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2007年11月

電気グルーヴ、待望の新作「少年ヤング」は”あの頃”の香り…


電気グルーヴ

 80年代に訪れた空前のバンドブーム。多くのアマチュアバンドがひしめき合っていた頃、他の追随を許さない独特のセンスを持ったアーティストだけが集まる伝説のインディーズレーベルがあった。その名は「ナゴムレコード」。その中でも特異な輝きを放っていた電気グルーヴ、ナゴムの産みの親である有頂天のケラリーノ・サンドロヴィッチ、そして筋肉少女帯の大槻ケンジが、20年の時を超えてコラボレートする!
 大槻ケンジの半自伝的小説『グミ・チョコレート・パイン』。暑苦しくて汗臭く、”何者でもない”自分を持て余す高校生ケンゾーを中心に、恋やバンドにのめり込むアンバランスな青春がリアルに描かれた大人気小説の映画化が決定した。しかも大槻ケンジからの熱いリクエストによってナゴム時代の盟友ケラリーノ・サンドロヴィッチが監督を快諾。映画にはピエール瀧や銀杏BOYZの峯田和伸も印象的に出演し、音楽だけでなく、映像にも独特の感性が活かされている。そんな作品のエンディングをかざるのが電気グルーヴ8年ぶりの書き下ろし楽曲「少年ヤング」。言葉の端々から”ナゴム”時代の空気がただよう歌詞は石野卓球とピエール瀧の共作。ギターでBEAT CRUSADERSのヒダカトオルが参加し、甘酸っぱい青春群像のエンディングに、切なくはまる軽やかなイントロを聞かせてくれる。
 新しさと懐かしさ。今、それぞれのシーンで活躍している彼らが、”少年ヤング”だった頃の甘酸っぱさと、大人になった彼らの魅力がぐっと詰まった1曲に仕上がっている。
 現在は来春リリース予定のオリジナルアルバムのレコーディングに入っているという電気グルーヴ。1つの時代を築き上げた彼らが、新しい世界のドアが開くときがきたようだ。  

文=代田橋郁子




2007年11月

ファンク・ギターのようなB-3! ビッグ・オルガン・トリオ初来日 


ビッグ・オルガン・トリオ

JAZZ FUNK EXPO 2007
11月30日(金)18:30/21:30開演
ビルボードライブ大阪
12月1日(土)18:00/21:00開演
名古屋ブルーノート
12月3日(月)19:00開演
渋谷クラブクアトロ

 2006年末、ソウライヴで知られるヴェロアからデビュー・アルバムをリリースしたビッグ・オルガン・トリオは、今年もっとも話題を集めたジャム・バンドのひとつだ。その編成から、新しいメデスキー、マーティン&ウッド?と一瞬思ってしまうかもしれないが、音楽的にはむしろジミ・ヘンドリックスとELPとスライ&ザ・ファミリーストーンを合体させてサンタナで割ったような明快かつ怒濤のサウンドである。マイク・マンガン(org)、バーニー・バウアー(b)、ブレット・マッコーネル(ds)の3人は、これまでのどのオルガン・トリオとも違う強烈なグルーヴでリスナーを圧倒する。
 マンガンは、まるでギターのようにB-3を弾く。ディストーションをつかった太い音のソロはもちろん、アップテンポでの16ビートのカッティングまでオルガンでやってしまうのだ。圧巻は、オルガンの後ろに回っての背面弾き。ギミックの大切さもちゃんとわかってるロック野郎なのだ。
 そんな彼らが、11月末から12月の頭にかけて大阪名古屋東京をツアーする。共演はデイヴィッド・パストリアス&ローカル518。名前からわかるように、ジャコパスの甥のリーダー・バンドだ。ライヴではオリジナル曲だけでなくグレイトフル・デッドの「ダーク・スター」からドアーズの「LAウーマン」、はてはボブ・マーリーの「エクソダス」まで披露してしまうビッグ・オルガン・トリオ。待ちに待った初来日である。 

