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2009.06.26UP

「バンクシー・サマー・ショー in BRISTOL BRISTOL MUSEUM VS BANKSY」第2回

banksy_museum_studio_2.jpg引き続き、英ブリストルでのバンクシー展のリポートをお届けします。
前回も書いたように、今回のショーはいわゆる普通の新作展ではなく、バンクシーにとって初めての回顧展。
「故郷に錦を飾る」じゃないけど、バンクシーがこの大規模な回顧展を、ロンドンではなく出身地のブリストルで開催したのは、地元への恩返しという意味合いもあったからに違いない。
何しろ8月末まで2ヶ月半という長期に亘る初めての本格的なバンクシー展開催で、この夏のブリストルは観光客の大幅増が見込めることから、地元では計り知れない経済効果があるからだ。
それにしてももし仮に5ポンド(800円)程度の入場料を取ったとしても誰も文句は言わなかっただろうに、入場無料で開放するとは実に太っ腹。

そう言えば初日のバイヤーズ・プレビューに来ていた有名人は、僕が知る限りイアン・ブラウンぐらいだったが、イギリスの友人によるとテレビ・ドラマで有名な俳優も来ていたそうで、日帰りした僕らは参加できなかったが、夜10時半からのパーティーも大いに盛り上がったとのことだった。
そして翌13日の一般公開初日の閉館後、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー夫妻が会場に現れ、
何点か新作キャンバスを買っていったというニュースも入ってきた。


そんな今回のバンクシー展で個人的に一番注目していたのが、ブリストル美術館一階左奥の部屋に
展示されたそのキャンバス作品群。但し期待していたほど新作キャンバスは多くなく、
良く知られた旧作と共に約40点ほどが並んでいたのだが、
これほど大量のオリジナル・キャンバス作品をまとめて観るのは初めてなだけに、
たくさんの新しいオモチャを目の当たりにした子供のようにあまりの嬉さに舞い上がってしまった。
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まず部屋の入り口で出迎えてくれたのが、昨年5月にロンドンで開催されたグラフィティ・アートの祭典、
第1回"CANS FESTIVAL"のポスターに使用されたイメージのオリジナル・キャンバス。
サイズは約90cmX90cmと思ったより大きく迫力満点だった。
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そして入って左のスペースには、金網越しに展示されたお馴染みの作品のステンシル(型紙)や、
テストプリント、絵のモチーフとなった数々の品物、有名なモザイク自画像のキャンバス等が
雑然と並べられており、この舞台裏を覗き見るようなこれらの展示物が、
今回最もマニア心をくすぐる隠れた人気コーナーかもしれない。
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そしてその右側の壁には、地味ながらも珍しいコラージュやドローイングが7点ほど並び、
そのドローイングのテクニックの巧さにも目を奪われる、これもマニアックな上級者向けのコレクションだった。
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また床に目をやれば溶けて柔らかくなったようなペイントされた煉瓦のオブジェ、
今回のショーのメイン・イメージのウ◯◯ソフトクリームのオブジェもあり、
一筋縄ではいかない頭クラクラもののバンクシー・ワールドが
部屋いっぱいに拡がっているのだからファンにはたまらない。
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因みに今回の新作キャンバスはどれも大きめのサイズばかりで、
猿をモチーフにした作品と巨大なドーナツを軍隊が運んでいる作品などは
初めて目にする新作で、作品の出来も素晴らしかった。
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それにしても旧作と新作が入り交じり、尚かつ売り物と非売品が混在している上、
バイヤーズ・プレビューなのに値札どころか番号もついておらず、プライスリストすら配られなかったため
現場はかなり混乱していた。と言うのも作品を買うためには何か欲しい物を見つけ次第、
会場に4人しかいないプライスリストとトランシーバーを手にした係員を探して作品の場所に連れて行き、
直接金額を訊いて納得したら申し込むという面倒な方式だったからだ。
話が成立するとその場でトランシーバーを使って他の係員に作品番号を伝え、
二重売りがないようにリストに書き込むというやり方だったが、まずは係員を確保するのが至難の業で
少しでも遠慮していたらチャンスを逃してしまうというわけだ。

僕は買う気満々でこのブリストルのショーに参加したのだが、最初に欲しいと思った小さめの作品で
カラフルな一点物の『Heavy Weaponry』の値段を訊いたら、なんと35000ポンド(約560万円)という
オークション値段以上の答えが返ってきていきなり出鼻をくじかれ、
新作の大判キャンバスの値段など恐くて訊くこともできなかった(苦笑)。
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個人的に欲しかったのは、昔の作品のような小さめのキャンバスだったのだが、
エディション25くらいあるシンプルなステンシル・スプレー作品なら何とか頑張れば買えるだろうと考えていた
僕の目論見はもろくも崩れ去った。

そんなわけで今回はキャンバス購入は金額的に不可能と少し気落ちしていたところ、
友人アーティストのヨーロピアン・ボブが「安い作品があるから」と僕を案内してくれたのが
例のコラージュやドローイングのコーナーだった。
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そこで係員を連れてきて適当な価格のドローイングを一点申し込んだのだけど、
今考えてみれば名前も訊かれなければ書類にサインもしてないから本当に買えたのかどうか、
まだ確認メールも届いていない今の段階では確信が持てないのが歯痒いところだ。
もし本当に作品を買えていたらその時はまたここで報告するのでお楽しみに!

因みに後で聞いたところによれば、今回の出品作品のプライス・レンジは
500ポンドから500000ポンド(約8万円から8,000万円)とのことで、
これには値付けの基準が不可解とか、相対的に高すぎるといった
コレクター・バイヤーやアート・ディーラーの声も少なくなかった。
但し、もし最初からボーナス・アイテム的な手頃な値段の作品がいくつかあると知っていたら、
コラージュやドローイング作品をまとめて全部買うという手もありだったと思うと少し悔しいが、
1時間後にチェックした時には安い物は全て完売していた。

とにかく僕にとっては初めてのバイヤーズ・プレビューご招待などという不慣れな場だったため、
どうしていいのか分からなかったというのが正直なところで、
一点でも買えた(と思いたい)だけでラッキーだったのかもしれない。
ただ次回以降のプレビュー参加のため、よい経験になったことだけは間違いない。

などと裏話をいろいろと書いていたら、また分量がいっぱいになってしまった。
というわけで美術館2階の常設展に紛れ込ませたバンクシー作品の話と写真は次回、
また数日後にアップしたいと思います。まだまだ続くバンクシー展リポート、続きをお楽しみに!

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保科好宏
(ロック評論家/コーディネイター)
長野県須坂市出身。著書に『ロック人名辞典』(共著/音楽之友社)『ザ・フー・ファイル』(監修/シンコー・ミュージック)などがある。趣味はロックと現代アート。
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