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webマガジン e-days(イーデイズ) >  音楽 >  特集 >  Tune in  > レニー・クラヴィッツ インタビュー

アルバム『レット・ラヴ・ルール』でデビューを飾ったのが1989年。過去20年間ロック、ソウル、ファンクを独自の感性でオリジナル化した数多くの名曲をこの世に送り込み、世界級のトップ・スターに君臨するまでになったレニー・クラヴィッツ。黒人女優としてハリウッドで先駆的な存在にあった母と、ユダヤ人のテレビ・プロデューサーを父に持つ彼は、自分自身のアイデンティティーを独創的な形で音楽に反映させつつ、20年ひたすら愛と平和を世に説いてきた。時にはそれがヒッピー的、懐古的にさえ写る時もあったが、そういった彼の価値観、世界観は、行き着くところ彼が自分なりに生み出した方法論で、マイペースで唱えてきたからこそ現在も説得力を失わないのだろう。彼の20年のキャリアを記念して7月、デビュー作『レット・ラヴ・ルール』と最新作の限定盤『ラヴ・レヴォリューション・デラックス・プラス・エディション』がリリースされる。この非常に視点の似通った古今2枚のアルバムは、彼が原点を常に忘れなかった証と言えるだろう。
 現在レニーは『ラヴ・レヴォリューション』を引っさげた2年間のワールド・ツアーの一環として、ヨーロッパを回っている。その合間をぬって映画プロモーションのためにカンヌ映画祭を訪れた彼をキャッチした。彼がカンヌを訪れたのは、出演した80年代ハーレムを背景にした苦境の女性主人公を描いた社会派映画『PRECIOUS』が披露されたから。ここで彼は主人公を助ける男性看護夫を演じている。これについて、また『ラヴ・レヴォリューション』について語ってもらった。


取材・文/高野裕子

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いつかは監督もしてみたいと思っているし、
自分では映画監督みたいな考え方を持っていると思う


──今回『PRECIOUS』に出演することになったいきさつは?


監督のリー(・ダニエルズ)には数年前に出会い一緒に仕事したいと言っていたんだが、これまで適当な素材がなかった。そこへ『PRECIOUS』の看護夫ジョンの役が浮上したんだ。大役でもなく、ツアーの合間をぬって引き受けられる小さな役なのでこなせる役だったのもよかった。例えば音楽は自分で書き演奏し、ステージを考え、一緒に演奏するミュージシャンを選び...etc、全て自分でコントールしている。ところが、映画の場合リーに言われたとおりにやらなければならなかった。僕にとっては良い経験だったよ。リーは演技について、ジョンはどう歩く、ジョンはどう話す、ジョンはどう動く、いろいろと指示を出してくれて、自分自身を変える良い機会だったね。でも、アメリカの映画祭で上映されたとき、観客はあれが僕だって誰も気がつかなかったんだ! 不思議だね。

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──映画に出演することと音楽活動、例えばライブをやることやレコードを作ることと演技の間に共通点を見出しましたか?

勿論! 例えばリーはこの原作を読み、とあるヴィジョンを思い、構想が生まれ、それを映画化した。音楽だって同じだ。例えば僕はある日、目が覚めると曲のアイデアが浮かんでそれを書きおろし、レコーディングする。そして人前で歌う。映画も音楽のひとつのヴィジョンから始まるという点で同じだと思うよ。

──あなたの好きな映画監督は? 映画は?

好きな監督は(フェデリコ・)フェリーニ。好きな映画はウディ・アレンの『マンハッタン』だ。『マンハッタン』が一番好きな映画の理由は、ご存知のとおり僕はクラヴィッツという苗字で父はユダヤ人だ。ニューヨークはブルックリンのユダヤ人地区で育ったし。自分の中にあるユダヤ人があの映画に愛着を感じるんだよ。フェリーニはイメージが好きなんだ。僕は監督じゃないが、でもいつかは監督もしてみたいと思っているし、自分では映画監督みたいな考え方持っていると思うんだ。物事をシーンのように考える傾向があるね、写真もやるし。あとフェリーニが物語を語る方法も好きだ。


ほんとロック・スターでいるのは疲れるな~(笑)。

──ところであなたのオバマ大統領への期待は大きいですか? アフリカン系アメリカ人の状況は向上すると思いますか?

ここ1年ツアーしてきて、いろんな所でオバマについてインタビューされた。オバマはきっと僕らを救ってくれるだろうとかコレをしてくれるだろう、という、人々からの期待は大きい。オバマ大統領は優れた人物であり偉大なリーダーだ。賢明な人物であり、いろいろな事を変えてくれるだろう。でも変化というのは人々自身が変われなければならないと思うんだ。それが始まりだ。政府も人々のために動き、人々も自分自身が変わらなければならない。アフリカ系アメリカ人の世界が変わるためには、アフリカ系アメリカ人のコミュニティが意識を変えなければならないと思うんだ。その意識がアフリカ系アメリカ人のコミュニティーの中に浸透しなければならないと思う。

──その意識はどこから来るのでしょうか?

