新華月


何度でも通いたくなる本格中国料理とアットホームな関係

 数日前、「新宿駅東口からほど近いところに、“スゴイ”中国料理店がある」との情報を入手した。お店の名は「新華月」。なにが“スゴイ”かというと、とにかく熱狂的なファンが多いらしい。聞けば、昨年1年間でもっとも多く訪れたお客さんの来店回数が、なんと126回! つまり、1年の1/3以上ってことになる。「どないなっとんねん?」と「理由は何ぞや?」と居ても立ってもいられなくなり、私はすぐさま新宿へと向かったのであった。
 店内は賑やかで明るく、スタッフにも活気があっていい雰囲気。メニューもめちゃめちゃ充実している。今回は、看板メニューのひとつ「担々麺」を注文。辛さは、(1)ふつう辛(2)中辛(3)ごく辛(4)うるとら辛の4種類から選べるのだが(希望次第でまだまだ辛くできる)、私は(1)をチョイス(初心者だからね)。運ばれてくるなり、目の前にたちのぼる湯気とゴマのいい匂い。スープの上には、挽き肉とザーサイたっぷりのあんかけがとろーりで、食欲をソソる。まずはスープをひとくち。程よい辛さとまろやかさ…、と、ほのかに香ばしさもある。このお店では、「干しエビ」を隠し味として使っているそうだ。さらに、麺は太すぎず、細すぎずでのど越しがよく、ラガーにはもちろん、締めの一杯にもピッタリの一品であった。
 ちなみに、ファン多きこのお店を切り盛りするご主人は、人柄が良くとっても話しやすいナイス・ミドル。そこで、「接客の極意はなんですか?」と訊ねると、「気を使わないことじゃないかな(笑)」と即答であった。 
 「何度も足を運んでくれるお客さんは、僕にとってはみんな家族みたいなもの。“いらっしゃいませ”じゃなくて、“おかえり”とか“ただいま”の関係。注文を聞くより先に、まずはビールを出しますよ(笑)」
 日本を代表する繁華街・新宿に、席につくなりラガーが運ばれてくるような“いい関係”のお店がある。これは凄く心強い。それと、“おかえり”って言葉がいいじゃありませんか。
 本格的な中国料理と、本格的な家族感。これこそが、「新華月」の魅力なのである。

中国料理 新華月(ちゅうごくりょうり しんかげつ)

東京都新宿区新宿3-21-8 東新ビル2階

03-3352-7050

月〜土曜11:30〜翌朝4:30(ランチ11:30〜17:00)
日曜11:30〜22:00(ランチ11:30〜17:00)

年末年始

平均2,500円(ディナー)/900円(ランチ)

ほとんど可

JR線ほか新宿駅東口より徒歩3分


おつまみから前菜、炒めもの、ご飯もの、麺類、さらにフカヒレなどの高級食材を使ったものまで、バリエーション豊かなラインナップ。リーズナブルな価格もうれしい。写真は「木須肉(ムースゥルゥ:卵・豚肉・キクラゲ炒め)」と「担々麺」。

美うら


神楽坂で過ごす、“粋”な休日

 久しぶりの休日ということで、昼下がりから神楽坂をぶらり散策、そのあと神楽小路という路地にある居酒屋「美うら」を訪れた。
 ここは凄く家庭的で、居心地がいい。店内には懐が深くてあたたかい“みんなのお母さん”的な女将さんがいて、カウンターの上には「きんぴらごぼう」「里芋の煮つけ」「だし焼玉子」など私のなかでの“THE おふくろの味”の面々が大皿に盛られてどっさり。いい匂いを漂わせている。
 この日は、女将さんの故郷である山梨の食材を使った料理をいただいた。まずは「西湖の姫ます南蛮漬」。姫ますは、限られた場所にしか生息しない紅ザケの陸封型。淡水魚なのだが臭みなどはなく、さっぱりとした味わいであった。続いていただいた「砂肝と山椒実煮」は、調味料や山椒などで砂肝をじっくり煮詰めたシンプルなもの。が、山椒の実は、富士山の「2合目」で女将さん自ら摘んできたというから驚く。「途中で山賊料理を作って食べたりしてね…」という“おみやげ話”ならぬ“おつまみ話”も聞けて、ラガーもしみじみ旨いのであった。
 ちなみに、女将さんはとってもアクティブなお方。ひとりで海外旅行をするため現在英会話のレッスンに通っていたり、パソコンのメールも習得したりと、常に新しいことにチャレンジしている。「世の中は楽しいことが身のまわりにあふれているんだから、好奇心があればもっともっと人生が楽しくなるわよ。私は今、毎日が凄く楽しい(笑)」。そんな親身なアドバイスと優しい家庭料理の味わいに、遠く故郷を思い、家族を思い、「明日も仕事がんばっぞ!」という気持ちになれるのであった。
 新宿・神楽坂…。かつて花街として隆盛を誇り、また文芸界の巨匠たちが活動の拠点にした東京屈指の“粋”な街で、昼は花街情緒にふれて“歴史”を学び、夜はラガー片手に“人生”を学ぶ。たまの休日には、そんな“粋ぬき”もいいものである。(粋な感じでまとめてみました)
 ところで、なんで「2合目」なんだろう?

