edays WEB MAGAZINE 一日の終わりに Closing Time

マスターの独り言 ラガー音楽酒場のマスター(実は編集者?)が語る、キリンラガータイアップ記事裏話。

 

尖っていた頃の自分を思い出させてくれた萩原健太さん

 「ラガー探訪ノート」にご登場いただいた萩原健太さんにお会いするために、彼のおすすめの巣鴨のお蕎麦屋さん「武蔵野」へ行った。そこは初めてで、入るなり「なんやここ、めちゃめちゃいいやん」と思ったのは、お店の佇まいがよく、そしておつまみにごぼうやはすのきんぴらがあったからだ。
 しかし今回はそのことにはふれず、久しぶりにお会いした萩原さんとある話に夢中になってしまったことをお伝えしたい。これはきっと誰でも経験のあることだと思う。
 それは、萩原さんが、若いときに訳知り顔で「そんな曲は聴かないよ」みたいなことを友人に言った自分が今となっては恥ずかしいという話が基点となった。マスター自身も尖っていた頃を思い出してしまったのだ。口から出るのは「センス悪い」。70年代初期、ロックを聴きだした頃は、歌謡曲に対し「何それ?」という感じで、クラスで誰かがそんなレコードでも持っていようものなら、「そんなの君聴いているんだ」「こっちとらロックよ!」 と。「今どきの若者はみんなロックよ!」「ウッドストックを知らないのか?」と、粋がっちゃうのでありました。
 萩原さんは、当時の友人たちに謝ってまわりたいほどだと言う。音楽を追求すればするほど、その良さや深さが分かってくる。反省は人を大きくし、人は謙虚になっていくものである。
 話を終えた萩原さんは「今夜はカミさんとうなぎにしようということになったんで、これから買いに行きます」と別れた。その後ろ姿の雰囲気が凄く温かった。マスターも早く家に帰り、熱いお風呂にゆっくり入って、カミさんと美味しいビールを飲もうと思った。
 が、土曜日の夕方ということもあって「たまには一人で焼きトンでも」という、自分から自分への天の声が聞こえてきた。カウンターにひとり座って新聞でも読みながら、煮込みあたりから始まって、タン、ハツ、カシラを塩で、なんていうのもいいぞ、行っちゃえ!と。ビールも旨いぞ。でも、今日は早く帰るって言ってきたから、どうしようかね…となってしまって。  

 ここで飲んじゃうと「また飲んで来たの!?」とカミさんに言われ、特に悪いことはしていないのだが、反省を求められ、人間の大きさも求められ、謙虚さも求められるのである。グッドアイデアは、どこかで焼きトン買って、家でカミさんと飲むということか。尖っていた自分はどこに行ってしまったのだろうか。
 結局その日は、近所で1本130円の焼きトンを2000円分買って帰り、あまったので翌日のお昼も食べることになったのでした。 

飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。
e-days「イーデイズ」は大人の感性を刺激するWEBマガジンです。