文=野間易通




2007年11月

伝説のピアニスト、ハンク・ジョーンズ・インタヴュー


ハンク・ジョーンズ

 ハンク・ジョーンズ。89歳になるピアノの巨人はいまも旺盛な創造性を発揮している。昨年の「東京JAZZ 2006」で聴かせた素晴らしい演奏。そのときは渡辺貞夫と久々のリユニオンも実現し、終了後にご機嫌な共演アルバムを置き土産として残してくれた。
 その『星影のステラ』に続く最新作が、ニューヨークの人気ジャズ・クラブ「バードランド」で残された実況録音盤。それも嬉しいことに2枚同時の発売である。『July 5th』ではスタンダード、『July 6th』ではファンキーな曲にも取り組んだ内容が健在ぶりを伝えている。
「グレイト・ジャズ・トリオが結成されてからでも30年以上が経つんだね。ときの流れは速い。自分じゃまだ10年くらいのつもりでいるからね」  ジョーンズがグレイト・ジャズ・トリオ名義でレコーディングを始めたのは1976年のことだ。オリジナル・メンバーは、彼のほかにベースのロン・カーターとドラムスのトニー・ウィリアムス。スインギーなタッチを売りものにしているジョーンズのスタイルから考えれば、先鋭的なプレイをしていたふたりとの組み合わせはかなり異色のものを思わせた。 「先鋭的なリズム・セクションと共演すること。グレイト・ジャズ・トリオのコンセプトがここにある。たとえば、最近ではエルヴィン・ジョーンズやジャック・デジョネットがメンバーだった。彼らはわたしとスタイルがまったく違う。でも、基本はオーソドックスなジャズもきちんと演奏できるプレイヤーであること。それがメンバー選びの基準だ。それで、ここしばらくはジョン・パティトゥッチとオマー・ハキムに加わってもらっている」 「東京JAZZ 2006」のステージがこのメンバーによるトリオの初お披露目だった。誰もが意外に思ったのは、ハキムの参加だろう。 「オマーはずっとフュージョン畑で演奏してきたからね。でも、彼だってバックグラウンドにはストレート・アヘッドなジャズがある。そこの部分をわたしとの演奏で引き出してみたかった。それと同時に、オマーのドラミングによってわたしも触発されたかった」
 この言葉にジョーンズの姿勢がはっきりと見て取れる。90歳近い彼だが、いまだ演奏に対して前向きな姿勢を失っていない。そのことが、こういう言葉に滲み出ている。 「最新作の2枚を聴いてもらえばわかると思うが、わたしはなにも変わっていない。変わっていないけれど、昔と同じ演奏はやっていない。そこが重要だ」  意気軒昂とはジョーンズのことを意味する言葉だ。声にも張りがあるし、演奏はそれ以上に溌剌としている。それがなにより嬉しい。これからの彼にもまだまだ期待が持てそうだ。  

インタビュー・文=小川隆夫
 




2007年11月

再びロック・シーンの最前線に戻ってきたスプリングスティーン


ブルース・スプリングスティーン

 ブルース・スプリングスティーンと言えば、白いTシャツにブルージーンズ姿で拳を振り上げ熱唱——そんな姿を思い浮かべるファンも多いはず。しかし、それは70〜80年代の最も脂が乗っていた頃のイメージ。ここ数年のスプリングスティーンは自身のルーツの一つであるフォーク・ミュージックに迫る作品をリリースするなど、明らかに年相応(58歳)の枯れた味わいを醸し出していた。
 しかし、その彼が5年ぶりに盟友Eストリート・バンドと作り上げた最新作『マジック』は、84年発表の大ヒット・アルバム『ボーン・イン・ザ・USA』を髣髴とさせるポップかつエネルギッシュなロック・アルバムだ。
 きっと、世界中のファンがこれを切望していたのだろう。米ローリング・ストーン誌が5つ星(歴史的名盤)とともに絶賛した『マジック』はアメリカ、イギリスを含む世界10ヶ国で初登場NO.1を獲得(翌週2位に落ちたものの、3週目には1位に返り咲いた)。一足遅れて、10月24日にリリースされた、ここ日本でもオリコン洋楽チャートの2位に初登場し(同総合チャートでは14位に初登場)、着実にセールスを伸ばしているそうだ。
 60歳を目前にして、再びロック・シーンの最前線に戻ってきたスプリングスティーンの姿に世界中のファンが自分自身を重ね、「青春の日よ、もう一度!」と勇気づけられているにちがいない。
 10月2日にスタートしたブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンドの全米およびヨーロッパ・ツアーはチケットの発売とともに全公演がソールドアウトとなり、アメリカン・コンポーザーズ・オーケストラがプレミアム・チケットとも言える10月17日のニューヨーク マジソン・スクエア・ガーデン公演のバックステージ・パス付きのVIPペアチケットを競売にかけたところ、2万ドルで落札された。
 数年来、アーティスティックな方向性を追求してきたスプリングスティーンだが、今回の『マジック』においては商業的、あるいはショウビズ的という意味でも大きな成功を収めることはまちがいなさそうだ。
 現在、彼のオフィシャル・サイトでは最新ツアーからのライヴ映像が随時、公開中。各曲1〜2分程度だが、ツアーの熱狂を垣間見ることができる(http://www.brucespringsteen.net/news/index.html)。
 また、10月26日〜12月2日の間、スプリングスティーンを身近で撮ってきた複数のカメラマンの作品を展示した"Bruce Springsteen : The Boss Revealed"なる写真展がロンドンのプラウ ド・ギャラリーズで、開催されている(http://www.proud.co.uk/bruce-springsteen-boss-revealed-c-101.html)。
 そして、米ビルボード誌によると、『マジック』とは別の、もう1枚のアルバムのウワサも! 『マジック』のプロデュースを担当したブレンダン・オブライエンによると、リリース日は未定ながら、『マジック』の作風には合わなかった曲を、別のアルバムとしてリリースする計画が持ち上がっているということらしい。さあ、リリースはいつだ?! 
 『マジック』とともに再燃したスプリングスティーン熱は、まだまだ過熱していきそうだ。  

