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2008年02月

伝説のダブ・バンド、MUTE BEATが一夜限りのライブ!


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[公演情報] 
Riddim Presents MUTE BEAT ONE NIGHT LIVE
[出演]
MUTE BEAT
こだま和文 (Trumpet) 、 増井朗人 (Trombone)、 朝本浩文 (Keyboads) 、 松永孝義 (Bass) 、 宮崎“DUB MASTER X”泉 (DUB Mix)、 屋敷豪太 (Drums)

[日程]2008年4月2日 (水)  
[オープン]19:00 
[ライヴ・スタート]21:00 
[会 場]LIQUIDROOM 
[前売券]¥6,000(ドリンク・チャージ別)
[当日券]¥6,500(ドリンク・チャージ別)
[チケット販売日] 
2月29日(金)20時〜 
LIQUIDROOMホームページ(www.liquidroom.net/)にて先行予約受付開始(限定枚数) 
3月9日(日)〜 チケットぴあ、ローソンチケット、e+[http://eplus.jp]にて販売開始 
[企画・制作]OVERHEAT MUSIC, INC. 
[お問い合わせ] 
OVERHEAT MUSIC, INC.(03-3406-8970) LIQUIDROOM(03-5464-0800) 
[ホームページ]www.overheat.com  

 音と音の間にある無音箇所から聞こえる、もうひとつの音の響き―。アフリカにあるそうした「音楽観」を示す単語、MUTE BEAT(ミュート・ビート)をバンド名とする伝説のダブ・バンドが、一夜限りのライブを行うことになった。1982年に結成され、10年足らずの活動で多大な影響を残すこととなったMUTE BEAT。のちに、さまざまなシーンで注目を集めるバンドの元メンバーたちが再結集する。
 悲哀と激情をトランペットで響かせるこだま和文と、そこにトロンボーンでレスポンスする増井朗人。太くタイトな音でリズムに凄みをきかせるベーシストの松永孝義。シンプリー・レッドのドラマーとしての活躍など、その実験性で世界に名を知られるドラマーの屋敷豪太。UAのプロデュースなどで音作りの才を見せてきたキーボードの朝本浩文。ステージ上の音の抜き差しでライブをコントロールするダブ・エンジニアの宮崎“DUB MASTER X”泉。
 メランコリックなホーンのメロディがベースと絡み合い、キーボードのカッティングと豪太が響かせるドラムのリズムとが共鳴、そして、エンジニアがライブ演奏の音を抜き差しすることで、ミュート・ビートをはらんだ音の厚みが生まれる。バンドのメンバーとしてダブ・エンジニアが在籍し、プレイヤーとエンジニアの対等な関係を提示した日本初のダブ・バンドとして、のちのドライ&ヘビーらに与えた影響は計り知れない。そして、鈴木清順の映画『ピストル・オペラ』のサントラ制作にこだまが起用されるなど、その哀愁を含ませたメロディとレゲエのリズムとの独特な融合も高い評価を受けている。
 今回の一夜限りのライブは、1983年に5000部の発行でスタートして以来、レゲエやヒップホップなどを紹介してきたフリー・マガジン『リディム』の創刊25周年/300号を記念するイベントとして行われる。MUTE BEATが在籍したレーベル、オーバー・ヒートが発行する『リディム』のイベントだからこそ、このライブが実現する。長いキャリアを経て、ますます表現に厚みを持たせる6人のダブ・セッションを見逃すわけにはいかない。  

文=中島良平




2008年02月

デビュー10年目を超えて、エリカ・バドゥ新たなる挑戦。


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ニュー・アメリカ パート・ワン(第4次世界大戦)/エリカ・バドゥ
ユニバーサル・インターナショナル/UICT-1038
¥2,200(税込)3月5日発売

 1997年のデビューアルバム『バドゥイズム』から独自の世界観を発信し続け、グラミー賞R&B部門では常連のエリカ・バドゥ。彼女が『ワールドワイド・アンダーグラウンド』以来、約4年振りとなる待望の4thアルバム『ニュー・アメリカ パート・ワン(第4次世界大戦)』をリリースする。
 一度聞いたら忘れられない大地に根付いた歌声。何かに導かれるようにして音楽に取り組む彼女のパフォーマンスは常に大きな感動を与えてくれる。今回のアルバムでは今まで以上にヒップホップのビートに注目したことで、新しい大地を目指し、歩き始めた印象が強い。
 彼女を新しい大陸へ導いたのがプロデューサーのナインス・ワンダー。デスティニーズ・チャイルドのヒット・シングル「ガール」、ジェイ・Z、メアリー・J.ブライジ、デ・ラ・ソウルを手がけ、現在ヒップホップ・シーンで絶大な支持を得ている彼に対して、エリカ自身も「ナインス・ワンダーはドラムとベースに魔法をかけて極上のビートに仕上げてくれるの」と厚い信頼を寄せている。彼がアルバム制作に参加することで、これまでにない新たな彼女の魅力が浮き彫りになったことは間違いない。その他、マッドリブ、サーラー・クリエイティヴ・パートナーズ、そしてロイ・エアーズなどそうそうたるメンバーが脇を固めている。
 1stシングル「ハニー」についてエリカは「とにかく楽しくて気持ち良い曲。この曲は私が追いかけている相手について歌っているわ。あまりにスウィートで、手に入れるには一生懸命に追い掛けないといけない相手について歌っているのよ」と語る。その言葉すら、恋愛だけに留まらず、なにか大きなエネルギ—に向けて発せられているかのようだ。近年ではその存在感を音楽だけに留まらず、映画のスクリーンにも活躍の場を広げている彼女。エリカ・バドゥの新しい10年が始まろうとしている。  