美うら(みうら)

東京都新宿区神楽坂1-14

03-3235-4308

17:00〜4:00(L.O. 3:00).

日曜・祝日

平均3,000円

JR飯田橋駅より徒歩3分


写真は「西湖の姫ます南蛮漬」(550円)、「砂肝と山椒実煮」(450円)、「だし入り厚焼玉子」(600)円。その他、10年かかって完成した自家製のポテトサラダやきんぴらごぼうなど、心あたたまる料理が充実。
※メニューは季節によって多少異なります。

喜仙


荒木町の路地奥で味わうヨロコビ

 新宿・荒木町。かつては花街として賑わったこの街に、気軽に立ち寄れる「喜仙」というお店があると聞き、訪れてみることにした。地図を頼りに「杉大門通り」を下り、50メートルほど先にある細い路地(ビックリするほど細い!)に入る。“いくらなんでも細すぎなんじゃないか?”“曲がるトコ1本間違えたのかね?”などと自問自答しながらも、少し奥の方へと進んでみると……、“おおォ!”(歓喜の声です)。目の前に現れしは、趣きある建物と青く輝くお店の看板であった。
 早速、店内に入ってカウンターにすわり、少し緊張しつつも「ビール込みで5,000円ぐらいでお願いします!」と料理をオーダー(このお店は予算に合わせて女将さんがいろんな料理を作ってくれる)。すると、まずはそら豆、ワカサギなど旬の食材がキレイに盛りつけられた前菜にはじまり、煮物、焼き魚と、女将さんお手製の家庭料理が続々と運ばれた。そして、極めつけは主役の「やきとり」。鳥取の「大山地鶏」という鶏を使用しているらしいのだが、これが旨い。歯ごたえよろしく、ラガーとの相性よろしく、申し分のない鶏であった。
 ところで、このお店がオープンしたのは今から40年前。以来、ずっと通い続けているお客さんも少なくないという。「オープン当時は50代で、現在は90代という常連さんもいらっしゃいます。とても“ありがたい”ことですね」と女将さん。
 知る人ぞ知るほそーい路地の奥地に、自宅とは別の“くつろぎの場所”があるという喜び。また、そこへいけばいつでも旨い家庭料理とやきとり、そしてラガーが待っているという安心感。「喜仙」は、お客さんにとってもさぞや“ありがたい”存在にちがいない。

喜仙(きせん)

東京都新宿区荒木町7-2

03-3355-2989

18:00〜23:00L.O.

土曜・日曜・祝日・年末年始

VISA、JCB

平均5,000円

東京メトロ丸の内線四谷三丁目駅より徒歩3分


基本的に料理は“おまかせ”。その時々の旬食材を使ったさまざまな味わいが楽しめる。煮物や焼き魚のほか、予約の場合のみ刺身もご用意可。そして、鳥取の「大山地鶏」を使用した「やきとり」は自慢の一品。また、同じく大山地鶏を使った野菜とコラーゲンたっぷりの「鶏なべ」もおすすめ。21:00〜はカラオケも楽しめる。

