赤提灯や立ち飲み屋が並ぶ、サラリーマンの聖地・新橋。その一角に佇む雑居ビルの地下へ、急な階段を下りる。黒い引き戸を開けると、わずか4.5坪の濃密な小宇宙が現れる。「新橋人形の館」である。
入口付近ではハードロックバンドKISSのメンバーのマスクがお出迎え。カウンターに鎮座するのは映画「ヘルレイザー」のキャラクター・ピンヘッドのブロンズの胸像や「プレデター」のフィギア。棚のなかには、KISSのアルバム「ラヴ・ガン」のジャケットのジオラマ、金色に光るモデルガン「モーゼル」や「デリンジャー」が恭しく鎮座している。そして爆音でかかっているのはハードロックとへヴィメタル、そして映画のサントラ。「一体どこに迷い込んでしまったのだろう…」。誰もがそんな不思議な気分になるはずだ。
オーナーの伊藤さんは2007年に「自分の好きな中国茶とウイスキーを楽しむ店を作りたい」とこの店をオープン。「ボンクラ魂を鷲摑みにする燃えサントラと泣きロックを聴きながら、ウイスキーと中国茶を嗜むまったり酒場。雰囲気作りのために店には一風変わった品々を陳列。とんだ一杯喰わせ物施設で飲む雰囲気…」というのがこの店のコンセプトだとか。
ロックフィギアや映画グッズに囲まれ、エリック・クラプトンやジェフ・ベック、KISSなどの音楽に身を委ねる。酒を飲んだ後に中国茶でシメても、最初からお茶のみでも、もちろんウイスキーだけでもOK。この小宇宙では、中国茶もウイスキーもどちらもよく似合うのがなんとも不思議である。
営業はDUSK(夕暮れ)からDAWN(夜明け)まで。運がよければ、ご縁があれば入れるよ、というスタイルもまた一興。誰も知らない自分だけの隠れ家を持つ。そんな大人ならではの嗜好を満たしてくれるに違いない。
取材・文/高橋かおり 写真/田頭真理子
1. コンクリート打ちっぱなしの壁に黒と赤のチェアがアクセントとなった、わずか4.5坪の宇宙。ゲストは意外にも上品なサラリーマンが中心。女性の一人客や看板を見て引き込まれるように来店する人も。
2-3. KISSのアルバム「ラヴ・ガン」のジャケットのジオラマやモデルガンが飾られている。
4. 映画「ヘルレイザー」のピンヘッドのブロンズの胸像をはじめ、様々な映画グッズに出会える。
5. 中国茶は700~1000円、台湾高山茶や花が咲く工芸茶、安渓鉄観音などを伊藤さんが煎れてくれる。おみくじ付きの「宇宙人クッキー」200円は伊藤さんのお手製。向かいにある居酒屋「はっさん」のフライドポテト、コロッケ、厚揚げ、串焼きなどのデリバリーもOK(22時まで)。シングルモルト、ブレンデッド、アイリッシュなど、ウイスキーも充実。
新橋人形の館
東京都港区新橋4-18-4 十合ビル地下1階
080-5508-4184
FROM DUSK(夕暮れ) TILL DAWN(夜明け)(23:50で無人の場合は閉店)
不定休
チャージ400円、バドワイザー900円、ハイネケン900円、ギネス900円、中国茶700円~、宇宙人クッキー200円


