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2010.01.05UP

鈴木聡さんの芝居

ずいぶん前、中国のトルファンにロケに行ったことがあった。
ロケハンなど撮影の段取りに忙しい先発隊を追いかけて、数週間後に
後発隊である出演者の女優さん、ヘアメイク、スタイリストの私と
広告代理店の方たちが出発した。
東京から北京へ、そのあとは金属疲労の激しい国内機でウルムチへ。
ウルムチからは6、7時間ぐらいバスに揺られてシルクロードで有名なトルファンに。
長旅から、さて部屋に落ち着こうとしたところに、サングラス姿の紅衛兵とおぼしき
一団が、わけのわからない言葉を発しながらワッと突入してきた。
通訳の女性は泣きだし、女優さんや私たちは呆然としたまま、立ち尽くした。
理解不可能な凝縮した何分かが過ぎた・・・ところがこれは先発隊のいたずらだった。
そのいたずらなお芝居のまんなかに、代理店のクリエイティブの新入社員として
随行した鈴木聡さんがいた。
もしかしたら、それが鈴木さんの入社第一回目の演出だったかもしれない。

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鈴木聡さんはそれからサラリーマンながら「ラッパ屋」という劇団を立ち上げた。
何度か足を運ぶうちに「ラッパ屋ワールド」にとっぷり浸かっている自分自身を
発見するにいたった。
笑い転げているうちに、なんだか涙も流している・・・これって何なんだろう・・・

あるとき鈴木さんから「サクラパパオー」という競馬をテーマにしたお芝居の衣裳を
やってみないかというお誘いを受けた。
これはトルファンの「いたずら」の御恩返しの機会かもしれない。

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私だっていたずらが嫌いなわけじゃない。パチンコ屋の開店祝いにあるような花輪を
馬の好物の人参で作ってみよう。
パルコ劇場のロビーにこの花輪が飾られた時、私は大満足した。
ヘレン、幸子、今日子はこの芝居に登場する女性たちの名前だ。

おおよその衣裳の感じは以下の通り。
ほとんどの生地は新宿のオカダヤや日暮里の生地問屋で調達した。
テカテカした素材や、人造ヘビ革で、ちょっとあざとい男性陣、いつもの衣裳よりは
ポップな女性陣。派手好きな私の趣味が出ちゃったかも。

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今年のラッパ屋の公演は1月9日から17日まで、新宿紀伊国屋ホールで。
聡さーん、早めにうかがいますよー。

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高橋靖子(スタイリスト)
日本のスタイリストの草分け的存在。現在も、広告、CMなど第一線で活躍中。71年、ロンドンで山本寛斎氏とファッションショーを成功させ、その後、「ジギー・スターダスト」期のデヴィッド・ボウイの衣装を担当。鋤田正義氏によるデヴィッド・ボウイやT・レックスの撮影をアレンジしたことでも知られる。著書に『表参道のヤッコさん』『小さな食卓 おひとりさまのおいしい毎日』『わたしに拍手!』などがある。
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