文=代田橋郁子




2008年02月

BEGIN。石垣島の風を、日本中に届けた記録。


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BEGINアコースティックコンサート2007
らいぶ いず 往来(オーライ)/ BEGIN
インペリアル・レコード/TEBI-48065~6
¥4,800(税込)2月27日発売   

 「僕たちに、来てほしいって言ってくれる所に行ってライブをしたかったんだ」  2007年の夏から年末にかけて、BEGINの3人はアコースティックコンサートを行った。全国各地、どんなに小さな会場も、小さな町も、公民館や、体育館のような場所にも足を運んで3人だけで舞台に立つ。それは”音楽と人”の絆を一層強く結び付けるような日々であり、BEGINの心にも多くの思い出ができていった…。そして、そんなツアーの集大成ともいえる新宿コマ劇場でのファイナルコンサートを収録した2枚組DVDが発売となる。
 普段ならば、演歌の大御所が座長公演などを繰り広げている新宿コマ劇場のステージ。しかし、ライブではいつもの3人だけ。がらーんと広いステージの上で「美空ひばりさんと同じステージなんて…」と緊張を隠しきれない3人のMCも含め、演奏は完全収録。「涙そうそう」「恋しくて」「オジー自慢のオリオンビール」などの大ヒットナンバーも、”メンバー3人だけ”だからこそ作り上げられるあたたかな世界がある。何度も日本中の色んな場所で歌ったからこそ、一層磨き上げられ、輝きが増しているようだ。1曲1曲、広いホールに響く音の中に、彼らの想いがしみこんでゆく。そして、3人の先導でスタートする、老若男女ホール全体を巻き込むカチャーシー(沖縄の踊り)は圧巻。DVDを見ているあなたも踊りだしたくなる事必死!しかも、踊り方のレクチャーもしっかり入っています!ゆったりとした3人のおしゃべりと、他のバンドでは絶対に体験できないBEGINならではの最高のパフォーマンスがたっぷり詰まったDVDとなった。
 さらに2枚目は「公式海賊盤」と題され、スタッフが各地のステージの雰囲気や旅の模様などを記録した<公式>な海賊盤。約1時間にわたってBEGINのメンバーの素顔やトーク、旅ならでは!石垣島出身の3人ならでは!の一コマも垣間見れる「ファンキー」な内容となっている。  音楽が、人に与えてくれる物を存分に表現したライブを余す所なく見せてくれる作品に仕上がっている。  

文=代田橋郁子




2008年02月

『シャイン・ア・ライト』ワールド・プレミア記者会見


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 2月7日にベルリン映画祭のオープニング作品としてワールド・プレミアされたマーティン・スコセッシ監督によるザ・ローリング・ストーンズについてのドキュメンタリー映画『シャイン・ア・ライト』。出演だけでなくプロデュースも手がけたメンバーも出席し記者会見が行われた。冒頭、「僕たちは今日ここに来られたことをとても嬉しく思います。これは『シャイン・ア・ライト』の初上映、ワールド・プレミアです。このようなコンサート・ドキュメンタリーがこの映画祭のオープニングを飾るのは初めてのこと。我々の映画がそれに選ばれたのは大きな名誉。僕等全員は、マーティンとのこのプロジェクトをとても楽しみました」というミック・ジャガーの挨拶により会見はスタートした。 
 
――どのようにしてこのプロジェクトが始まったのですか? 
「この作品は、まず僕等がリオ・デ・ジャネイロのビーチで行われるコンサートを撮影して欲しいと(スコセッシに)頼んだことが発端だった。あの巨大なイベントをマーティンが撮影してくれたら、どんなに素晴しいだろうと思ってね。もちろんIMAXだよ!しかも3Dさ!それで僕とマーティンは話し合いをもったんだけど、彼はあまり興味を示さなかった。それはそれでよかった。でも、代わりにマーティンはもっと小規模で深いものをやりたいと提案してきた、そこでビーコン・シアターのライブの話が始まったんだ。(映画の)冒頭のセットリストに関するシーンなんかは、軽快で愉快で僕等が望んでいた通りの雰囲気になった。」(ミック・ジャガー) 
 
――何台のカメラを投入しても、どれだけ上手く撮影しても、やはり生のライブにはかないません。この作品は、映画という媒体の限界を露呈していると思いますか。 
「確かにそうかもしれない。もちろんライブコンサートをそのまま伝えることは不可能だ。でも、それにかぎりなく近いイメージをつくり、ディティールを伝え、うまくカットすれば、カメラの動きや編集の仕方によって“ポエトリー・イン・モーション”が出来ると思ったんだ。フレームの中の動きでライブパフォーマンスに迫れると思ったんだよ。こういう映画の編集には活気を与えられるね。編集作業は、まるで振り付けのようだった」 (マーティン・スコセッシ)
「これはライブコンサートの映像じゃなくて、映画なんだ。まったく別ものなんだよ。あの一夜をそっくり捉えたもの。まるで、琥珀のようにね。映画のいいところは、ステージ上のメンバーのディテールが見られることだと思う。それは、ステージにいる僕らは見えないことだから」(ミック・ジャガー) 
 
