四谷・荒木町で味わう“秋”
四谷三丁目交差点から新宿通りを四谷方面へ進んで、2本目の路地を左折すると「杉大門通り」、3本目の路地を左折すると「車力門通り」に入るのだが、実はその2本の路地のあいだにもう1本、「柳新道通り」というほそーい路地がある(新宿通り側からは、「杉大門通り」「車力門通り」のいずれかから狭い路地を経なければたどり着けません)。そんな、荒木町の中でもっとも奥まった路地沿いにあるビルの2階にひっそりと佇むのが、季節料理の店「荒木町 さかもと」である。
茶色の暖簾をくぐり、趣きのある扉を開けて店内に入ると、そこはジャズが流れる、和を基調とした木の温もりを感じる空間。(カウンター4席、4人掛けのテーブル席×2)。ご主人がとっても気さくで、かなり居心地がいい。
さて、私はカウンターに着席し、早速メニューを……、と思ったのだが、メニューらしきものはどこにも見当たらない。そうなのだ。このお店には、メニューというものが存在せず、ご主人にすべてをゆだねる、いわゆる“おまかせ”スタイルなのである(料理の予算は5,000円前後~応相談)。
ということで、この日は「5,000円でお願いします!」とオーダー。すると、「銀杏」「里芋の田楽」「ままかりの奉書巻き」という前菜の盛り合わせから始まり、お造り、焼き魚、茶碗蒸し、酢の物などなど、季節の食材を使った10品もの料理が、コース仕立てで味わえた。で、これがまたラガーに合う。「ぼくがビールが好きですから、ビールを飲む人の気持ちがよーく分かるんですよ(笑)」とご主人。
狭ーい奥路地で、至るところに“秋”がちりばめられた料理を食べながら飲むラガーは、しみじみ心に染みるのでありました。
ちなみに、ご主人が作る料理は、ただ旨いばかりでなく、見た目もめちゃめちゃ繊細で美しい。そんな料理の数々は、いったいどのようにして生まれるのだろう?
「最初、料理を考えはじめるときは、正直『面倒くさいなぁ』って思うこともありますよ(笑)。でも、作っているうちに、『もっとこうしたらいいんじゃないか?』とか、どんどん夢中になっちゃうんです。特に、今の季節がいちばん楽しいですね。美味しいものは多いし、なおかつ色彩もいいし。とにかくもう、毎日楽しくて(笑)」。
そんな風に、ご主人が楽しみながら作る料理だからこそ、お客さんも「今日はどんな料理が味わえるんだろう?」と、楽しみになるにちがいない。
これからの季節、秋が深まっていくにつれて、「荒木町 さかもと」の料理もどんどん味わい深くなっていくように感じるのでした。
荒木町 さかもと(あらきちょう さかもと)
東京都新宿区荒木町10
ダウンコートNANAMIビル 1F
03-3353-5220
月~土曜 18:00~24:00(L.O.23:00)
日曜・祝日
(ただし予約は受け付けております)
平均7,000円
カード使用不可
東京メトロ丸の内線四谷三丁目駅より徒歩3分
荒木町で今年10年目を迎えたお店。モダンでありながらも、どこか温かさを感じる店内からは、ご主人のセンスの良さを感じる(現在のお店は仮店舗)。また、ご主人がひと皿ひと皿丁寧に作り上げる季節感溢れる小料理の数々は、味はもちろん、目でも楽しめるものばかり。ご利用の際は、予約が賢明。貸切も可能。