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2008年02月

時代をリードし続けるジャズ・ピアニスト、チック・コリア・インタヴュー(VOL.2)


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 『ファイヴ・トリオBOX』の構想を現実化させるためにチックが計画したのは、年が明けた2007年4月のホーム・スタジオ・レコーディングだった。 「ロスから10年くらい前にフロリダ州のクリアウォーターという街に引っ越した。都会から離れて、静かな生活がしたくなったんだ。わたしは年がら年中ツアーしているから、ゲイル(チック夫人)の住みたい土地を最優先にした。タンパから車で15分くらいの郊外にある家を選んだのは、だから彼女だ。わたしのリクエストは広い居間がある家、それだけだった。そこで、ゲイルが不動産屋とあちこちを回ってその家を見つけた」 
「広い居間」は、チックがそこをホーム・スタジオにするつもりだったからだ。 
「ほとんど手をかけず、そのまま機材を設置してスタジオにすることができた。ロスにいたときはマッド・ハッター・スタジオを持っていたんで、今度のスタジオはマッド・ハッター・イーストと呼ぶことにした」 
 このマッド・ハッター・イーストで立て続けにレコーディングされたのが、ファイヴ・トリオ・シリーズの第一弾として登場した『ドクター・ジョー〜ジョー・ヘンダーソンに捧ぐ』と、このボックス・セットのみに収録された『ブルックリン、パリ・トゥ・クリアウォーター』だ。 
『ドクター・ジョー〜ジョー・ヘンダーソンに捧ぐ』には、エレクトリック・バンドやアコースティック・バンドで名手振りを発揮したベーシストのジョン・パティトゥッチと、パット・メセニー・グループで脚光を浴びているアントニオ・サンチェスが選ばた。 
「この3人が顔を合わせたのもこのときが初めてだった。でも、最初から息もぴったりで、長年レギュラーで活動していたような錯覚を覚えた。自宅のスタジオでレコーディングしたのもよかった。時間に追われることがないし、合間に食事をしたり雑談をしたりしながら、和気藹々の雰囲気で録音することができたからね」  このレコーディングが4月13日と14日に行なわれ、次いでアドリアン・ヘラウドとリッチー・バーシュレイを呼び寄せ、17日と18日にテープが回される。 「ふたりとはこのとき初めて演奏した。ベースのアドリアンは、ジョン・マクラフリンが推薦してくれたんだ。彼が参加したジョンのCDを聴いて、これならいけると直感した。ドラムスのリッチーはわたしと同じボストン出身で、ハービー・ハンコックのバンドで演奏していたのを聴いたことがある」 
 上々の結果となったことは、彼らの演奏を収録した『ブルックリン、パリ・トゥ・クリアウォーター』と題された5枚目のCDを聴けば明らかだ。 
「わたしは、いつも若いミュージシャンとセッションすることで自分を触発させてきた。今回も、かつてスタンリー・クラークやジョン・パティトッゥチやデイヴ・ウェックルのプレイを聴いたときと似た感覚を覚えた。今後、このふたりと演奏するかどうかはわからないが、彼らにとってもわたしにとってもいい体験になったことは間違いない」 
 超の字がつくヴェテラン・ピアニストになったチックだが、いまも若いミュージシャンとセッションを繰り返すことで自身の音楽性の発展もおろそかにしていない。その成果とヴェテランとしてのキャリアの両方を伝えているのが『ファイヴ・トリオBOX』ではないだろうか。  

文=小川隆夫


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