――17台ものカメラがあったことは、演奏にどのように影響したと思いますか? 
「マーティンは、凄腕のカメラマンたちばかりを連れてきたから、カメラがたくさんあっても気づきもしなかった。そこが僕にとっては大切なことだた。僕等は、一端ステージに上がったら、ショーをこなすまでだ。撮影していることを意識したら、ショーが変わってしまう。それじゃショーを捉えることにはならない。マーティンはうまくやってくれたよ。見事にビーコン・シアターでのライブを映像として記録するだけでなく、美しい映画に仕上がったと僕は思うね。」(キース・リチャーズ)
 
――多くのスコセッシ映画に、ローリング・ストーンズの音楽が度々使用されていますが、彼らの音楽のどこに惹かれるのでしょうか。 
「60年代を通過した僕にとって音楽は人生の一部なんだ。もっともストーンズのタイブは70年代の初頭まで観たことはなかったんだけどね。それまでは、音楽を頭の中で体験していた。実際のショーは、もっとスピード感があったね。彼らの音楽は強力でパワフルな・クリエイティブ・イメージだった。サウンド、コード、ボーカル、そして全体の雰囲気は常に僕のインスピレーション源なんだ。『ミーン・ストリート』から『レイジングブル』、『カジノ』、『ディパーテッド』に至るまでね。彼らの音楽はタイムレスなものだと思う」(マーティン・スコセッシ)
「(スコセッシが)僕等の音楽を使ってくれることによって、絆が生まれてきたのだと思う」(キース・リチャーズ) 
「付け加えていうと『シャイン・ア・ライト』は、唯一「Gimme Shelter」が入っていないスコセッシ映画だね」(ミック・ジャガー) 
 
――『シャイン・ア・ライト』というタイトルを付けた理由は? 
「もちろん『シャイン・ア・ライト』は、僕が好きな曲のタイトルでもあるけど、ビーコン・シアターから思いついたんだ。ビーコン・シアターがたった一夜だけニューヨークを照らすというワケだ」(マーティン・スコセッシ)。 
 
――ホライト・ストライプスのジャック・ホワイトやクリスティーナ・アギレラなど若手のミュージシャンと同じステージに立って自分たちの音楽を演奏し感想は? 
「ああいったすごい人たちと一緒にプレイして、自分たちとは違った解釈を聴けるのは興味深いよね」(ミック・ジャガー) 
 
 

文=立田敦子




2008年02月

超強力タッグ再び!! ボサ・ノヴァ誕生50周年にセルジオがまた進化する!


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セルジオ・メンデス『モーニング・イン・リオ』
ユニバーサル・クラシック&ジャズ 
UCCO-9160 ¥2,200(税込)2月27日発売   

 「マシュケナーダ」「おいしい水」「三月の雨」等、数多くのヒット曲を持ち、40年以上にわたりブラジル音楽のトップに君臨するスーパースター、セルジオ・メンデス。彼が再び売れっ子プロデューサー、ブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムと再びタッグを組んだアルバム『モーニング・イン・リオ』がリリースされる。
 世界中でヒットしたセルジオとウィルの共同プロデュースアルバム『タイムレス』同様、 今作もブラジル音楽とヒップホップ/R&Bが融合した刺激的なサウンドが実現している。
 「セルジオとコラボレーションできて、本当に嬉しかったよ。僕こそが、セルジオの世界で一番のファンだ!」とウィル・アイ・アムが語るように、今作でもセルジオ・メンデスとボサ・ノヴァへのリスペクトを全面に出し、ジャンルを超えて世界各国からゲストを迎え、豪華に仕上げている。
 リード曲は、ウィルのプロデュース+ファーギーのヴォーカルというブラック・アイド・ピーズコンビによる「ルック・オブ・ラヴ」! これはバート・バカラックの曲を1967年にセルジオ・メンデス&ブラジル’66がカバーして大ヒットさせたもをウィルが斬新に甦らせた力作だ。その他、ナタリー・コール、カルリーニョス・ブラウンなどの世界の名アーティスト達が名を連ね、日本からは、DREAMS COME TRUEが参加。ポルトガル語コーラスとのコール&レスポンスで、寄せては返す波のような吉田美和の日本が印象的な「ルガール・コムン」。日本盤だけでしか聞けないスペシャルなコラボが実現している。
 2008年は、ボサ・ノバが誕生してちょうど50年。21世紀の今だからこそ、音の持つ美しさや、決して色あせない世界観を、新しい視点から味わうことができるかもしれない。  

