほか、有名メキシコ人シェフから直接教わりました。チューチョからOKが出るまで、何度も作り直したんですよ」と久美さん。本場の味をそのまま再現したメキシコ料理は、メキシコ人はもちろん、初めてメキシコ料理を食べる日本人をも唸らせている。
ラテン音楽の頂点に立つ巨匠の生演奏を、少人数で独占する。テーブルに並ぶのは、奥様手作りの本格メキシコ料理と美味しいビール。これだけの贅沢が、チャージも含めて1人4000~5000円程度で楽しめるのだから、ラテン音楽ファンならずとも行かない手はないだろう。
取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子
1.サラペがかけられた扉を開いて2階へと上ると、もうひとつの扉が! 開くと、そこはメキシコ。
2.店に飾られている小物や食器、グラスなどは、久美さんがメキシコで直接買い付けている。センスの良さに脱帽。
3.チューチョ氏が演奏するアルパとギター。これを奏でながら、美声で歌い上げる。
4.ブリトー900円。チーズや玉ねぎのほか、お米も入ったオリジナルレシピ。いくつも数種類入ったスパイスが香ばしい。
5キリンの一番搾り600円は、メキシコ料理との相性が抜群。テカテやコロナなど、メキシコの代表的なビールも揃う。
Tepito
東京都世田谷区北沢3-2-17
03-3460-1077
金・土・日18:00~22:30(ライブは19:30~、20:15~)
月~木
チャージ1000円(特別ライブの場合は料金が異なる


