芸者が行きかう花街として栄えてきた四谷荒木町。独特の風情が残るこの街のなかでも、車が通れないほど小さな路地が柳新道通り。そんな隠れ家感たっぷりの地に佇むブルースバーが「Blue SUnya」だ。
煉瓦と木を基調にしたシックな店内は洗練された大人の空間といった趣。壁にはギターやアナログレコードのジャケットが飾られ、真空管のアンプからライトニン・ホプキンズ、サニー・ボーイ・ウィリアムソン、マディーウォーターズ、ロバート・ジョンソンなどの温かみのある音色が流れている。所蔵するのはアナログレコード約300枚とCD数100枚。壁に設えられた棚からゲストが好みのレコードを選んでかけてもらうなどという、ご機嫌な体験もできる。
マスターの藤岡善信さんはかなり異色の経歴の持ち主だ。本業はなんとお坊さん。ボクサーからお坊さんに転じ、さらに9年前には同じ荒木町に「坊主バー」をオープン。昼間は浄土真宗本願寺派僧侶として、夜はマスターとして活躍。そしてもうひとつのブルース好きという顔をいかすべく、3年前に「Blue SUnya」をオープンしたのだ。
「苦しみを肯定し、そのまま歌うのがブルース。苦しみと向き合い、そのまま受け止める仏教と同じだと僕は考えているんです。ブルースが根本に持っている感情のマグマみたいなものがすごく好きなんですよね」と藤岡さん。禅寺を思わせるミニマムな空間でディープなブルースに身を委ねていると、心が浄化されるような気分になるから不思議だ。
日本のソウルフードである玉子かけご飯をアレンジしたものなど、ユニークなフードメニューも魅力のひとつ。なかにはコオロギやカイコサナギを盛った「昆虫の三種盛り」や20年ものの「ハブ酒」など、超珍メニューも待っている。ディープなブルースとソウルを鷲摑みするような酒とつまみ。そんなひと味違った体験が待っている。
取材・文/高橋かおり 写真/田頭真理子
1. 柳新道通り沿いに隠れるように佇む。客層は40代のサラリーマンやカップルが中心。圧倒的に男性客に人気が高いという。
2. 壁にはギターやアナログジャケットが飾られている。
3. 温かみのある音を奏でる真空管アンプ。40、50年代を中心に、デルタ、シカゴ、アーバンブルースを流す。
4. マスターの藤岡さん。月に1回、藤岡さん自らマイクを握るブルースライブも開催される。
5. パセリや生ハム、トマト、バター、玉子を混ぜたイタリアンテイストの「玉子かけご飯」700円。ピオーネを使った「フレッシュフルーツのカクテル」900円。後ろにあるのは秘蔵のハブ酒。
Blues BAR Blue SUnya
東京都新宿区荒木町9 正起ビル1階
03-3358-0188
19:00~翌3:00
日曜・祝日
チャージ500円、フレッシュフルーツのカクテル900円~、アンチョビオリーブ500円、プロシュート生ハム700円