文=代田橋郁子




2008年02月

計40曲2時間 バート・バカラックの真髄を伝えた来日公演


バート・バカラック
【演奏曲目】 
2008年2月16日 東京国際フォーラム ホールA  
オープニング
1.What The World Needs Now is love  
メドレー1(1963〜68年頃のヒット曲)
2.Don't Make Me Over 3.Walk On By 4.This Guy's ln Love With you 5.I Say A Little Prayer 6.Trains and Boats and Planes 7.Wishin’& Hopin’ 8.(There's)Always Something There To Remind Me
メドレー2(1962〜72年頃のヒット曲)
9.One Less Bell To Answer 10.I'll Never Fall In Love Again 11.Only Love Can Break A Heart 12.Do You Know The Way To San Jose
フルコーラス
13.Anyone Who Had A Heart 14.Heart Light 15.God Give Me Strength
ビギニングメドレー(作家デビュー当時の曲)
16.Magic Moments 17.Story of My Life 18.The Blob 19.Tower Of Strength
フルコーラス(最新の曲を中心に)
20.Go Ask Shakespeare 21.ln Our Time 22.(They Long To Be)Close To You 23.For The Children
featuringトレンチャ
24.Falling Out of Love 25.Who'll Speak For Love
映画音楽メドレー
26.The Look of Love 27.Arthur's Theme 28.What's New Pussy Cat 29.The World ls A Circle 30.April fools 31.Rain Drops Keep Fallin On My Head 32.The Man Who Shot Liberty Velance 33.Making Love 34.Wives&Lovers 35.Alfie 36.A House ls Not A Home
フルコーラス
37.That's What Friends Are For
アンコール
38.Any Day Now 39.What The World Needs Now is love 40.Rain Drops Keep Fallin On My Head  

 会場総立ち、オール・スタンディング・オベーションでの長い長い拍手が、この夜、バート・バカラックとともにひとときを過ごせたことへの聴衆の満足感、幸福感を雄弁に物語っていた。いや、もしかすると、このリヴィング・レジェンドへの畏敬の念や感謝の気持ちを、拍手でしか表現できないことにもどかしさを感じていた人たちも多かったのではないだろうか。
 メドレー中心の計40曲およそ2時間の長丁場を、今年5月で80歳を迎えるバカラックは、終始ピアノに向かい、フルオーケストラを指揮し、ときに弾き語りも行いながら、休憩なしに一気に駆け抜けた。全身を使ってエネルギッシュにバンドをスイングさせるその姿は、若々しく雄雄しくスタイリッシュだった。
 フルオーケストラという編成が光彩を放ちはじめたのは、前半のヒット・メドレーのあと、新作『アット・ディス・タイム』からのレパートリーを披露しはじめたときからだった。もしかして今回の編成はこれらの新曲のためではなかったかと思わせるぐらい、オーケストレーションと曲想がぴたりとマッチしていた。何よりも感動させられたのは、この新曲が今の時代の空気を見事に反映していたことであり、バート・バカラックという音楽家の本質がつねに「今」を表現することにあったことを改めて思い知らされたことだ。だからこそ、これほどのヒット曲の山を築くことができたのだ、と。
 「遥かなる影」をはさんで最新曲を披露した後、バカラックの秘蔵っ子といわれ、この2月にブルーノート・レーベルから新作をリリースしたばかりのオランダの歌姫、トレンチャが登場。ハートウォームなヴォイスと説得力ある歌唱で、会場を盛り上げた。
 この中盤が今夜のハイライトかと思わせたが、そうではなかった。この後、バカラックが手がけた映画音楽によるヒット・メドレーが展開されるが、映画音楽の書法をもとにした曲想とクラシカルなフルオーケストラとの相性はこのうえなくよく、R&Bを基調とした曲の多かった前半は、アメリカから連れてきたバカラック・バンドのファンキーなノリと東京ニューシティ管弦楽団とのコラボレーションにややぎこちなさや不安も感じたが、この映画音楽メドレーでは両者の持ち味が見事にブレンドされて、バカラック・ミュージックの真髄を伝える最高のパフォーマンスとなった。このクライマックスにいたって、この夜のプログラムが、冒頭のメドレーからラストにいたるまで計算し尽くされ、考え抜かれたものであったことを思い知らされることになったのである。グラミー賞7度受賞の稀代の音楽家の底力にただただ脱帽させられた瞬間だった。
 カタルシスを味わった後、アンコールの「エニィデイ・ナウ」を聴きながら、またいつの日か、このリヴィング・レジェンドとの再会のときが来ることを願わざるを得なかった人は決して少なくはなかったに違いない。
今回のツアーも残すところあと1日、22日の大阪フェスティバルホールでの公演のみとなった。
問い合わせ先はキョードーチケットセンター(TEL 06-6233-8888)
イープラス http://sp.eplus.jp/burt/index.html  

