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2009.09.29UP

国民総幸福量、聖、スッポン、アメリカでゴルフ。

さて、お立ち会い。

ほとんど家から出ないで暮らしている私だけど、シルバーウィークが終わった先週、3日連続でお出掛けを敢行した。

第一日目。有楽町の日本外国特派員協会、通称外人記者クラブへ。ブータンから来日したツェリン・タンさんを囲む会があった。私はまるで関係ないんだけど、兄貴な石川次郎さんに「昼飯食いに出ておいでよ」と言われて、出かけたのだった。

タンさんは、ブータンで旅行代理店をやっていて、この春に放映した、ジローさん出演のBS朝日『ZOOM ASIA』ブータン編のコーディネートをやった人。私も見たけど、ブータンはいいところだった。なんだか昔の日本みたいに、素朴で空気感が豊かで。

深く印象に残ったのは、GNHという初耳の概念だった。グロス・ナショナル・ハピネス、つまり国民総幸福量。ブータンという国は、GNPじゃなくて、GNHを目標に掲げて国家運営をしているという。

てなことがあったので、そのシアワセな国からやってきた人はどんなだか見に行ったわけ。

ジローさん、元参議院議員の水野誠一さんがタンさんを紹介して、会は始まった。タンさんの挨拶は長かったけど、直立不動の姿勢でブータンという国の素晴らしさを語っていた。

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懇談になって、私はタンさんにひとつだけ質問した。ブータンにもグレてる人はいるんですか? 完璧な社会ではないから、もちろんいます。でも、祖父に言わせると、鎖国を解いて外国文化がはいってきてから、そういう若者が出てきた、それまではほとんどいなかった、と聞いています、とのことだった。

映画監督の原田真人さんと最近ゴルフの調子はどうか話をし、久しぶりに宗教人類学者の植島啓司さんに会い、マレーシア政府観光局の顧問(?)大田律子さんに『笑う食卓』何度も読んだと言われ、JALパック社長の大西誠さんに名刺をもらい、この会には一体、どういう意味があったんだろう、と思いながら帰ってきた。それにしてもGNHって、ずいぶんと魅力的な考え方じゃないですか。

翌日。食道ガンと闘う横浜の文豪、菊谷匡祐さんが時間を作ってくれるというので、広尾にある、いつものサロン・ド・シマジに集合することになった。9月になったら、皆でスッポンを食べに行こうと約束していたのだ。

現場に着いたら、サロンの主、エッセイストの島地勝彦さんと、横浜の文豪のふたりだけ。文豪は、剃髪した聖のよう。

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いつものメンバー、SM官能作家の館淳一さんは、ひどい風邪を引いて、来られないという。なもんで、3人でゴルフと本にまつわる世間話をした。

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先輩ふたりは読書家で、よく本を読んでいる。この日、文豪が面白いよ、と教えてくれたのは、リチャード・ドーキンス『神は妄想である』と、石川英輔『大江戸神仙伝』。読んでみようとアマゾンに即刻、注文した。

文豪の都合が悪く、先に帰ったので、島地さんとふたりで浅草のスッポンとアンコウが専門の料理屋〈田佐久〉へ。

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血を飲むところから始まって、炊き込みご飯までスッポンのフルコース。コラーゲンたっぷりはいいんだけど、ふたりで1匹は食いでがあった。生のレバーがうまかった。

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足の付け根のところの焼いたのもイケた。飲み物は島地さん持ち込みのタリスカーのソーダ割。

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サロン・ド・シマジでもさんざんシングルモルト呑んだから、好い心持ちで家に帰り、歯も磨かず、スッポン臭い息のまま、速攻で寝た。

その翌日は、ゴルフダイジェスト社の添川光二郎君に誘われて、米軍の施設内にある多摩ヒルズゴルフコースへ。ティタイムは遅くて午前11時。9時過ぎに起きて、だらだら身支度をし、車でうちを出発。

自分で運転してゴルフコースに行くのは久しぶりだ。私は道をよく知らないし、迷子体質でもあるから、自分を信用していない。でも、大丈夫。ボロ車につい先日、ナビを付けたからだ。

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GARMINのnuvi205。ナビを入れたら、音声案内のお姉さんが英語で突然「ターン・レフト」なんて言うので、びっくりした。車を停めて、日本語の案内お姉さんに変わってもらう。機械のなかには中国やマレーシアのお姉さんも隠れているらしい。

30分弱で、コース到着。守衛のオジサンにパスポートを提示し、入場者名簿に名前や住所を書き込んで、駐車場に車を停め、クラブハウス奥にあるプロショップでエントリー。プレーフィ110ドルとカートフィ15ドルを支払い、乗用カートのキィをもらう。

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ここはアメリカだ。景色的には日本のコースなんだけど、アメリカを感じる。なんとなく緩い空気が流れている気がするんだけど、何が違うんだろうね。

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この日は90ディグリーのカート・ルールだった。基本的にはカート道路を走行。自分のボールへはカート道路から直角に曲がって(だから90度ルールと呼ぶ)フェアウェイにはいるという、カートの乗り入れルール。

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ひとりドタキャンしたため、添川君とジャックスカードの榧木嬢と3人でラウンド。添川君と私は、レギュラーのブルーティ。榧木嬢はレディスティ。

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9ホール終わったところで、売店で2ドルのホットドッグと1ドルのコーラを立ち食いして、残り9ホールへ。日本のコースはほとんどここで食事休憩をとらされるけど、世界標準の運営だからスルーで18ホール続けて廻る。

それほど距離は長くないコースなんだけど、グリーンがこの日は、慣れない高麗芝だったのでほとほと参った。添川君は、パー4でイーグルなんかもあり(私の目の前で、ワンバウンドでカップにコツンとはいった)78と好スコア。一緒に廻った榧木嬢は、ポニョポニョ楽しそうにゴルフをしていた。スイングは切れ味なかなかでした。私も楽しかったけど、成績についてはーーいいじゃないですか、という散々なものだった。

プレー終了後、アメリカンなラウンジでお茶して、帰ってきた。

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その翌日、いちにち家でごろごろしていた。昼寝もした。

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立石敏雄
1947年東京生まれ。雑文製造業者。早稲田大学卒業後、絵本の出版社、雑誌『BRUTUS』編集者などを経て、現在は雑誌『Pen』に「笑う食卓」連載中。著書に、雑誌連載をまとめた『笑う食卓』(阪急コミュニケーションズ刊)がある。

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