東京全公演ソールドアウト!4年半ぶりとなる来日公演を終えたレディオヘッド

【RADIOHEAD DISCOGRAPHY】

「イン・レインボウズ/フロム・ザ・ベースメント」
(スペシャル・エディション)
※TSUTAYA限定盤[CD+DVD]
Xurbia_Xendless/Hostess
XCXX-61001 ¥3,200(税込)
2008年10月1日発売

「ザ・ベスト・オブ」 (DVD)
EMIミュージック・ジャパン
TOBW-3361 ¥3,800(税込)
2008年5月28日発売

「ザ・ベスト・オブ」(2CDエディション)
EMIミュージック・ジャパン
TOCP-70521,70522 ¥3,200円(税込)
2008年5月28日発売

「イン・レインボウズ」
Xurbia_Xendless/Hostess
XCXX-60001 \2,490(税込)
2007年12月26日発売
〜 2008年10月4日(土)
さいたまスーパーアリーナ LIVE REPORT 〜
2回のアンコールでの8曲を含めて計25曲、2時間10分。アリーナ・コンサートらしい派手なショーアップも無ければ、いわゆるエンターテインメント性ともほとんど無縁の、純粋に音楽を演奏し聴かせることに徹しながら2万人以上を満足させることができるバンド。そんな奇跡のようなことが可能なのは、世界広しと言えどもこのレディオヘッドだけかもしれない。
今回は環境問題を考慮して思い付いたという、全てLED(発光ダイオード)による舞台照明は、ステージ上部から無数に垂れ下がる光の柱をメインに、それ 以外はスポットライトも使用しない最小限の舞台照明のみを用いての省エネ・セット。従来のライティングに比べると少し暗めではあるものの、曲によって色が変わる透明で内側から発光するような近未来的なLEDの光に浮かび上がるメンバーの姿は何とも幻想的だった。
この日の一曲目「15 Steps」は新作『イン・レインボウズ』のオープニング曲で、このアルバムからは全10曲を披露したが、同じツアーで毎日曲順がガラッと変わり、セットリストも最大で10曲ほど入れ替わるのは、ライティングも含めて全てがコンピュータと連動したプログラムで動く、近年のロック・コンサートでは極めて異例のことと言えるだろう。もちろん自分達が毎日フレッシュな気持ちでステージに立ちたいという思いもあるのだろうが、それだけ彼らはスポンテニアスなライヴの臨場感や緊張感を大切にしたライヴを心掛けており、毎日のライヴが真剣勝負という気持ちが強いからに違いない。実際、彼らの演奏から感じられる ピンと張り詰めた空気感は、襟を正したくなるほどストイックなヴァイヴを内包しており、時には聴き手のこちらが息苦しくなるほどのテンションを感じることすらある。
結局この日、傑作『OKコンピューター』からは「パラノイド・アンドロイド」を含む4曲を演奏してくれたものの、ファースト『パブロ・ハニー』からは 0(他の日は「ブロウ・アウト」等を演奏)、『ザ・ベンズ』から「ストリート・スピリット」を演奏したのみで初期の曲が少なかったのは少し残念だったが、各曲の濃密な演奏は充分に満足できるものだった。
それにしても今回のライヴを観て、改めてレディオヘッドというバンドは、極めて特異なバンドだという思いを強くした。というのも、これだけダークでアーティスティックな楽曲とサウンド・アプローチに徹した、音楽的には決して親しみ易い(ポップ)とは言えないバンドでありながら、日本でも長い間カリスマ的人気を保ち続けているからだ。その人気は今やオアシス以上と言っても過言ではなく、関東圏だけでさいたまスーパーアリーナ2日、東京フォーラム2日を完全ソールドアウトにするアーティスト・パワーは、とても一般向けとは言えない彼らの音楽性(近年、大きなシングル・ヒットがないという意味で)を考えると信じられない思いがする。
もし読者の中でレディオヘッドの音楽はあまり知らないし、これまで興味を持ったこともないという人がいたら、まずは『OKコンピューター』以前のまだストレートなギター・バンドだった時代のアルバムから聴き始めて欲しい。それから最新アルバム『イン・レインボウズ』まで順を追って聴いて行けば、自然も経済も人間も全てが病んで袋小路に入り込み、夢を抱きにくい現代だからこそ、レディオヘッドの音楽が世界中のロック・ファン(特に20代と30代)に愛されているのだということが理解できるはずだ。