文=編集部




2008年02月

ローリング・ストーンズ×巨匠スコセッシ ベルリン映画祭記者会見


ローリング・ストーンズ

 巨匠マーティン・スコセッシがカリスマ的ロック・バンド、ザ・ローリング・ストーンのライブを撮るという話題作『シャイン・ア・ライト』が、2月7日にベルリン映画祭のオープニング作品としてワールドプレミアされた。監督のスコセッシ他ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロニー・ウッド、チャーリー・ワッツのメンバーも揃って来場。そのため、通常の映画祭に集まる数倍のジャーナリストが詰めかけ、平均年齢が60歳を越えるスーパー・ロック・バンドの人気ぶりを伺わせた。
『シャイン・ア・ライト』は、06年に秋にNYのザ・ビーコン・シアターで行われたストーンズのライブの記録映像を中心にしたノン・フィクション映画である。
 「彼らの音楽には常にインスパイアされてきた。『ミーン・ストリート』から『ディパーティッド』にいたるまで僕のほとんどの作品の土台となっている。いつかは彼らを撮影してやるぞとずっと思っていた。40年かかかるとは思っていなかったけどね(笑)」というスコセッシ。 熱狂的なファンである彼にミックが、06年に行われたア・ビガー・バンド・ツアーの一貫であるリオ・デ・ジャネイロのビーチでのコンサートを撮影して欲しいと依頼したことがこの企画の起点である。ストーンズのライブを撮るというアイデアに惹かれたものの、「もっとこじんまりした会場で深いものを撮りたい」と要望したスコセッシに対しメンバー側は、NYの美しい伝説的な劇場ザ・ビーコン・シアターでのライブを急遽追加。今回の撮影の舞台が整えられた。
 当日は、冒頭ビル・クリントン元米国大統領が登場しイントロデユースを担当、またジャック・ホワイト、バディ・ガイ、クリスティーナ・アギレラなどのアーティストがゲスト出演。まさに、夢の一夜が実現した。
 スコセッシは、失敗が許されないこの日ののために、全員アカデミー賞受賞者あるいはノミネート者という8人名撮影監督を集め、ドリーム・チームを結成。17台のカメラでライブのリアルな息吹を捉えることに成功している。
 映画は、このライブ映像だけでなく、準備段階やインタビュー(日本の驚きのTVインタビュー映像も!)などの過去のフッテージなどを構成している。 「これは、ドキュメンタリー映画じゃない。パフォーマンスを素材とした作品なんだ。もちろん、ライブコンサートをそのまま伝えることは不可能だ。でもそれに限りなく近いイメージを作り、ディティールを伝えることで“ポエトリー・イン・モーション”を伝えることができると思ったんだ。フレームの中の動きでステージのライブパフォーマンスに迫れると思ったんだよ」
 被写体としてだけでなく、プロデューサーでもあるミックも、「これはふつうのライブ映像じゃなくて映画だ。まったく別ものなんだよ。あの夜が、琥珀のようにフィルムの中に封じ込められているんだ」と巨匠とのコラボレーションの成功に満足げだった。  

文=立田敦子




2008年02月

直前情報! バート・バカラック来日公演がいよいよスタート


バート・バカラック

【バート・バカラック来日公演】
【出演】
[指揮・ピアノ・ヴォーカル]バート・バカラック
[オーケストラ]東京ニューシティ管弦楽団/ザ・バート・バカラック・バンド
[シンガー]ドナ・テイラー/ジョン・パガーノ/ジョシー・ジェームス

【日程】
2月16日(土)、17日(日)東京国際フォーラム ホールA
20日(水)グリーンホール相模大野(神奈川県)
22日(金)フェスティバルホール(大阪府)
S席¥12,000 A席¥10,000
【問い合わせ】
2月16、17日公演 ディスクガレージ TEL 03-5436-9600
2月 20日公演 チケットMove TEL 042-742-9999
2月22日公演 キョードーチケットセンター TEL 06-6233-8888

イープラス
http://sp.eplus.jp/burt/index.html  

 2月10日、第50回グラミー賞が発表されたが、その前日の9日、功労賞としてバート・バカラック、ザ・バンド、ドリス・デイ、キャブ・キャロウェイをはじめ、クラシックのバイオリニスト、イツァーク・パールマン、ジャズのドラマー、マックス・ローチ、ブルーグラスのバンジョー奏者、アール・スクラッグスが表彰された。そして、2006年の新作『アット・ディス・タイム』での授賞に続いて通算7度目のグラミー授賞の栄誉に輝いたバート・バカラックが、受賞直後のこの16日(土)から11年ぶり4度目の来日公演を行う。特筆すべきは、今回はバカラックのかねてからの要望がかない、フルオーケストラによるコンサートが初めて実現したことだ。これまでの来日公演でも最小限の管弦楽は入れていたが、バカラック特有の繊細で緻密なハーモニーがフル・ストリングスで聴ける機会は、もうこれで最初で最後かもしれない。

 『アット・ディス・タイム』では現アメリカ政権への批判を表明するなど、これまでラブ・ソングばかりを手がけてきたバカラックが新しい境地を示したものとして話題を集めたが、今回の来日公演のプログラムはこの新作と従来のレパートリーを交えたものになるという。この来日公演を前に、バカラックは次のように語ってくれた。

「もちろん、昔の曲もたくさんやります。『雨にぬれても』『アルフィー』……それに(最新作『アット・ディス・タイム』からの)新曲を加えていきます。それが今の私にとっていちばん大事なことですから。私は生涯ラブソングを書いてきて、それはそれでとても幸せなことだと思います。でも、人はつねに成長しなければダメだと思うのです。それには変化も伴うし、リスクをおかす必要もあります。ただ、以前、ローリングストーンズのコンサートを見に行きましたら、新曲の演奏が始まると、人々はトイレに向かって歩き出したんです。そのときの教訓として、(その直後の私のコンサートでは)新曲は3曲しかやらないと決めました。なぜならお客さんは『雨にぬれても』を聴きにきているのですから。求められているなら、やらなければいけないでしょう」

