世代を超えて愛される、上野の魚料理店
東京・上野にある魚料理店「行徳」は、1952(昭和27)年創業の老舗(それ以前は魚屋で、明治中期頃には営業をはじめていたそうです)。落ち着きのある佇まいに、家紋入りの白いのれん、そして歴史を感じる木彫りの看板…。お店に入る前からすでに、“美味しい魚が味わえる予感”が漂っている。
店内は、カウンター席と小座敷が1つのこぢんまりとした空間(2階には20名まで利用可能なお座敷もあり)。また、カウンターの上にあるショーケースの中では、かつお、きんき、はた、かれいなどが行儀よく整列している。
今回は、中でも特に存在感を放っていた真鯛のかぶとをいただくことに。ちなみに、かぶとを使った料理は「かぶと煮」「かぶと焼き」「かぶとの酒蒸し」があるのだが、私は「ははッ」とひれ伏しながら「かぶと煮」をチョイス。
待つことしばし、料理が到着。直径30センチほどあるお皿の上に、私の頭と同じぐらいの大きさのかぶとが(ホントです!)どっしりと横たわっている。さらに、タレの中がキラキラと輝く。そして、立ちのぼる湯気の香ばしい匂い。たまらず、頬の部分を箸でつついて身をほぐし、ひとくちいってみる。ふっくらとした身は甘みがあって柔らかく、ホロリホロリと簡単に崩れていく。そののち、口の中に脂の旨みがじんわり。その脂のあと味が、ラガーを誘う。また、目玉付近はプルプル、唇付近はトロトロ。場所ごとにちがった味わいでさまざまな食感を楽しませてくれる。見た目といい、ボリュームといい、ラガーとの相性といい、まさに"非の打ち所が無い"一品でありました。
ところで、このお店を切り盛りする現在のご主人は3代目。1968(昭和43)年から先代のご主人の元で修業をし、1998年に引き継いだそうだ。
「私が働きはじめた頃によく来てくださったお客様のお孫さんが、今ではお店の常連客になりました。親、子、孫、3代に渡ってお客様と接することができる。これはとても幸せなことですね。もはや注文を聞かずとも、何を食べたいかだいたい分かりますよ(笑)」とご主人。
この道ひと筋40年。美味しい魚は“目”で分かる。そして、食べたい魚はお客さんの“目”で分かる。そんなご主人がいるからこそ、「行徳」は世代を超えて愛され続けているのだろう。
行徳(ぎょうとく)
東京都台東区上野2-1-6
03-3831-0390
17:00〜23:00
日曜・祝日
平均9,000円
ほとんど可
東京メトロ銀座線上野広小路駅より徒歩2分
1952(昭和27)年創業の老舗料理店。常に築地から近海ものの新鮮な魚介を仕入れている。「かぶと煮」は3,000〜6,000円。大きさによって値段が異なる(写真のものは4,000円)。また、「刺身盛り合わせ」は、1人前3,500円(写真は2人前)。秋からはサバをはじめとした光り物、そして冬は「アンコウ鍋」など、季節の味が楽しめる。