


今回の「味の継承」でご紹介した新鮮なウニをたっぷり使った「ウニの厚焼き」。これ卵焼き界の王様であります。キング・オブ・オムレット。海外旅行の経験が豊富な方もe-daysファンに多かろうと思いますが、海外のホテルの朝食では、「タマゴどないすんねん?」って英語で必ず聞かれますよね。サニー・サイド・アップだの、ボイルドだの、ターンオーバーだの、スクランブルだのって、とにかく素早く意思表示しなくてはなりません。付け合わせにハム、ベーコン、ソーセージを選び、それらをすべて決めたあとに、ダイニングを見渡すとコックさんがフライパン片手にオムレツを作っていたりして、そこにも顔だけ出してみる。するとコックさんと客との間で「オムレツの具どないすんねん?」というやりとりがなされ、「ハム、チーズ、マッシュルーム、それから…」なんてやっています。キング・オブ・オムレットを知る者としては、ここで「なんだ、外国の卵焼きもたいしたことないのぉ」なんて思うわけです。ハムだ、チーズだ、マッシュルームだなんて、そんなの当たり前すぎて、ちんまりしているんじゃないかい。こっちは大胆に丸ごとウニだぞ。凄く豪華なんだぞ。
ウニの厚焼きのどこが、何が凄いかというと、まずは季節感。長崎の壱岐島では春になると、旬の菜の花のおひたしなんかをお弁当のおかずにし、このウニの厚焼きも磯で捕れたサザエなどとともに欠かせないそうだ。菜の花の緑に、ウニの厚焼きの艶やかな黄色、春を彩る憎いヤツではないか。

そして、お味を想像していただきたい。ウニだよ。すりつぶしたウニが卵にたっぷり入っているんだよ。味付けは塩をパラリだけだけど、醤油タラリがまた旨い。ウニのねっとりとした、とろっとしたまろやかな味わい、そして卵のふんわりとした味わい。これが重なりあって、本当にたまらないです。ご飯にももちろん言うことなし。
で、これを日曜の午後3時過ぎぐらいにビールを飲むためだけに作ってみる。ウニは惜しみなくひと舟でいこう。(ボーナスまだありますか?)ビールを冷やし、ウニの厚焼きを作る。出来立てアツアツをいただき、ラガーをいただく。一人で誰にも奪われることなく。そして台所は何ごともなかったようにすぐに片付ける。これ重要。つまり「パパ何食べてんの?」「あなた何しているの?」と誰かに見つかってしまったら「卵焼きを食べてんの」でいいんです。ウニなんていうと騒がしくなりますよ。見にきて「何かこの卵、黄色くない?」って言われたら「1個65円のいい卵買ったんだ」これでよし。成功を祈る。