アーチャー・プルウィット(THE SEA AND CAKE)インタビュー
ザ・シー・アンド・ケイク(=海とお菓子)、なんて不思議な名前のバンドがデビューしたのは93年のこと。彼らはジャズ、ボサノヴァ、ソウルなど、さまざまな要素を巧みにブレンドしつつ、独自のサウンドを完成させていった。4人のメンバーそれぞれがサイド・ユニットを持ち、写真家や画家としても活躍しているのもバンドのユニークなところだが、なかでもギタリストのアーチャー・プルウィットはコミック作家としての横顔も持つ才人。まずはバンドの最新作『エヴリバディ』について、こんな風に語ってくれた。
「今回のアルバムは、初期の頃に帰ってバンド・サウンドにフォーカスしたんだ。最近はスタジオでセッションしながら作ることが多かったけど、今回はしっかり曲を作ってからレコーディングに挑んだ。初めてプロデューサーとミキサーを全て外部に頼んだのも、メンバー全員が自分のプレイに専念できるようにするためなんだ」
なんでもレコーディングは、新人バンドのように合宿して行われたらしい。
「みんなでコメディー番組を観て大笑いしたり、朝までラップトップを使ってDJショウをやったりして、夜も寝ないでわいわいやってたね。それで朝、フラフラしながらコーヒーで目を覚ましてスタジオに入る、みたいな感じかな(笑)」
そうやって4人が団結して、バンドを意識することで生まれた〈みんな(エヴリバディ)の歌〉。演奏に集中することで生まれた躍動感は、キャリア10年を越えるバンドとは思えない瑞々しさだ。本作を通じて、バンドは新しいスタート地点に立ったのかもしれない。その勢いに乗って、ヴォーカルのサム・プレコップによる初めての写真集「PHOTOGRAPHS」が刊行されたが、アーチャーのコミック作家としての活動も見逃せない。なにしろ音楽を始める前から、彼にとってコミックは特別な存在だったのだ。
「小さな頃から、ずっと絵を描いてきたんだ。今でも憶えているのは週に二回、兄と森を抜けてコミックを買いに行ったことだね。買ったコミックは、自分たちで作った専用のブックケースに入れて大切に読んでた」
そんなアーチャーの代表作といえば、どんなヒドいことをされても「ハハハ!」と笑い飛ばす『SoF'BoY』。昔、飼っていた猫とバンド仲間からヒントを得たというユニークなキャラクターだ。ポップなタッチのなかに、ちょっぴりダークな面も垣間見える物語は、アーチャーの音楽と通じるところもあったりして。
「音楽はコードを組み合わることでひとつの曲になる。コミックもスケッチやいろんな要素がだんだんと物語になる。いろんな要素を積み上げてひとつのストーリーにしていくという意味では、音楽もコミックも一緒なのかもしれないね」
柔らかな物腰で、ロックとコミックの世界を自在に行き来するアーチャー。来年にはソロ新作も予定されているらしく、その魅力溢れるファニーな世界はますます広がっていきそうだ。
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