居酒屋 十番


麻布十番の“思い出が作れる”居酒屋

 港区・麻布十番にある「居酒屋 十番」へ行った。このお店の創業は1951(昭和26)年。かつては「十番食堂」という名の定食屋だったが、26年前に居酒屋としてリニューアル・オープン。以来、多くの常連客に愛され続ける人気店である。
 店内に入るなり、まず目に飛び込んでくるのが、巨大な“コの字”のカウンター。また、天井からは約30個もの赤提灯が吊り下がり、“古き良き日本”的な情緒を醸し出している(2階には50名まで利用可能な床の間付きの座敷もあります)。
 メニューはというと、「いかバター」や「ピーマン肉詰」「豚キムチ」などの鉄板焼メニューから、「焼き鳥」「魚介類」「ご飯モノ」まで、実にさまざま。さらに、「本日のおすすめ品」と書かれたホワイトボードもあって、そこには「生馬刺し」「活さんま刺身」などの日替わりメニューが、ズラーッと手書きで書き連ねられている。メニュー総数、なんと100種類以上! しかも、いずれもかなりの安心価格である。
 さて、私は、中でも特に気になった「ポパイ焼」なるメニューをオーダー。
 「“ポパイ”って何やねん?」とワクワクしながら待つこと数分、料理が到着。なるほどね!である。“大量のホウレン草とモヤシをバターで炒めて、オムレツのようにタマゴで包みました”というのが、「ポパイ焼」の正体であった。
 では、早速いただこう。口に入れた瞬間、まずアフアフ。で、トマトケチャップたっぷり(これがニクイ!)のタマゴの“とろっ”が、バターの濃厚な香りをまとった野菜の“シャキッ”に出会い、さらにそこにラガーの“シュワッ”も加わり、口の中は歓喜のハーモニーを奏でだす。聞けば、居酒屋になって以来の名物メニューらしい。
 続いて、「本日のおすすめ品」の中から、「海老しんじょうチーズ入り」もいただいた。こちらは、その名の通り、すり身にした海老の中にチーズを詰めて油で揚げたアイデア料理。ぷりぷりと香ばしい海老しんじょうの中から、チーズがとろーり溶けだし、これまたラガーによく合うのでありました。
 「常連のお客さまはみんな、『本日のおすすめ品』のボードしか見ないんですよ。定番のメニューはもう暗記されていますから(笑)」と女将さん。
 ちなみに、このお店には、外国人常連客も多いそうだ(英語のメニューもある)。
 「日本にご在住の方はもちろん、たまに日本に来ると必ず寄ってくださる外国人のお客さまもいらっしゃいます。『女将さんの顔を見るために日本に来たんだよ』って(笑)。また、かつて日本を訪れたときに、ご両親に連れられてお店に来た小さなお子さまが、立派な大人になって『昔の記憶を頼りに来たんだけど、もしお店が無かったらどうしようかと思ったよ(笑)』と、突然お越しになられたこともありました。日本人のお客さまももちろんですが、そうやって世代を超えて来ていただけるのが、凄く嬉しい。だからこそ、これからもすべてのお客さまが素敵な思い出を作れるお店でありたいですね」
 この日も、19時を過ぎた頃には店内は満席に。会社員風の方やアパレル関係者風、そして女性のひとり客などが、コの字のカウンターを囲んで、ラガー片手に思い思いの料理を楽しんでいた。
 港区・麻布十番で57年。今宵も「居酒屋 十番」には、いろんなお客さんの新しい“思い出”が刻まれているにちがいない。

居酒屋 十番
(いざかや じゅうばん)

東京都港区麻布十番2-1-2

03-3451-6873

17:00〜23:00(L.O.22:30)

日曜(月曜が祝日の場合休業)

平均3,000円

カード使用不可

都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩1分
東京メトロ南北線麻布十番駅より徒歩1分


麻布十番で57年の歴史を誇る老舗。海の幸や串焼、鉄板焼などなど、毎日100種類以上の料理をご用意。写真は、20年来の不動の人気メニューであるという「ポパイ焼」(550円)と、「海老しんじょうチーズ入り」(600円)。リーズナブルな価格もウレシイ。

