扉を開けると、流れてくるのはボブ・ディランにニール・ヤング、ザ・バンドなど…。創業は1969年という渋谷最古のロックバー&ライブハウス、B.Y.Gでは、アメリカンロックやブルースが「やっぱり音楽は大音量で聴かなければ!」とばかりに鳴り響く。
レコードのコレクションは1万枚以上。主流は60年代~70年代のアメリカンルーツロックだが、新譜もしっかりと取り揃えている。もちろん、リクエストも可能だ。
「創業当時、ロック喫茶は市民権の無い時代。昔この辺はジャズ喫茶が多かったんだけど、どんどん減っちゃって。今でも残っているお店はここと、隣りの『名曲喫茶ライオン』ぐらいです」と語るスタッフの山本さん。
まだ洋盤が希少だった当時、音楽を愛する若者にとってロック喫茶は実にありがたい存在だった(今はクリックひとつでダウンロード、だけれども…)。現在はお酒や料理も提供するバーという形態になったのだが、昔のロック喫茶の名残で、コーヒーでリクエストをしていく常連客もいるという。店内は地下のライブハウスと1~2階のカフェバーからなる大きな建物。年代もののポスターや柱に刻まれたサインなど、当時そのままの空気を漂わせるここは、音楽ファンの間では聖地のような場所でもある。
「地下のライブスペースでは当時、はっぴぃえんど、はちみつぱい、ブルースクリエーション、頭脳警察などが演奏していたそうです。Charさんや佐野元春さんも、若いころウチに通いつめていたと聞いています」
“ビューティフル・ヤング・ジェネレーション”の頭文字でB.Y.G。新しい日本のロックの誕生は、B.Y.Gの存在無しにはあり得なかったかも知れない、と言ったら言い過ぎだろうか。
まさに“伝説の”と呼ぶにふさわしいロックの殿堂では、今も活気あるライブが不定期で行われている。BEGINや遠藤賢司、風味堂、などの有名アーティストたちのライブが80名ほどの小バコで楽しめるというのも、凄い。
ライブ情報はHPで発表されるので、こまめにチェックしたい。
「ウチでライブをするには、厳しいオーディションに通らないとダメなんです。プロもアマも関係なく、オリジナリティのある音楽性を重視しています。ここには音楽の神様がいると演者の方々がよく言われるんですが、ホントに一体感が凄い。だからこそ、皆さんホームグラウンドとしてウチで演るのを楽しみにしていてくれるんでしょうね」
昨年からは、渋谷クアトロとともに「東京うたの日コンサート」というB.Y.Gで演奏するアーティストたちによるイベントも企画。音楽を通じて継承されるB.Y.Gスピリットは、永遠に不滅なのである。
取材・文/宮原香菜子 撮影/田頭真理子




