edays WEB MAGAZINE 一日の終わりに Closing Time

マスターの独り言 ラガー音楽酒場のマスター(実は編集者?)が語る、キリンラガータイアップ記事裏話。

 

加藤和彦さんとマイアミのホテルで貸し切りテニス

 今回「MUSIC MAN」にご登場の加藤和彦さんとマスターは、80年代の頭にマイアミへ行ったことがある。それはある雑誌の取材でのことで、当時マイアミのホテルはアールデコ様式の美しいところが多かった。いくつか見て回ったのだが、そのホテルは老人の長期滞在者の多いところで、アメリカが凄いと思ったのは、長期滞在者用にポピュラー・ミュージックの大御所たちがコンサートにやってくるということ。そんなことに感激しつつも、取材を終えると、加藤さんはテニスをやっていた。その頃は旅先にテニス・ラケット持参するぐらいはまっていて、もちろんテニス・ウェアからシューズまで完璧でないわけがない。
 加藤さんは雑誌『POPEYE』でアメリカの西海岸ブームを伝える前にすでにLA的なファッションをしていた。それはアルバム『それから先のことは』[1976(昭和51)年]のカヴァーを見れば歴然なんだけど。
 で、そのマイアミで取材から戻り、ホテルでテニスをすることになった。ホテルのコートを係員に申し込むと、今日は好きなだけいくらやってもいいという。どのコートを使ってもいいし、君たちの自由だと。もちろん無料だと言われたのである。コートには誰もいない。どういう訳で係員がそんなことを言ったのか、そのときは考えもせず、ただただラッキーと思ってコートへ出て、パコンパコン(昔はテニスの擬音はこうだった)と始めた。到底加藤さんにかなうはずもなく、それでも果敢に打ち返すと、どっか飛んでいったりして、それは風のせいだと決めつけた。風が段々と強くなり、髪型が変化するぐらい(七三が一九ぐらいになる)だったのだ。
 加藤さんは「もうやめよう」と。で、ホテルに戻ると、なんと台風が来ていることを知る。係員は、台風が来ていることを知っていて大盤振る舞いでコートを貸してくれたのであった。何かつまらなく、食事に行くまで加藤さんの部屋でビールでも飲もうということになり、加藤さんはテニス・シューズからデッキ・シューズに履き替えた。すると、デッキ・シューズの紐の長さがいまいち気に入らないということでホテルからハサミを借りて、少しずつ調整していたが、ちょっと短く切りすぎてしまったのである。




 その後、そんなことは忘れてキューバ街へ食事に行った。食事なら加藤さんがいれば安心。加藤さんは流暢な英語でメニューを見ながら、ここからここまでとオーダーするのであった。(つまり料理名ではなく、メニューの上から下まで10センチ分ぐらい頼んだ)
 マイアミはこんな楽しい思い出ばかりなのだが、デッキ・シューズはどうなったかというと、加藤さん翌日めちゃ高いリザードのローファーを履いていました。ホテルのブティックにお気に入りを見つけたとかで、なんかやっぱり雲の上にいる人なんですよね、加藤さんって。
 取材でお会いして、おいしいビールの話となったが、小瓶を氷でざっくり冷やして白ワインのように飲んだそう。これからの季節、一人で本なんか読みながら庭の木陰でそうしたいですね。台風のこないうちに。

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