下北沢にて、“大王”を食す
「天草大王」なる鶏が味わえると聞き、下北沢の「つ串亭」に行った。“大王”という点にご注目いただきたい。辞書で引くと「勢力や功績のある王に対する敬称」、英語なら「ザ・グレート」。つまり、そんじょそこらの鶏ではない、注文しようものなら隣のお客はおろか、店中が「ねえねえあの鶏、チョー偉大じゃない?」と噂でもちきりになるほどの(ならないか)、それはそれはスゴい鶏なのではないか…。高まる期待と興奮を抑えつつ、急ぎ足でお店へと向かった。
店内に入るとすぐに、壁に貼られた「天草大王」の写真(新聞記事)が目に飛びこんできた。それを見て「なるほど、たしかに大王だ!」と鶏の大きさに納得。聞けば、この鶏はかつて熊本で「博多の水炊き」用に飼育されていた国内最大級の鶏。当時、雄の最大のもので背丈約90センチ、体重約7キロもあったらしい。
早速、刺身をいただいた。まずはササミ。大きな体からは想像もできないほど繊細で、しっかりとした旨みがある。続いて砂肝。こちらは歯ごたえがとにかく凄い。さらに、1羽からわずかしかとれないという白レバーは、濃厚でコクがあり、フォアグラみたいな感じ。あっという間にふわっと口の中でとろける。間髪入れずにビールをぐびっ。“水を得た魚”ならぬ“ラガーを得た大王”は、その偉大さを遺憾なく発揮しておりました。
それにしても、こんな旨い鶏をなぜ私は今まで知らなかったのだろう?と疑問に思い、店長さんに聞いた。すると「この鶏は昭和初期頃に一度絶滅したんです」と。長い歳月をかけて交配に交配を繰り返し、近年、ついに復元に成功したのだそうだ。
生産者の“偉大”な努力によって見事復活を遂げた「天草大王」。みなさんもぜひ、味わってみてはいかがかな?
つ串亭(つくしてい)
東京都世田谷区北沢2-1-9
03-3412-0082
月〜金曜
ランチ 11:30〜14:30
ディナー 17:30〜24:30(L.O.24:00)
土曜・日曜・祝日
17:30〜24:30(L.O.24:00)
無休
VISA、MASTER、JCB
(ランチタイムは使用不可)
平均3,000円(ディナー)/800円(ランチ)
小田急線、京王井の頭線下北沢駅南口より徒歩4分
天草大王(熊本県)やあべ鶏(岩手県二戸市)の串焼き、刺身など地鶏や季節の魚料理が手頃に味わえる家庭的なお店。写真の「天草大王刺身4点盛」は1,200円。一度油であげる特製つくね(串焼き)も絶品。「食事は命のもと」をモットーに、パキスタンの岩塩や自家製味噌を使用するなど、素材にも徹底的にこだわる。