本格派女性ツェッペリンカヴァー・バンド、レズ・ツェッペリンに注目!
LEZ ZEPPELIN/レズ・ツェッペリン
カッティング・エッジ
CTCR-14584 \1,575(税込)
2008年7月9日発売
【曲目】
1.胸いっぱいの愛を
2.オーシャン
3.ON THE ROCKS
4.貴方を愛しつづけて
5.ロックン・ロール
6.WINTER SUN
7.コミュニケイション・ブレイクダウン
8.カシミール
9.移民の歌(Live Ver.) /ボーナス・トラック
10.レイン・ソング(Live Ver.) /ボーナス・トラック
※M3、M6はLEZのオリジナル楽曲
熱心なレッド・ツェッペリン・ファンならもう噂は耳にしていることと思うが、女性4人によるツェッペリン・トリビュート・バンド、その名もレズ・ ツェッペリンがデビュー・アルバムを発表し、来日公演を行なった。
彼女達が本当にレズビアンかどうかは知らないが、英語だとスペルが“LED”と“LEZ”の1文字違い、しかも女性によるトリビュート・バンドであることが一発で判るネーミング・センスは実にお見事だ。しかしお見事なのはネーミングだけでなく、10月1日の渋谷クアトロで見せたライヴ・バンドとしての実力もかなりのもので、超満員の観客の声援や拍手が曲が進むに連れて高まっていったのは、彼女達の演奏が聴き応え、見応えともに充分だったからだろう。
そんな彼女達のライヴは、昨年12月の本家の再結成ライヴで演奏されなかった曲の中で、最もファンが聴きたかった一曲、「移民の歌」でスタート。女性 ヴォーカリストならではのハイ・トーン・ヴォイスを目一杯シャウトするこの一曲だけで、彼女達が洒落や酔狂でやっているバンドでないことは充分に伝わってきた。
ただ正直言うと前半はまだエンジンの掛かりが悪かったのか、ヴォーカルの頑張りを除けば演奏内容はイマイチで、やはり女性バンドということで許されているトリビュート・バンドなのかとも思ったのだが、中盤以降は見違えるようにアンサンブルも良くなり、会場も熱く盛り上がっていった。そのバンドとしての力量を喩えるなら、2、3枚アルバムを出した辺りのイギリスの男のバンド・レベ ルは超えていると感じたが、そんなことよりも耳に馴染んだツェッペリン・ナンバーをほぼ完コピで次から次へと繰り出すのだから、ツェッペリン・ファンなら楽しくないわけがない。
しかも「幻惑されて」では、バイオリンの弓を使ったお馴染みの奏法とアクションを交えてのギター・ソロをたっぷり披露し、曲に合わせてジミー・ペイジと同じモデルのギターを使い分けるなど(もちろん、ドラゴン刺繍スーツも含め)、ショーとしての見せ方もしっかり心得ているのはトリビュート・バンドならではだろう。
しかも僕が驚いたのは後半の「オーシャン」、「死にかけて」といった変拍子の難しい曲ほどリズムがアジャストしてバンドの一体感が増していったことで、 「ブラック・ドッグ」での“ハァー♪ハァー♪”のコール・アンド・レスポンスでは 観客とも一体となるステージ構成が鮮やかだった。そして本編の最後は、本家の再結成ライヴでもハイライトの一つとなった「カシミール」で、シンセサイ ザー・ストリングスと重いギター・リフとドラムスが奏でる荘厳で雄大なこの曲 は、レッド・ツェッペリンの演奏同様、胸が熱くなるような高揚感を味わうこと が出来たのは、オリジナルの曲が良いからだけではないだろう。続くアンコールも「ロックン・ロール」「胸いっぱいの愛を」で会場を盛り上げ、2度目のアンコールでは「コミュニケイション・ブレイクダウン」を披露。「天国への階段」は演らなかったものの、文句なしに楽しめるライヴだった。
欲を言えば、ドラム・セットもラディックを使ってもっと重い音にして欲しいとか、本家に近付くためのハードルは高いが、彼女達にはこのままツェッペリン道を極めていって欲しいと願わずにはいられない。何故なら男のトリビュート・バンドは上手くて当たり前で、いくらコピーの精度が高い演奏でもさほど驚くことはないが、女性のバンドが最高峰のロック・バンドに挑み、女性ならではのヴォーカルの魅力を活かせるトリビュート対象は、ビートルズでもローリング・ストーンズでもなく、レッド・ツェッペリン以外にないと思うからだ。彼女達のデビュー・アルバムを聴けば、ツェッペリン好きのロック・ファンの方になら、僕が言うことにもなるほどと納得してもらえるに違いない。