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僕の最新アルバムは『ラヴ・レヴォリューション』というタイトルだが、これはどういう意味なのか? どこからラヴ・レヴォリューションを始めるのか? とよく質問される。俺は『ラヴ・レヴォリューション』とは自分自身の中から始めるものだと思うんだ。子供のころ母がいつも言っていたんだ。"人のやることについてあれこれ考える必要はないのよ。自分自身が正しいことをやる、というのが大切なのよ。"って。だから『ラヴ・レヴォリューション』というのは、自分の周囲の少人数の人間をどう扱うかということから始まるんだ。自分の娘や恋人や近所の人や、それらの人を日常生活においてどう扱うか、それが世界を変えていくんだ、と信じることなんだ。自分の周囲の環境に積極性を持ち込むことなんだ。自分の周囲が一番重要なんだよ。それがその周囲の環境を変えていく。慈善活動は家から始まるという諺があるだろう?だから世の中の意識を変えるのは家からなんだ。それが世界中を変えることになるんだ、って信じたいね。

──それがあなたのアルバムのテーマであるわけですが、それは映画『PRECIOUS』のテーマに共通しているのでは。これは偶然でしょうか。

運命というのかな、自分のまわりには、自分の関心のあるものが自ずと集まってくると思うよ。自分の気持ちに従っていけば自然にそういった風に導かれていくのではないかな。この役が回ってきた、それがとても美しい役で、映画の中では主人公の少女を助ける唯一の男性で...。リーと出会いこの映画を作ったという事実もパーフェクトなタイミングだと思うんだ。僕の新しい人生の1章だと思うし。

── 20年間ロック・スターをやってきて、このライフ・スタイルに飽き飽きしたと感じることはありますか?

そうだね、ほんとロック・スターでいるのは疲れるな~(と大笑い)。

──ロック・スターでいることについての視点は変わりましたか?

正直のところ、デビューしたときは、イメージが重要だと思った。ファッションに夢中だったし、子供のころからロック・スターを見て育った。ドラッグがどうのこうのというのではなく、ロック・スターの自己表現に影響をうけたんだ。ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョップリン、ロバート・プラント、エリック・クラプトン、フー。彼らは音楽と着こなし、全てがパッケージになっていたんだ。マイルス・デイヴィスにしてもそうだし。彼らは音楽的な天才であり、見た目も良かった。僕はそういう彼らの存在に影響を受けたんだ。そのせいなのか、過去においては僕のルックスだけに焦点があったり、誤解も生じたと思う。誰と仲良くしてたとか、セレブがどうのこうのとか、そういうことが話題になって。音楽の重要性が見落とされがちだったのは残念だった。僕の過去の20年のレコードを聞いてもらえばわかるだろうが、どれも愛、神、平和、社会問題などがテーマになっていた。同時にそのレコードを作った僕のプロデュースの腕というのも見落とされがちだったと思う。楽器もいろいろと弾いたし、そういったことも見落とされがちだったと思うんだ。僕はロック・スターをめざしたわけではないんだ。ミュージシャンになりたかっただけだ。年とともに、メロウになったのも確かだしいろんな事も学んだ。表現者として成長したが、それと同時に僕は昔と変わりなくハングリーでもあるんだ。



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『PRECIOUS/プレシャス』

今年の サンダンス映画祭でグランプリ を受賞し、カンヌ映画祭では新人発掘の「ある視点(Un Certain Regard)」部門に出品。
カンヌでは観客から熱烈なスタンディングオベーションを受けた注目の作品である。

映画の舞台は1980年代のハーレム。父親の性的虐待で妊娠し、母親からの暴力に虐げられ、学校でもいじめられて絶望の日々を送る読み書きのできないハーレム育ちの16歳の少女 プリシャスが主人公 。ひとりの女性教師との出会いによって、どん底の人生から脱出をはかっていこうという物語。

レニー・クラヴィッツはインタビュー中でも答えているように、看護士役。マライヤ・キャリーはソーシャルワーカー役を熱演している。

監督:リー・ダニエルズ
原作:サファイア 『 Push』
脚本:ジェフェリー・フレッチャー
出演:モニーク 、ポウラ・パットン、マライア・キャリー、ギャバリー・シディビー、レニー・クラヴィッツ

米オフィシャルサイト www.weareallprecious.com

( 2009年11月6日より全米単館限定公開予定/日本公開は未定 )


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Lenny Kravitz(レニー・クラヴィッツ)

1964年NY生まれ。父親はTVプロデューサー、母親はバハマ出身の女優。10歳でLAへ移住。1989年、米ヴァージン・レコードからアルバム『レット・ラヴ・ルール』でメジャー・デビューし、早くも20年…今や説明不要のトップスターである。09年のカンヌで披露された映画『PRECIOUS』では主人公を助ける男性看護夫の役を演じている。日本での公開が待たれる作品だ。

OFFICIAL SITEhttp://www.emimusic.jp/intl/lenny/

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『LET LOVE RULE』(写真上)
衝撃のデビューから20年。レニーの1stアルバム『レット・ラヴ・ルール』の20周年記念盤。ボーナス・トラックに加えて、未発表音源を収録。ブックレットには貴重な写真の数々や手書きのメモ等…豪華な内容。2009年7月1日発売。TOCP-70767/68 (2CD)¥3,800(tax in.)

『ラヴ・レヴォリューション』(写真下)
08年リリースアルバム。ニューアルバムと同時に3ヶ月間期間限定の低価格盤が発売される。このアルバムタイトルからも分かる通り、レニーは愛の、そして精神的な革命に関する曲を歌い、人々に心を開いて愛を受け入れろと語りかけている。永久仕様盤:TOCP-66760 ¥2,500(tax in.)

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