

1987年のBOØWY解散以降、切れ味鋭いギタリストとしてのみならず、ソロ・ミュージシャン/プロデューサー/ソングライターとしてアグレッシヴな活動を展開してきた布袋寅泰。
日本を代表するアーティストである彼が、ロックの名曲をリメイクしたカヴァー・アルバム『MODERN TIMES ROCK'N'ROLL』をリリースする。もちろんありきたりの焼きなおしではなく、ひとつひとつの楽曲には紛れもない〈布袋色〉が。しかし、いまなぜカヴァーに挑戦しようとしたのか? 意外性に満ちた選曲の基準は? 本作にまつわる思いを聞いた。
取材・文: 印南敦史/写真:神ノ川智早

――このタイミングでカヴァー・アルバムを出そうと思ったきっかけを教えてください。
前々から機会があれば作りたいなとは思ってはいたけれども、作る余裕がなかったというのが正直なところなんです。我々ミュージシャンがいちばんやるべきことは、その時々でいちばん新しい自分の姿をオリジナル作品に託すことなので、カヴァーはどうしても後回しになってしまって。
――選曲が、意外性に富んでいます。
僕の世代は70'sから聴きはじめて、ビルボードのチャートものからマニアックなプログレまで、かなり幅がある音楽を吸収できたんです。しかし自分のマニアぶりをアピールして、誰も知らないような音楽をカヴァーしたところで、果たしてどなたが喜んでくれるのかという問題がある。だから、こういうわかりやすい選曲になったんです。
――では、選曲に際して意識したことは?
僕自身、ロックンロールを聴くと、気持ちがちょっとうつむいていたとしてもパッと明るくなれるんです。もちろんロックンロールは多角的で、楽しいだけじゃないし、毒を振りまくだけでもない。ロマンティックな部分や奥行きもある総合芸術だと思うんですが、今回はそのなかでも楽しい部分をフィーチャーしたいなと思ったんです。

――そうして決まった楽曲はややオールド・ロック寄りで、ちょっと意外です。
僕も意外でした(笑)。でも、何年周期かわからないけど、音楽やモードは繰り返すじゃないですか。いまだったら90'sとか、僕らからするとちょっと照れくさいような音楽がリメイクされている状況がある。そこを逆手にとった部分はあります。僕はエルヴィス・プレスリーやビートルズの時代を生きた世代ではないけれども、自分の世代よりももうちょっと前に行った方が、中途半端なところへ行くより新鮮だと思ったんです。一方にはニルヴァーナとかレッチリみたいな、僕の世代以降のロック・アイコンたちの名曲もたくさんあるだろうけれど、それらは自分が直接向き合った音楽じゃない。だからそっちはアンタッチャブルな気がしたし、僕がニルヴァーナとかレッチリを歌うのは、みなさんもあんまりイメージできないだろうし。
――それはそうですね。
たとえばBOØWYだって解散して20数年ですし、その時間感覚は大きいですよね。BOØWY以降にもブランキー(ジェット・シティ)やミッシェル(ガン・エレファント)しかり、たくさんのロックンロール・バンドが輝いていたから。つまりBOØWY以降の人たちはいろんなメディアを通じてリアルな日本語のロックンロールを体験できるわけだから、わざわざ意味のわからない英語の世界まで行かずに邦楽でこと足りたという。逆に言うと洋楽に触れる機会もなかっただろうし。そういう人たちにも楽しんでほしいし、僕らよりももっと上の世代の先輩方にも喜んでもらえるようなアルバムにしたかったんです。マニアックな曲も入ってますけど、聴いたことのない人にとってもロックンロールの匂いを感じてもらえるような曲を選びましたね。やっぱりロックンロールはむき出しのものだし、それに僕はギタリストですから。ギタリストじゃなかったらまた違うアルバムになっただろうし、とにかくロックンロールって最初の3秒で決まるようなところがありますから。そこを自分のギターで、曲によってはオリジナルに忠実に、とはいえ同時に僕自身の色もちゃんと盛り込めたと思うし。
NAME:布袋寅泰 (Tomoyasu Hotei)
BORN DATE:1962.2.1
HOROSCOPE:AQUARIUS
BLOOD TYPE:B-TYPE


『MODERN TIMES ROCK'N'ROLL』(画像上:CDジャケット、画像下:USBメモリ・ジャケット)
布袋自身が愛して止まないロックンロール黄金時代の名曲の数々を、素晴らしいミュージシャンの生々しいグルーヴと、モダンなテクノロジーを駆使して創り上げた、自身初となる待望の洋楽カヴァー・アルバム。ロックのスタンダード・ナンバーから隠れた名曲まで、時代もジャンルも異なる様々な楽曲に新たな息吹を与えることで、楽曲の魅力はもちろん、同時に改めてギタリスト/シンガー/プロデューサー/ソロ・アーティストとしての布袋寅泰の稀有の才能とセンスを〈再発見〉させる極上のパーティー・アルバム!
さらに今回は〈ロックの進化形〉というコンセプトのもと『布袋モデル/オリジナル・ギター型USBメモリ』にアルバム楽曲を収録しての限定発売も決定。USBメモリでのアルバムリリースは国内男性アーティスト史上初の試みとなる。
2009年12月23日発売
TOCT-26920
¥3,000(税込)