「私はいつも日本に行くのを楽しみにしています。ツアーのために行くことも、みなさんのために演奏することも。日本に行くと、ファンが、私自身でさえ忘れていた曲のことを思い出させてくれます。ワンダフルですね。おそらく日本のみなさんは、この私以上に、私の音楽を知っていてくださるのではないでしょうか。とても熱心なファンがいつも会いに来てくれます。長年、ずっと忠実に私のことを見守ってきてくれたことに、ほんとうに感謝しています。(今回も)できるだけたくさんの方々にお会いしたいです」

今年の5月には80歳の誕生日を迎えるバート・バカラック。コンサート直前の15日夜にはテレビ出演し、弾き語りを披露する予定もあるという(TBS『NEWS23金曜深夜便』23時30分より関東地区のみの放送。ニュース番組のため突然の変更もあり)。20世紀ポピュラー音楽のリヴィング・レジェンドの元気な姿に会えるこの貴重な機会を大切にしたい。  

文=編集部




2008年02月

時代をリードし続けるジャズ・ピアニスト、チック・コリア・インタヴュー(VOL.2)


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 『ファイヴ・トリオBOX』の構想を現実化させるためにチックが計画したのは、年が明けた2007年4月のホーム・スタジオ・レコーディングだった。 「ロスから10年くらい前にフロリダ州のクリアウォーターという街に引っ越した。都会から離れて、静かな生活がしたくなったんだ。わたしは年がら年中ツアーしているから、ゲイル(チック夫人)の住みたい土地を最優先にした。タンパから車で15分くらいの郊外にある家を選んだのは、だから彼女だ。わたしのリクエストは広い居間がある家、それだけだった。そこで、ゲイルが不動産屋とあちこちを回ってその家を見つけた」 
「広い居間」は、チックがそこをホーム・スタジオにするつもりだったからだ。 
「ほとんど手をかけず、そのまま機材を設置してスタジオにすることができた。ロスにいたときはマッド・ハッター・スタジオを持っていたんで、今度のスタジオはマッド・ハッター・イーストと呼ぶことにした」 
 このマッド・ハッター・イーストで立て続けにレコーディングされたのが、ファイヴ・トリオ・シリーズの第一弾として登場した『ドクター・ジョー〜ジョー・ヘンダーソンに捧ぐ』と、このボックス・セットのみに収録された『ブルックリン、パリ・トゥ・クリアウォーター』だ。 
『ドクター・ジョー〜ジョー・ヘンダーソンに捧ぐ』には、エレクトリック・バンドやアコースティック・バンドで名手振りを発揮したベーシストのジョン・パティトゥッチと、パット・メセニー・グループで脚光を浴びているアントニオ・サンチェスが選ばた。 
「この3人が顔を合わせたのもこのときが初めてだった。でも、最初から息もぴったりで、長年レギュラーで活動していたような錯覚を覚えた。自宅のスタジオでレコーディングしたのもよかった。時間に追われることがないし、合間に食事をしたり雑談をしたりしながら、和気藹々の雰囲気で録音することができたからね」  このレコーディングが4月13日と14日に行なわれ、次いでアドリアン・ヘラウドとリッチー・バーシュレイを呼び寄せ、17日と18日にテープが回される。 「ふたりとはこのとき初めて演奏した。ベースのアドリアンは、ジョン・マクラフリンが推薦してくれたんだ。彼が参加したジョンのCDを聴いて、これならいけると直感した。ドラムスのリッチーはわたしと同じボストン出身で、ハービー・ハンコックのバンドで演奏していたのを聴いたことがある」 
 上々の結果となったことは、彼らの演奏を収録した『ブルックリン、パリ・トゥ・クリアウォーター』と題された5枚目のCDを聴けば明らかだ。 
「わたしは、いつも若いミュージシャンとセッションすることで自分を触発させてきた。今回も、かつてスタンリー・クラークやジョン・パティトッゥチやデイヴ・ウェックルのプレイを聴いたときと似た感覚を覚えた。今後、このふたりと演奏するかどうかはわからないが、彼らにとってもわたしにとってもいい体験になったことは間違いない」 
 超の字がつくヴェテラン・ピアニストになったチックだが、いまも若いミュージシャンとセッションを繰り返すことで自身の音楽性の発展もおろそかにしていない。その成果とヴェテランとしてのキャリアの両方を伝えているのが『ファイヴ・トリオBOX』ではないだろうか。  

文=小川隆夫




2008年02月

仏像? 遺跡? 裸の石井竜也を感じられる達磨の展覧会


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「顔魂〜KAODAMA〜」 
石井竜也展覧会/TATUYA ISHII EXHIBITION 2008 
 
会期:開催中〜2/17(日) 
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52F) 
開館時間:10:00〜20:00、金曜〜22:00(入館は閉館30分前まで) 会期中無休
入館料:一般1500円
お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
HP http://www.t-stone.com/  

