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webマガジン e-days(イーデイズ) >  音楽 >  特集 >  バラカン×健太の音楽語り  > 第1回:ブリティッシュ・インヴェイジョン

50年代にアメリカで生まれたロックンロールは、瞬く間に若者を魅了した。
しかし反発も多く、50年代後期になると下火に。
そんななか、忘れられていた初期ロックンロールの衝撃を自分達になりに解釈して登場したのがビートルズだ。
結果、アメリカ進出を果たした彼らは大成功。そこから多くのイギリスのグループが、アメリカで成功した。
いわゆる〈ブリティッシュ・インヴェイジョン〉である。
当時のロンドンにいたピーター・バラカン氏、そして東京にいた萩原健太氏は、この動きをどう感じていたのだろう?

取材・文/印南敦史 撮影/神ノ川智早 取材協力/MyBackPages

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――ブリティッシュ・インヴェイジョンのリアルタイムな皮膚感覚って、日本とイギリスでは違っていたんでしょうか?

萩原 それはやっぱり大きく違うんじゃないかなあ。イギリスから見たらどうだったんですか?

バラカン イギリスでビートルズは、デビューの年からかなり話題になってた。62年の秋の"Love Me Do"はまだそれほどでもなかったんだけど、"Please Please Me"は大ヒットしたんですよ。そのころからテレビもラジオもばんばん出るわ、毎週のように雑誌にも取り上げられて、もう大スターでした。

萩原 で、アメリカで成功した。

バラカン でもアメリカ進出には時間がかかって、結果的に一年以上先の話だよね。でもひとたび成功したら、一気に1位、2位、3位を独占。要するに、それだけ曲がたまってたんだよね。

萩原 (笑)いっぱいあるから。日本の場合は、アメリカで当たってからですからね。やっぱり"I Want To Hold Your Hands"以降になるんで。

バラカン そうかそうか。リアルタイムで聴いてました?


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萩原 うーん、ラジオで聴いてはいたけどレコードを買ってはいなかったですね。64年だと8歳ぐらいだから。中学生ぐらいになって、ようやく買いはじめた感じです。

バラカン うん、僕もだいたい同じようなもんだね。

萩原 イギリス人って、かっこいいことに敏感っていうイメージがあるじゃないですか。

バラカン そうだね。

萩原 ブリティッシュ・インヴェイジョンを考えるうえで、その感覚がすごく大きいと思うんですよ。アメリカと違ってイギリスの場合は、ヒップなものとしてブラック・ミュージックを嗅ぎ分けたみたいな。アメリカの曲をカヴァーしながら、アメリカ人にはできないものを作った。それがアメリカでも大ヒットして、やがて世界中で大ヒットしちゃったっていう。

バラカン そうだね。アメリカ人のようにはできないから、結果的にはアメリカ人にできないことをやっちゃう。


若々しい初期のストーンズには、いまでも否定できない魅力が(バラカン)

萩原 オリジナルを超えるようなカヴァーも、いくつか生まれてますもんね。

バラカン ビートルズの"Twist And Shout"とかね。

萩原 あとビートルズのカヴァーについていえば、"Please Mr. Postman"だってマーヴェレッツのオリジナル以上にかっこよくなってますよね。

バラカン ビートルズの最初の2枚のアルバムはカヴァーがいっぱい入ってるんだけど、ミラクルズの"You Really Got Hold On Me"だってね、あれミラクルズよりビートルズの方がいいんじゃない?

萩原 ちょっと後の"Mr.Moonlight"なんかも、ドクター・フィールグッド&ディ・インターンズのオリジナルよりもいい。そのあたりはストーンズもそうでしょう。ストーンズの場合は、曲の魅力をまったくつけ加えちゃったっていうか。


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バラカン そうだね。当時はストーンズのヴァージョンしか知らないから、かっこよく聞こえるんですよ。で、チャック・ベリーのオリジナルなんかをかなり後になって聴くと、チャックにすごく余裕があったことがわかったんだよね。落ち着いてスウィングしてるし、ユーモアがあるし。おそらくストーンズが理解してなかった部分が、すごくわかる。だから「なるほどな」と思いつつも、あのころのストーンズの音楽っていまでも否定できない魅力がものすごく大きい。

萩原 若さならではの暴力的な感じ。マディ・ウォーターズの"I Just Want to Make Love to You"だって、ストーンズのヴァージョンは別ものになってるじゃないですか。

バラカン そうそうそう、パンクになってる。

萩原 ストーンズの場合、オリジナルを超えてるかどうかはわからないけど、違う魅力を見せてくれたっていう感じはある。

バラカン そうだね。

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ピーター・バラカン
1951年生まれ。現在はフリーのブロードキャスターとして活動中。著書に『魂(ソウル)のゆくえ』(アルテスパブリッシング)、『ロックの英詞を読む』(集英社インターナショナル)、『ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック』(ミュージックマガジン)などがある。

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OFFICIAL SITE
http://peterbarakan.cocolog-nifty.com/


萩原健太
1956年生まれ。執筆活動、ラジオDJ、TV出演などで評論活動を行うかたわら、ミュージシャン、プロデューサーとしても活動。さまざまな形で音楽にたずさわっている。

OFFICIAL SITEhttp://knbp.asablo.jp/blog/

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