文=山口智男
 




2007年11月

渋谷発の音楽祭が開催!


渋谷音楽祭

 カルチャーの発信地・渋谷。そんな渋谷で今年2回目となる渋谷音楽祭が開催される。主催はNPO法人の「渋谷駅周辺まちづくり協議会」。NPOがナゼ!? と不思議に思ったのだが、渋谷の駅周辺の都市開発が始まる中、ソフトにより“人が主役のまちづくり”を目指そうと2004年に設立されたもの。
「渋谷の魅力は、なんといってもその多様性にあります。オーチャードホールからライブハウス、多数のミニシアターに能楽堂など、こんな文化的な街は他に類を見ないものです。また街に集まる世代も国籍も実にさまざま。そんな特色を活かし、人が一同に介して、渋谷のシンボルとなる文化的なものを作りたい。それが渋谷音楽祭の立ち上げであり、人による、渋谷の文化創造となっていけば」と事務局の川上さん。
 そんな考えに共感した渋谷のライブハウス26店から推薦されたアーティストが、109や丸井など、まさに渋谷を象徴する場所でライブを行う。また、今年から、マークシティではダンスも開催。多様性の街・渋谷らしく、音楽もダンスもジャンルは設けない。今年は甲斐まさひろさんをフラッグアーティストに迎え、世代やジャンルを越えたイベントを目指す。
 イベントのテーマは3 little words(ありがとう・こんにちは・ごめんなさい)。コミュニケーションを大切に、人により渋谷の街を創っていこうという希望が込められている。イベントに関わっているのは事務局のスタッフとボランティア。PR活動から運営まですべて自分たちで行っている。運営資金も協賛金によるものだ。
 「今年はサポーターの方々や協力企業も増え、知名度が上がってきている実感もあります。昨年の関係者が今年も協力してくれたり、このイベントを通して人と人が繋がっているのも感じます。今後もさらに拡げ、ゆくゆくは渋谷から世界を代表するようなフェスティバルに育って欲しいです」
昔を思い出したり、今の音楽を知ったり…。今週末は、渋谷に足を延ばしてみてはいかがだろうか。 
http://shibuon.com/  

文=編集部
 




2007年11月

ポリス、27年ぶりの来日公演!


ポリス

 ポリスは最初から「大人のバンド」だった。1978年にアルバム「アウトランドス・ダムール」でデビューした時点で、ドラムスのスチュアート・コープランドは26歳、ベースとヴォーカルのスティングは27歳、ギターのアンディ・サマーズにいたっては36歳だった。各人の音楽的なキャリアも当時、世の中を席巻していたパンク・ムーヴメントのなかで見ると、かなり豊富だった。当然、素人っぽい粗雑さが、ある種の売りになっていた他のパンク・バンド群と比べると、抜群の演奏技術も持っていた。 
 彼ら自身が後に、デビュー時にパンク・ブームを利用したことを認めていることもあるが音楽的な完成度の高さが、パンク・ファンには取り澄ました印象を与えていたように思う。レゲエのリズムを取り入れた、その洗練 された音楽性は、パンク以降の‘80年代のニュー・ウェイヴ・シーンのなかで本格的な輝きを発揮した。80年代の3作品「ゼニヤッタ・モンダッタ」、「ゴースト・イン・ザ・マシーン」、「シンクロニシティー」は緊張感に満ちた、クールで硬質な質感を放ったポリスだけの世界を堪能できる。 
 2008年、55歳のスチュアート、56歳のスティング、65歳のアンディがポリスとして再来日する。最初から「大人」だったバンドの再結成って、一体どんなものなのか? 円熟はいらない。あの3人だけが織り成す緊張感に、再び身を浸してみたい。  

文=東郷かおる子
 


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