 アーティスト・石井竜也の活動は、ミュージシャン、映画監督、プロデューサーなど、まさに多岐に渡っている。そんな彼が渾身の力で作り上げた、“顔魂”の展覧会が、1月30日〜2月17日までの約20日間、森アーツセンターギャラリーで開催される。“顔魂”とは、絵つけ前の達磨に粘土を重ね、塗装を施した、石井独自の立体作品。この“顔魂”に込められた、石井の熱い思いを聞いた。 
「きっかけは、9.11同時多発テロのボランティア活動で、エクトル・シエラというアーティストから絵つけ前の白い達磨をもらったことなんです。この達磨にサインをして欲しいと。でもそれだけじゃつまらないからって、余っていた粘土をボコボコくっつけて、塗装してみたんです。そしたらこれがおもしろかった! それ以来、ここ3年間とりつかれたように作っています。ちなみに、すべての作品に名前はつけていません。というのも、作品は人の目に触れたら、僕のモノではないんですよね。だからご覧になった方が、勝手に"ヨッチャン"とかつけてくれればいいかなと(笑)。ただ『太陽』だけには名前をつけました。これは薬師寺に奉納させていただいたんですが、人類が抱える問題、地球温暖化について考えた時、太陽にはこのまま優しい顔で見守っていただきたいなと。そんな思いが、この『太陽』には込められているんです。 
 なんかね、“顔魂”に関しては、自分が作っているというよりも、達磨に作らされているような気がするんですよ。これは芸術? 遺跡? はたまた信仰や宗教のような…。普段、歌の世界なんかにいると、いろいろ取り繕うことが多くて、自分の内面性まで隠していることが多いんです。でもモノを作るっていうのは、自分が裸にならないと出来ない。だからこの展覧会も、自分の作品を見せるって感覚よりも、自分の恥ずかしい内面を全部並べているような…。今は、非常に気恥ずかしいというか、なんとも言えない不思議な気持ちでいっぱいです」 
 石井の手により、新たな息吹を吹き込まれた達磨。それは、石井自らの内面が色濃く投影されたもの。これまでのアーティスト・石井竜也にはない裸の石井竜也が、そして見たこともないアートが、ここにはある。  

文=野上瑠美子




2008年02月

ジェイク・シマブクロがウクレレで奏でる日本の心。待望のCD化、そして、伝説のライブ、再演も決定!!


news_jake.jpg 一期一会 -ICHIGOICHIE THE MUSIC-
ジェイク・シマブクロ
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
EICP936 ¥2,948(税込)2/20発売

ジェイク・シマブクロ 一期一会 コンサート・ツアー 2008
2月23日(土)東京 オーチャードホール他
INFO http://www.jakeshimabukuro.net/  

 ある時は超絶早弾きウクレレ奏者、またある時は、ハワイ州観光局のイメージキャラクター、そして大ヒット映画『フラ・ガール』のサウンドトラックを手がけるなど、何かと日本とハワイの架け橋となって活躍しているジェイク・シマブクロ。彼のそんな”架け橋”としての役割がはっきりと現れたのが、昨年9月に行われたコンサート「一期一会」だった。
 チケット発売と同時にソールドアウトとなり、一夜限りの超プレミア公演となったジェイク・シマブクロの「一期一会コンサート」。これは日本人の血を引き、ハワイで生まれたウクレレ・アーティスト、ジェイク・シマブクロが日本の楽曲だけを自分自身のアレンジによって演奏する、という異色のコンサート。「さぼてんの花」(チューリップ)、「秋桜」(山口百恵)、「見上げてごらん夜の星を」(坂本九)「ロビンソン」(スピッツ)「雪の華」(中島美嘉)…など、童謡、歌謡曲、フォーク、ニューミュージックなどのジャンルにとらわれず選んだ日本の名曲たちが演奏された。彼自身も「人生で一番緊張した」というほど自分の魂を吹き込んで一曲一曲演奏する姿は、彼の日本への愛情や想いがしっかりと込められていて、来場者の心を熱く温かくさせたのだった。
 そんなコンサートの興奮も醒めやらぬなか、コンサートと同じ「一期一会」というタイトルを冠した全曲日本楽曲のカバー集のリリース、そして、再演を熱望されていた「一期一会コンサート」が全国ツアーとなって帰ってくることが決定した。
 指先が見えないほどのウクレレの超絶早弾きの技術だけでなく、音楽を奏でる”心”も年を重ねる毎に成長させているジェイク・シマブクロ。心を振るわせる彼の演奏は必見だ。  

文=代田橋郁子




2008年02月

時代をリードし続けるジャズ・ピアニスト、チック・コリア・インタヴュー(VOL.1)


