江戸の風情と現代アートが共存する街、“谷中”。近年、散策スポットとしても注目を集めているこの街に、若い夫婦が営む小さなイタリア料理店がある。言問通りに面した『bar hosteria COMUM(バール オステリア コムム)』。2005年オープンとまだ新しいが、地元にすっかり溶け込み、訪れる客は後を絶たない。
北イタリアをこよなく愛する宮沢シェフが作るのは、素材の持ち味を生かしたシンプルで力強い料理。なかでも、日付の入った手書きの日替わりメニューに注目したい。南房総の保田港から直送される魚介を使い、シェフが毎朝メニューを作成。届く魚介は日によって異なり、ときにはシェフでさえ知らない珍しい魚が紛れているというから面白い。
3人以上集まったらぜひオーダーしたいのが、看板メニューの『ズッパ・ディ・ペッシェ』。新鮮な魚介をホーロー鍋に入れ、トマトソースや白ワインで丸ごと煮込んだ、イタリアの漁師料理だ。グツグツと音を立てて運ばれてくる鍋、そして立ちのぼる潮の香りが食欲をそそる。魚介そのものの魅力をダイナミックに味わいつつ、旨みが溶け込んだスープを飲み干す。仲間と一緒に鍋を囲めばワインがすすみ、会話も弾むだろう。
毎月一度、日曜の夜には“Jazz Night”を開催。ピアノとベースのユニットによる、息の合ったライブが楽しめる。開店以来続いている名物イベントで、ミュージックチャージは無料。日程は月によって異なるので、事前に問い合わせてみて。
洒落た雰囲気に反して、サービスはざっくばらん。「もっと小さいサイズで食べたい」とか、「この料理とあの料理を組み合わせて欲しい」といったリクエストにも出来る限りこたえてくれる。下町ならではの気さくさと、本格的なイタリアンの融合を、心ゆくまで楽しみたい。
取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫
1-2. 店名の“COMUM”とは、オーナー夫妻が愛するイタリア・コモ湖の古い名前。店内のインテリアも、コモ湖をイメージしている。ステンレスが貼られた天井を見上げると、水面を下から眺めているような不思議な気分に。
3. 壁全体が大きな黒板になった、ユニークな内装。チョークで描かれたワインボトルは、近くにある東京藝術大学の学生によって描かれたものだ。
4. 気さくなオーナー夫妻。ご主人がシェフ、奥様は飲み物を担当している。気さくで親しみやすい人柄で、居心地のよい空間を作りだしてくれる。
5. 『ズッパ・ディ・ペッシェ』2800円に使う魚介は、その日の仕入れ次第。テーブルによって魚介の種類が異なることもあるという。イタリアの白ワイン『ビザンツィオ』は、ボトルで2900円とリーズナブル。
bar hosteria COMUM
東京都台東区谷中1-2-18 マツダフラット1F
03-3823-4015
14:00~深夜0:00(LO23:00)
火曜
席料300円(ディナータイムのみ)、おまかせコース3500円~、グラスワイン400円、カプチーノ400円


