スタンダードJAZZの名曲が店名ではあるが、こちらは音楽通が多く集うという“ワールドミュージックバー”。カウンターとテーブルが2、3卓あるだけの小さな店だが、ロックやジャズはもちろんのこと、ヨーロッパ、ブラジル、ハワイアン、アラブ、アフリカなど、文字通り、世界中の音楽がここにはそろっている。ちなみに、取材時になにか珍しい曲をとリクエストすると、ジプシー音楽をかけてくれた。初めて聞くその音色はエキゾチックでエキサイティングで、こんなカッコイイ音楽があったのか! と衝撃を受けた。店内に並ぶ2000枚ほどのレコードやCDは、これでもまだコレクションの3分の1程度とか。羽田野さんの音楽への造詣の深さはHP上の音楽ブログでも発揮されていて、音楽通にもよく読まれているそうだ。
代官山にあった「ポレポレ」が4年前に渋谷に移転して現在の店名になったのだが、その理由を聞くと、「'70年代に久保田麻琴と夕焼け楽団がこの曲をロックアレンジでカバーしててね、それが大好きだったんですよ。原曲を最初は知らなくて、僕はずっと彼らの曲だと思ってたんだよね」と店長の羽田野さんは笑った。細野晴臣プロデュースの久保田麻琴の「サウス・オブ・ボーダー」が由来とは、なんとも“その世代”の音楽ファンをくすぐるコメントである。客層も30・40代が多く、半数以上が代官山時代からの常連客。夜な夜な、皆で音楽談義に花を咲かせているとか。取材時も開店と同時にお客さんが入り、すでに音楽談義に火が付いていた。
アコースティックライブも不定期に行っており、こちらもブルースあり、ジャズあり、さらには琵琶や三味線まであったりと、ほんとうに幅が広い。国境やジャンルを超えて音楽を楽しめる、この懐の深さがなんとも魅力的なのである。
羽田野さんの作る手料理も音源同様、洋の東西にはこだわらないラインナップ。特にチキンカレーは代官山時代からの人気メニューだ。ミュージックバーとしては珍しく焼酎が豊富でボトルキープもできる。それでまた、ついつい毎夜通ってしまうのだろう。
取材・文/宮原香菜子 写真/高須 力
1.カウンターとテーブルが少し。心地よい広さが隠れ家っぽい雰囲気。
2.数もそうだがそのジャンルの広さがスゴイ。「お客さんには音楽関係者やミュージシャンも多いんですよ」というのも納得である。
3.スパイシーチキンカレーライス945円は最初甘く感じるが、徐々にスパイスの辛味が口内日広がる本格派。キリンブラウマイスター生682円ともよく合う。
4.グラス525円~。お酒のつまみに最適な鶏のレバーの甘露煮630円。
5.Bunkamura近くのビルの3階に位置する。
国境の南
渋谷区道玄坂2-25-5 島田ビル3F-D
03-3463-5381
19:00~翌3:00
無休
焼酎525円~、ワイン(グラス)630円、野菜いろいろピクルス630円、ナシゴレン1050円など