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 チック・コリアが5種類のピアノ・トリオによる最新レコーディングをボックス・セットにまとめた。題して『ファイヴ・トリオBOX』は、すでに9月から日本でのみリリースが始まった4枚のトリオ作品に、もうひとつのトリオ・アルバム、それにそれぞれのレコーディングで残された未発表演奏集を1枚加えた6枚組のセットである。
「ファイヴ・トリオの構想は偶然のことから生まれた。最初はアルバム化する考えはなかった。たまたま2006年の1月にニューヨークで開催されたIAJE(インターナショナル・アソシエーション・フォー・ジャズ・エデュケーション)での演奏を、いつものように記録として録音したのが発端だった」
 ここしばらく、チック・コリアは専属エンジニアのバーニー・カーシュに、これはというライヴのときは録音をさせている。このときは、エディ・ゴメスとジャック・デジョネットのスペシャル・トリオだった。それもあって、ロスからカーシュを呼び寄せたのである。
「これが、思いのほか内容がよかった。そこで、アルバムにして発表しようかということになった。そのときの演奏を収めているのが『マイルストーンズ〜マイルス・デイヴィスに捧ぐ』だ」
 これは日本でのみの先行発売である。チックのマネージャー、ビル・ルーニーは別のことを考えていた。
「ビルは、ほかにもトリオで録音したテープがあったことを思い出したんだ。どうせなら、それも一緒に出したいってね」
 ルーニーの胸をよぎったのは、2005年8月にワシントンのチリンで実況録音したクリスチャン・マクブライドとジェフ・バラードのトリオによる演奏だった。
「チリンのワインセラーで演奏したものだった。星空の下で、そのときのわたしたちはセロニアス・モンクの曲なんかを演奏した。3人が一堂に会したのはこれが初めてだった。それで、これもバーニーに頼んで録音しておいたんだ」
 『モンクス・ムード〜セロニアス・モンクに捧ぐ』として発売されたのがこのときの演奏である。
「ニューヨークでのライヴから3〜4ヵ月が過ぎたころに、生まれ故郷のボストンにあるバークリー音楽大学に招待されて行なった演奏が3っ目のものになった。再びエディを呼び寄せ、このときはタッチ・ストーンで一緒にツアーしていたアイアート・モレイラがドラマーとして加わってくれた。これもいい演奏になる予感がしたんで、テープを回すことにした」
 ボックス・セットのプロジェクトが現実味を帯びてきたのは、このライヴ演奏(『ワルツ・フォー・デビー〜ビル・エヴァンスに捧ぐ』として発表)が予想を超えて素晴らしい内容になったからだ。しかし、ストック・テープはこれで底をついた。そこでチックはニュー・レコーディングを企画する。(続く)  

文=小川隆夫




2008年02月

ジミー・ペイジ記者会見 保科好宏


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 世界中のロック・ファンが注目した、昨年12月10日の一夜限りのリユニオン・コンサートから50日。レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジが緊急来日し、あの日以来、全世界初の公式記者会見をパーク・ハイアット東京、ボールルームで行なった。 
 昨年11月にリリースされたリマスター・ベストと6曲のCD初収録曲を含む傑作ライヴ『永遠の詩』が、オリコン・チャートで2枚同時にベスト10入りという14年ぶりの快挙を成し遂げた直後とあって、会場に集まったメディア関係者は約200人。英国では昼用の正式礼服として知られるフロックコートに身を包んだジミー・ペイジが颯爽とステージに登場した瞬間に始まった総勢50名のカメラマンによるフォト・セッションに続き、約45分間の質疑応答が行なわれた。 
 ロンドンでコンサートを観た際にも、90年代に比べかなり身体が絞れていたことは遠目からでも分かったが、目の前のジミー・ペイジはまるで70年代のような予想以上にスリムな体型に戻っていたことに、まずは誰もが驚いたはず。しかもそれだけでなく終始上機嫌で笑顔を絶やさず、実に健康そうに見えたことに現在の好調さと今回の再結成に賭けた並々ならぬ想いが伝わってきた。 
 そんな今回の記者会見で興味深かったのは、最初に“アーメット・アーティガン・トリビュート・コンサート”の誘いを受けた際、ロイヤル・アルバート・ホール(約6千人収容の会場)2日間で、50分の演奏時間というオファーだったことと、メンバーでミーティングをする内に、やるからには充分にリハーサル時間を設け、もっと長時間のステージを務める本格的なライヴをやりたいという願望が出てきたという話だった。
 そしてジョン・ボーナムの息子、ジェイソンを加えた4人で約20年ぶりにリハーサルで音を出した際、最初から特別な手応えを感じたというエピソードや、コンサートはとても楽しく満足いくものになり、充実感を感じたというポジティヴな感想だった。 
 そうなればファンにとって唯一最大の関心事は、日本公演を含むワールド・ツアーはいつから始まるのかということ。これに関しては、今年の9月までロバート・プラントの仕事のスケジュールが入っているため、すぐにはやれないとの答えで、本格的な再結成ワールド・ツアーの噂を否定も肯定もしなかった。と言うよりもこの件に関するジミー・ペイジの発言の端々に、ワールド・ツアーをやりたいという強い想いが感じられたことで、恐らく今年の秋以降に必ずツアーを行なうに違いないという確信に似た思いは、この会場にいたほとんどの関係者が抱いたに違いない。 
 今回の緊急来日記者会見で期待されたワールド・ツアーの発表が無かったのは残念ではあったが、少なくともジミー・ペイジがレッド・ツェッペリンとしてのツアーに意欲的なことが分かっただけでも、全世界のロック・ファンには何よりのビッグ・ニュースに違いない。  

文=保科好宏


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