サラリーマンの聖地、新橋。ビールケースを逆さにし、テーブル代わりにした店が両脇に連なり、“ココはアジア?”といった趣のディープな通りに、80年代ロックバー「STAY UP LATE」は佇んでいる。「音楽と酒を楽しむバーというのは、新橋では珍しいスタイルかもしれませんね」と語るのはマスターの奥村裕二さん。とはいえ、客の9割5分が男性、そして8割が30代後半~40代前半と、新橋の客層に相応しい、れっきとしたサラリーマンの憩いの場となっている。
「STAY UP LATE」では、1オーダーにつき1曲のリクエストができる。6000枚のCDが並ぶバックバーをヒントにしてもいいが、ユニークなのが、リスト代わりに用意されている「TOP POP」などのヒットチャート本だ。実は奥村さんは、学生時代にヒットチャートを研究するサークルに所属。“洋楽博士”とも称されたチャートマニアなのだとか。そんな博士にとって80年代ロックは、チャートという視点から見ても、大きな魅力を秘めているという。
「ベストヒットUSAが流行していたこの時代は、ベスト10のなかに、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースやフィル・コリンズなどのポップスもあれば、ボン・ジョヴィのようなハードロックや、ライオネル・リッチーやダイアナ・ロスなどのブラックミュージックも入っていて、チャートがすごくカラフルだったんです。日本人が最も洋楽を聴いた時代なのではないでしょうか。ヒットチャートを眺め、そんな時代に思いを馳せながら、リクエストするのもなかなか楽しいですよ」。
ちなみにこの店は、チャージもサービス料もなし。そしてドリンクもつまみも、キャッシュ・オン・デリバリー。そんな気楽さに惹かれてか、ビールを飲み、好きなロックをリクエストして “30分”で帰る。しかし“毎日”訪れる。そんな客が多いのだとか。大人が遊ぶに相応しい新しい聖地を見つけた。
取材・文/高橋かおり 写真/下村孝
1. 渋谷にある某ロックバーのファンだった奥村裕二氏が2003年にオープン。当時は60~70年代のアナログレコードをかけるロックバーが主流だったが、「これからの世代のロックバーを作りたい」と、あえて自分が好きな80年代にこだわったという。新橋を選んだのは、サラリーマン時代にこの地に勤めていたから。
2.CDがアルファベット順におさめられた棚は、マスターの父上の手作り。客からプレゼントされたCDもあり、客に育てられた棚だとか。
3.「TOP POP」などのヒットチャート本が、リクエストのヒントになる。アカデミックにチャートを研究しているマニア心をくすぐる。
4.黒を基調に、赤いライトをアクセントに配したシックな店内。HEARTなど、80年代ロックミュージシャンのポスターが飾られている。
5.フードはつまみのみ。「ビーフジャーキー」700円と「ハイネケンダーク」800円。
STAY UP LATE
東京都港区新橋4-18-6
03-3433-7535
19:30~翌1:00
土・日・祝
料金 チャージなし、ハイネケンダーク800円、淡麗アルファ800円、ポップコーン400円、シュウマイ500円、ソーセージ盛り合わせ800円