New Tone's Apple


ジャズ&ラガーに酔いしれて in 新宿三丁目

 2000年にオープンした「New Tone's Apple」は、ジャズの生演奏が楽しめるお店。LP盤のレコードジャケットが壁一面に飾られた店内では、連日ピアノの弾き語りやライブが繰り広げられ、時にはミュージシャンがふらりと現れてセッションが行われることも。ちなみに、ジャズのライブが楽しめるお店と聞くと“詳しくないと入りづらいんじゃない?”というイメージを持つ人がいるが(私です)、このお店にはそういった“マニア”で“コア”なオーラはなく、とっても親しみやすい。「ぼくもジャズ素人ですから」と、お店を切り盛りする2代目マスターは笑う。
 そして、もうひとつの魅力が料理。ジャズのライブが楽しめるお店と聞くと、“軽食ぐらいしかないんじゃない?”というイメージを持つ人もいるが(これも私です)、このお店にはちゃんとシェフがいて、本格的な料理が味わえる。この日は「シェフのきまぐれメニュー」なるものをいただいたのだが、見た目、味付けともに“きまぐれ”どころか繊細で綿密な仕事が施されている。ジャズのライブ抜きにしても、食べに行く価値ありのおいしさであった。
 ところで、店名の「New Tone's Apple」には、“新しい音をつくるフロンティアでありたい”との思いが込められているそうだ。
 「新しい音っていうのは、ミュージシャンと、聞き手であるお客様が一緒になってつくりあげていくものだと思います。だからこそ、お店を続けていくかぎりは絶対、生演奏ですね!」
 しばらくして、ライブがスタートした。美しいピアノの旋律が体に響き、よく冷えたクラシックラガーの苦みが喉から胸のあたりへと伝っていく。すーっと心と体が解き放たれるような、心地よさ。今宵もここで、“新しい音”が生まれるのである。

New Tone's Apple(ニュートーンズ・アップル)

東京都新宿区新宿3-12-4 熊三ビル3F

03-5366-9626

18:30〜24:00(STAGE TIME 19:30〜23:00)

日曜・祝日

ほとんど可

平均3,500円

JR新宿駅東口より徒歩7分、東京メトロ丸の内線、都営新宿線新宿三丁目駅より徒歩2分


ウィークデーにはピアノの弾き語りを中心としたライブが、ウィークエンドには「土曜ホッと!ライブ」や「土曜シャンソン」など、多彩なライブが楽しめる。料理も本格的。写真は「シェフのきまぐれメニュー」(「ビーフシチュー」と「豚肉のグリル」)。
※「シェフのきまぐれメニュー」は、日によって内容が異なります

きくや


昔変わらぬやきとり横丁で感じる懐かしい“ぬくもり”

 新宿駅西口のJR線路に沿ってズラリと建ち並ぶ「やきとり横丁」の中に、ひときわ存在感を放つお店がある。でっかい赤提灯と縄のれん、そして立派な木彫りの看板、ここが「きくや」である。
 店内にはオール手書きのメニューがあって、中には珍しい料理(骨山カルビ)や懐かしい料理(くじらカツ)なども載っていた。もうこれだけで、ビールが飲みたくなる。しかし、今回は創業からの名物である「もつ」をいただいた。
 まず登場したのが「もつ煮込み」。じっくりと煮込まれたもつは甘みがあって口の中でとろりととろける。このお店では和牛の腸を使用している。続いておでましの「もつ焼」も、創業以来継ぎ足しているという濃厚なタレがバッチリしみこんでいて旨かった。もつって旨いんだよね。
 ちなみに、このお店の創業は1952(昭和27)年で、店内には1960年当時のお店の様子を描いた墨絵が飾られている。ベンさんという方が描いたものらしいのだが(隅に“BEN”とサインがある)、この絵には、こんな心あたたまるエピソードがある。
 「1960年のある日、お客さんの靴がボロボロだったのを見て、当時お店で働いていた祖母がそのお客さんに靴をあげたそうです。それが絵を描きながら全国各地を放浪していたベンさんという方だったようで、お礼にこの絵をいただいたと聞いています」とご主人。
 その絵をじっくり眺めつつ、やっぱり昔はいい時代だったのう、などとラガーを飲みながら、しみじみしてしまう私でありました。

きくや

東京都新宿区西新宿1-2-4

03-3342-5928

月〜木・土 15:00〜24:00(L.O.23:30)
金      15:00〜24:30(L.O.23:50)
日      15:00〜23:30(L.O.23:00)

無休

カード使用不可

平均3,000円

JR新宿駅より徒歩3分


名物の「もつ焼」は、かしら、れば、しろ、はつ、てっぽうなど全11種類。塩、たれ、特製づけだれから選べる。さらに「とり焼」や、豚バラ、ラム肉などの「かわり串焼」や「くじらカツ」「くじら刺身」など、お刺身や一品料理なども充実。


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