焼肉苑 麻布十番店


すごいジャン!「テルオジャン」

 「コチュジャン」「豆板醤(トウバンジャン)」「甜麺醤(テンメンジャン)」「芝麻醤(チーマージャン)」「XO醤」などなど、世の中には“○○醤”と呼ばれる名作シリーズがあるが(ビールにも合う)、麻布十番にある「焼肉苑」というお店には、どうやら「テルオジャン」というものが存在するらしい。
 このお店は、数多くの焼肉店ひしめく“焼肉激戦区”にありながら、行列ができるほどの人気店。テレビや雑誌などでも幾度となく紹介されている。
 ちなみに、社長のお名前は宮本照夫(テルオ)さん。そう、つまり「テルオジャン」とは、“テルオ社長が手塩にかけて作り上げた完全オリジナルの醤(ひしお)”のことで、もっとカンタンに言うと、“テルオがテシオにかけたヒシオ”なのである。
 お店は、麻布十番駅から5分ほど歩いたところ(地下です)。また、店内は広々としていて、壁の至るところに手書きのメニューが貼られている。
 で、その中に「テルオジャン」を発見! ……が、それだけではない。このお店には、「てるてるソース」というソースまで存在する。しかも、いずれもオプションメニューというワケではなく、焼肉を注文するともれなく付いてくるものらしい。
 さて、メニューはというと、「カルビ」「ロース」「ハラミ」「ホルモン」などの定番メニューはもちろん、「マヨテルちゃん」(『型破りの味!絶句しますヨ!』と書かれている)や「カレーモン焼」(『スパイシーなカレー味と牛ホルモンのコラボレーション!』)など、ユニークなメニューも多数。今回は、中でも特に気になった「焼テーキ」(ヤキテーキと読む)というメニューをいただくことにした。
 5分ほどで、料理到着。お皿の上には、巨大な肉が1枚“ドーン”と横たわっている。なるほどね!であった。やっぱりね!でもあった。つまり、「焼テーキ」とは、ステーキ級の大きなサーロインを網上で焼く、いわば“焼肉屋版ステーキ”なのだ。
 これを、まずは「テルオジャン」でいただく。分厚いサーロインをレア焼きにし、箸に「テルオジャン」を少し付け、肉に塗りつけるようにして、ガブッ。まずは醤特有の“みそ感”が口中に広がり、そこに溢れんばかりの肉汁も加わる。さらに、青唐辛子の辛味がヒリッと口内を刺激。で、これはもうラガーを飲まずにはいられない。
 続いて「てるてるソース」。ソースとともに、溶かしたバターをひとさじかけていただくのだが、肉汁とバターのコク、そして野菜の旨みたっぷりのソースが口の中で渾然一体となり、こちらもたまらなく旨い。「テルオジャン」と「てるてるソース」、これはホント、みなさんにも味わってもらいたいものです。
 ところで、このお店では、まずはスタッフの方が実際に肉を焼いて、美味しい焼き方を指南してくれる。「焼肉はレアぐらいが美味しいんですよ。焦げ目は損。焼きすぎのお客さまには、“焼きすぎ注意報”を出しますよ(笑)」と店長。さらに、キムチのテイクアウトもできるとのことだったので、帰り際に購入すると、これが大量!「こんなにいいんですか?」と尋ねると、「これは私たちのキム(モ)チですから!」と。
 このお店でしか味わえないのは、「テルオジャン」と「てるてるソース」ばかりではない。そんな活気あるスタッフたちが作る、居心地の良さ。これもまた、「焼肉苑」でしか味わえないものなのだ。

焼肉苑 麻布十番店
(やきにくえん あざぶじゅうばんてん)

東京都港区麻布十番2-10-3
マイスクエアビルB1

03-5444-4422

月〜木曜、日曜・祝日 16:30〜24:00(L.O.23:30)
金曜・土曜 16:30〜翌日3:30L.O.

無休

平均3,000円

不可

都営地下鉄大江戸線麻布十番駅より徒歩4分
東京メトロ南北線麻布十番駅より徒歩4分


麻布十番で行列のできる焼肉店。とにかくリーズナブルな価格で焼肉が楽しめる(『麻布十番でもっとも安い焼肉店』の称号を、8年間他店に譲ったことはないそうだ)。写真は看板メニューである「焼テーキ(200g)」(1,280円)。また、同じく大人気メニューの「ロース(100g)」(480円)は、ユッケに使用する新鮮なものを使用。生でも食べられる。

ラガーのうまいお店

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